混雑の訪問者です
「どちら様ですか?」
玄関にやってきた俺たちがドアを開けて見ると、そこにはギルドの職員や町の騎士でも何でもない、冒険者のパーティがいた。扉の前にいたのは男性1人だが、その奥には彼のパーティメンバーと思われる人たちのほかにももう2パーティくらいの人数がいる。男女バラバラだが、全員に共通している点として、汚れているという点が挙げられた。おそらく全員がダンジョン帰りなのだろう。
「ユウカ、知ってる人か?」
「いや、わしは知らんのう。お主らは何者じゃ?」
「この屋敷の人ですか?」
「そうだが、こんな夜遅くに何か用か?」
「実は、俺たちダンジョンに入る前に町で宿をとるのを忘れてしまって……。戻ってきたのはいいんですけど、こんな時間になってしまってここから宿も取れないでしょうし、ここに屋敷があるという話を聞いて、一晩泊めてもらおうと思ってきたんですけど」
「後ろのパーティもか?」
「はい。ダンジョンの中で意気投合とまではいきませんが、仲良くなりまして、彼らも同じような状況だと知ったので」
「そうか。申し訳ないが、これだけの人数を泊めろと言われても、わかりましたとは言えない。まして知り合いでも何でもないわけだしな」
「えー、そこをなんとか! 同業者同士、ここは助け合いといきましょうよ」
「そうは言われても、見ず知らずの他人を自分の家に泊まらせるわけにはいかない。ここは俺個人じゃなくてパーティで金を出し合って買ったから俺の一存で決めることもできないしな」
「ならそのパーティメンバーの方たちと話をさせてください! 説得してみせますから」
「そう言われてもな」
「メイ、こういうのははっきりと言ってやらんとわからんのじゃ。ちと代われ」
そう言って、ユウカが俺の前に立った。
「まず整理するが、お主らは今晩泊まる宿がない。それは間違いないのじゃな?」
「ああ。そうじゃないとこうして頼みに来ない」
「なぜダンジョンに入る前に宿を確保しなかったのじゃ? 人が増えてきたのはお主らも感じておったじゃろう? それならば、宿も自然と埋まっていくことも考えられたはずじゃ」
「それは本当に忘れていたんだ。前にいたところじゃこんなこと考えられなかったし……」
「それなら1つ賢くなったと思ってあきらめることじゃ。素泊まりだけであれば今からでもみつかるじゃろう。この時間であれば、まだ閉まっていない宿屋もきっとあるじゃろう」
「そんなこと言わずに、泊めてくださいよ。そうすれば探す手間も省けますし」
「本音が出ておるの。ただ探すのが面倒なだけじゃろう? あるいは、宿屋に泊まるための金が足りんか」
金の話になった途端、男が動揺したのがよくわかった。そういうことか。
「泊めてくれと言っておるからには当然一晩泊めるのに見合った金額は払わねばならん。個人宅を見ず知らずの連中に貸すともなれば家主の言い値となるから、相場よりは高くつく。それをわかって言っておるのじゃな?」
「それは、その」
「金がないから宿に泊まれん。泊まれそうな宿はセキュリティがなっておらんような宿しかない。だからなんとか頼み込んでただで泊めてもらおうとでも考えたのじゃろう? あわよくば金目の物でも盗んでやろうと」
「そんなこと」
「考えてないとでも?」
「それは……」
「今日のところはギルドで事情を説明して訓練所でも貸してもらうのじゃ。そう長居しておっては追い出されるじゃろうが、1泊2泊くらいは許してもらえるはずじゃ。その間に金を貯めるか、ここで稼ぐのはあきらめて元の場所に戻るのじゃ。今のグリムは新規でくる者にはかなり厳しい場所になっておる。人がいすぎてまともに稼げないからの。このままこの町におっても、 行きつく先は金がなくなって奴隷商人への身売りか犯罪者、あるいは死ぬかじゃ」
「……」
「どうしてもこの町におるというのであれば、かなり狭くなるじゃろうが、合同で商業ギルドで小さ目の家でも借りたほうがよいじゃろう。これだけの人数が一緒に泊まるとなると、どこの宿屋も空きがないからの」
「……失礼しました」
男はあきらめたのか他のメンバーのところに戻って行った。俺たちが断ったのが伝わったのか、残念がる声が聞こえてくる。それでもあきらめきれないのか、他のパーティの奴がこちらに来ようとするが、最初の男に止められていた。
5分ほどその場でとどまっていた男たちだったが、結局あきらめて町の方に向かって行った。帰り際に恨みがましい表情でこちらを見ていた数人が若干気にはなったが、戻ってくる様子は無さそうだった。
「メイよ、これからしばらくは警備を強化しておいた方がよいかもしれんの」
「さっきの奴らが強盗になると?」
「その可能性も0とは言えんが、ああした連中が今後何人も来る可能性があるということじゃ」
「それはわかってるが、直接話すくらいしか対処できないと思うんだが。看板とかをたてたとしてもすぐに壊されてしまう気もするし」
「そもそも近寄らせないようにできればそれが一番じゃが、そうもいかんからのカルアも常に結界を張るのは不可能じゃろうし、せめて勝手に屋敷に入られるようなことだけはないようにせねば、帰ってきたら物がなくなっていたなんてことにもなりかねんのじゃ。町の中ならまだしも、ここは町の外じゃからのう。町の警備は動いてくれんじゃろう」
「大事なものは基本アイテムボックスに入れてあるけど、ブラウニーたちが危ないかもしれないよな……アンナだけじゃ足りないかもしれないし、カルアを置いていくか。常にじゃなくても、人が来た時だけでも風で結界を張ってもらおう。それにしても、ユウカが他人の家に泊まらせてもらいに来たやつを説得するってのも皮肉だよな」
「それを言うでない。わしはあやつらとは違って、お主ら全員から許可をもらっとるし、宿代がわりにキャラビーを鍛えたり、家事を手伝っておるつもりじゃ」
「別に今更ユウカに家賃を払えとは言わないって。その分もいろいろ頼みごとをしてるからな」
「間違いなくいずれ厄介なことになる気がするがの」
「その時は頼んだぞ」
「わかってるのじゃ。まったく、これが噂に聞く惚れた弱味というやつなのじゃろうな」
「聞こえなーい」
「かっかっか。まぁそれでよいわ。そういえば、なのじゃが、わしの王都の屋敷で働いておる料理人がとても腕がよくてのう。今度執事長とそやつを呼んでも構わんか? 一度お主らに味わってみてほしいのじゃ」
「んー……なんで執事も?」
「シーラはわしの親のような存在でのう。この間戻ったときにお主らの話をしたら、一度ご挨拶をとな」
「それ、違う意味の挨拶じゃないよな?」
「ん? なんでじゃ?」
「わからないならいいよ。美味しい料理ってのも気になるし、ユウカが信頼している人たちなんだろ?」
「もちろんじゃ。二人は訓練所所長ではなく、わしについてくれた、かけがえのない存在じゃよ」
「そうか。俺は別に問題ないとおもうけど、一応マナたちにも確認はしといてくれよ」
「わかったのじゃ。さて、ケーキの勝負に戻るかの」
「忘れてた。絶対ピーチの方がうまいからな」
「言うておるわ。さーて、どうじゃろうな」
木の板をアイテムボックスから取り出して、『宿泊お断り』と書いた紙を張り付け、扉の前に立て掛けると、俺たちはリビングの3人のもとへ戻った。
結局、ケーキは勝敗がつかなかったこともあり、ユウカの料理人のアレフさんに作ってもらって決めることになった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
大型連休が終わってしまいますね。
自分は風邪で毎日が過ぎていきました…
ではまた次回




