グリムの休日です
ダンジョンからギルドに寄って、ラージスケルトンの腕の骨を売り、館に戻ってきた。
ラージスケルトンの腕の骨は、思いもよらず高額で売れた。ボスとしては必ずと言っていいくらい出現するが、素材としてはなかなか出ないからこの金額だと言われたが、25層のボス戦で得た品で金貨1枚はかなり運がいいな。上位スケルトンの骨が、全身分そろえても銀貨2枚にしかならないことを考えると破格の値段だ。1層からここまでで銅貨10枚分しか稼いでいなかったのが一気にチャラになった。50層のボスもいいものを落としてくれるといいな。
館に戻ってきたものの、今日はボス戦しかしていないこともあり、まだお昼にもなっていなかった。そこで、せっかくなのでどこかに食べに行こうという話になった。お昼時だからそれなりには混んでいるだろうけど、大勢がダンジョンに入っていて混んでないと信じよう。
それぞれが普段着に着替え、外に出た。俺もローブは着ず、ゴーグルを首にかけるだけにした。一応アイテムボックスには入れているけど、今日はこのままかな。みんなもローブを深々とかぶったやつと歩きたくないだろうし。最後のヒツギがやってきて、俺たちは町に向かった。
門のところで3台ほどの馬車の列ができており、その後ろに並んで順番を待っていると、見るからにダンジョン帰りですというパーティがやってきた。包帯などで治療はしてあるみたいだが、全員傷だらけで疲れている様子だった。少し遠いが、列になっているのが嫌そうな表情が見て取れた。
「ったく、門も混んでるのかよ。早く休みてーってのによ」
「今日はもうさんざんだな」
「だよな。俺の剣はゾンビのせいでかけちまったし。また修理しないといけなくなった」
「盾も凹んだからな。ついてねーぜ」
「だよな。聞いてた話と違うじゃん。もっと稼げるって聞いてわざわざ来たのに」
彼らの声が聞こえる距離になると、そのイライラが目に見えて伝わってきた。馬車も問題なく2台が中に入って行ったし、残り1台分だから何の問題もないだろうと、関わらないように前を向いて待っていると、俺たちの服装を見た彼らの1人が声をかけてきた。
「なーなー、あんたら、その格好見るに、そんなに急ぎってわけじゃないだろ? 俺たち急ぎの用があってさ、順番変わってくんない?」
人に頼みごとをする態度じゃないだろとか思いながらも、とりあえずキャラビーを彼らから離し、そいつの方を向いた。
「俺たちも町に入るのに並んでるんだ。順番は変われない。全員問題なく入れるはずだから、悪いがもう少し待ってくれ」
「なんだよ。いいじゃんか。なあ嬢ちゃん。こいつを説得してくれよ」
そいつの援護に回るように、パーティメンバーが離してあったキャラビー以外の2人の肩に手を回そうとして、手を弾かれた。強めに叩いたのか、手をさすっている。
「なんだよ、融通きかねえな。なんなら、力づくで譲らせてもいいんだぜ? ここらじゃあんまり名前は通ってねえけど、俺たちベルメールの町じゃそこそこ名の通った冒険者だし」
「こんな門の目の前で問題を起こす気か? 警備に目をつけられるぞ?」
「それで脅しのつもりか? 聞いたぜ、最近、なんとかってでっかい鳥モンスターが現れた影響で、この町じゃ腕利きを集めてんだろ? まぁ所詮モンスターだ。俺たちに任せときゃいいんだって」
自慢げに言う男だが、朱雀との戦闘になれば何もできないだろうな。ゾンビに苦戦してたそうだし。
そうこうしているうちに、前の馬車が進みだし、俺たちの順番になった。
「順番になったからこれで。すぐに終わるから」
強引に話を切り上げて前を向く。ヒツギとマナも同じように門に向かおうとしていた。
「おい、順番を抜かすんじゃねえよ!」
突然、男たちの1人がそう声を張り上げた。そいつに同調するように、さっきから俺たちを脅そうとしていた男も、俺たちを押しのけて訴えるように言った。
「門番さんよ、こいつらがいきなり割り込んできてよお。つーわけで、俺たちを先に通してくれよ」
「はぁ? 何言ってんだ?」
「俺たちはおとなーしくならんでたってのに。まいっちまうよ」
「ダンジョン攻略で疲れてるところにこんなことされたらほんと困るよな。もう他の町に行こうかとか考えちまうよ」
にやにやと笑みを浮かべながら門番に話す男の言葉に、周りの仲間もうなずいたりして同意しだした。それを見ている門番の表情は、呆れそのものだった。
「はぁ。メイさんたち、ギルドカードの提示を」
「はい」
男たちの言葉を完全に無視して門番は俺たちに身分証明の提示を求めてきた。
「ちょっと待ってくれよ門番さん。こいつら割り込んで」
「あー後でそこの詰所で話は聞いてやるから。はい、ありがとうございます。入って構いませんよ」
「なんでそんな」
「そんな大きな声で話して聞こえないとでも思ったのか?」
「それは……」
「ここ最近お前たちのように門の列でトラブルを起こす連中が増えてるが、ここまであからさまなのは久しぶりに見たぞ。ついでに教えとくと、彼らは全員Bランクで、ユウカ・コトブキ様の1番弟子と名高いパーティだ。喧嘩を売るのも、相手をよく見てからした方が身のためだぞ」
「Bランク!? す」
「「すいませんしたぁああ!」」
それはもうすがすがしい土下座だった。Bランクという言葉の何が彼らをそうさせたのかはわからないが、もう見事なものだった。もういいと言うまで動きそうになかったので、なんとか立ち上がらせてその場をあとにした。人が増えている影響がこんなところまで来てるんだな。これからは町に入る時も警戒は怠らないようにしないといけなくなりそうだ。
以前から、何度か足を運んでいる、お昼と夜に宿泊客以外にも食堂を開いている宿に行ってみると、ピークには少し早いにも関わらず俺たちが入ってすぐに席がすべて埋まっていた。ここのご飯はおいしいから以前から人は多かったが、ここまで多いとなると宿の人も大変だろうな。
俺たちは、ここの名物のボアの蒸し煮を食べたが、やっぱりおいしかった。でも、宿の主人にもどこか疲労の色が見えていたし、あまり無理をしないでほしいな。
その後、4人でケーキを食べに行き、ユウカの分もおみやげを買って、しばらく露店を見て回ってから館に帰った。露店もかなり混雑していたからあまりじっくりとは見てまわれなかったけれど、特にいいものはなかった。まあ新商品のピーチのケーキがおいしかったからよしとしよう。
その日の夜、俺たちは晩御飯を食べた後、みんなでケーキを食べていた。
「んー。おいしいのう。この甘さがなんともいえん」
「でしょ! 絶対に私はこっちの苺のケーキがいいと思うんだけど、2人はピーチの方がいいっていうんだよ!」
「ピーチの方は甘味だけじゃなくてちょっぴり酸味もあり、それがちょうどいいんだよ」
「そうそう」
「そう言われると食べてみたくなるのう……。メイ、一口交換せんか?」
「ああ、いいぞ。絶対こっちの方がうまい」
「メイもまだまだだね。苺の甘味に溺れるといいよ!」
俺たちがどっちのケーキがおいしいか言い争っていると、館の呼び鈴が鳴った。
「こんな時間にお客さん? ガンダさん……ではないよね」
「ギルドの職員かのう。もしかしたらわしの客かもしれん。どれ、わしが出てくるのじゃ」
「こっちかもしれないから俺も一緒に行くよ」
「わかったのじゃ」
俺とユウカは、その客に会いに玄関に向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
今回は休日回でした。
個人的にはモモより苺派です。
あと、前々からやるやるといいつつまったくやっていなかった推敲をようやく始めました。
書き方が今と初期ではだいぶ違うので大変です。矛盾点も指摘されますし…
ただでさえ遅れてるのに何やってんだというね。
ではまた次回




