善の洞穴です3
次の日、ユウカの混雑していなかったという話を信じて、俺たちは少し遅めにダンジョンに向かった。
入り口の転移陣が混雑していて時間がかかってしまったが、いざ25層に転移してきて、ボス部屋の扉の前にくると、待っているパーティは1つしかいなかった。
「すまない、ボスに挑む列はあなたたちだけか?」
「ん? ああ、そうだよ。見ての通りだ」
「ありがとう。道中があれだけ混んでたのにあまり人がいなくて気になったんだ」
「なるほどな。たしかにあれだけ混んでればそう思うよな」
「俺たちは昨日25層についたけど、選んだ道の関係か、全然戦闘がなかったよ」
「羨ましいな。うちは戦闘ばっかだったから」
「選択ミスったかねえ。あんまり大広間を通らないようなルートを選んでたんだけど。おたくはどんな感じでえらんでた?」
「俺たちはあんまり広間は気にしてなかったかな。極力最短ルートを選んできた。大広間は前のパーティが戦ってるってことが多かった感じだ」
「なるほど。後輩の参考にさせてもらうよ」
そう情報交換をしていると、前のパーティの戦闘が終わって、扉が開いた。引き留める理由もないので、俺たちは彼らがボス部屋に入って行くのを見送った。
完全に扉が閉まり、次のパーティが来る様子もなかったので、ゼルセを呼びだして作戦会議に入った。
「ボスはラージスケルトンと、取り巻きのスケルトン系モンスターとのことだけど、戦い方はこれまで通りで行けると思うか?」
「ラージスケルトンがどれくらい魔法に耐性があるかにもよるかな。25層とは言え、ボスとなると、たぶん火魔法で焼き尽くすくらいならマジックハンマーで叩いた方がダメージも入りそうだし」
「なら私が初っ端でボスに大きいのを叩き込むから、メイがトドメを刺してくれる? 取り巻きなら獄炎魔法じゃなくてもマナの魔法で焼き尽くせるし」
「ヒツギは大丈夫か? 初撃は『小規模ワープ』で跳べばいいけど、硬直で離脱できないとなるとトドメを刺し損ねた時が危ないぞ」
「そこはメイを信用してるから」
「信用してくれるのはありがたいが、ヒツギが近くにいるとなると巻き添えを避けるために使えるスキルも限られてくるしな」
「使えるスキルが限られるなら、ゼルセも一緒に跳んで、メイが仕留め損ねたらゼルセが仕留めるってのは? もしそれでも仕留め損ねたら転移で距離をとる形で。その時は1回引くのも考えないとね」
「んー、ゼルセ、いけるか?」
「ゲヒッ」
「いけるみたいだな。なら仕留め損ねたら一旦全員離れて、魔法で仕留めよう。その時はマナ、頼むな」
「任せといて。まあこの階層でそんな相手がいてほしくないけどね。まだ50層のボスもいることだし」
「このダンジョンの敵はよくも悪くも特化しているから、相性の問題だろうよ。光魔法を使いこなせるやつがいたらかなり楽になると思うけど、なんかのミスで俺が受けると致命傷になりかねないからな」
「私のせいで……」
「キャラビーのせいじゃないよ。俺が悪いだけだ」
「そんな、ご主人様は私の呪いを解こうとして」
「はいストップ。この話になると終わらなくなっちゃうから、ここでその話はなし。ほら見て、後ろも来てるみたいだし、扉も開き始めてる。さっさと入って、ボスを倒して、おいしいケーキでも食べにいこ」
マナに言われて周りを見ると、前のパーティの戦闘が終わり、さらに後から来たパーティが見えていた。ついでに、先頭にいる男がゼルセを見て剣を抜こうとしているのも見えた。誤解を解くのも面倒だし、さっさと行ってしまおう。
「すまん。じゃあ行こうか」
俺は肩に地龍のハンマーを担いで扉に入っていった。
全員が中に入り、扉が完全に閉まると、広い広間の中央に大きな塊、その周りにたくさんの小さな塊が生じ始めた。それはすぐに人の形をとり、たくさんの上位スケルトンになった。
「ヒツギ、ゼルセ、跳ぶぞ」
5mを超えるラージスケルトンが大きな口を開けて、どこから出しているのかわからない奇声を上げているのを無視して俺はそれぞれの腕に触りながら『小規模ワープ』で天井すれすれまで跳ぶ。その天井を蹴ってヒツギがラージスケルトンめがけて突っ込んでいくのを、ハンマーを『鬼の一撃・付与』で強化しながら眺める。
ヒツギは鎖の両端をしっかりと握り、棺桶を振りかぶる。その棺桶が淡い青色の光を放ちながら回転する。
「フリーズインパクト!」
回転の勢いそのまま、上を向いて迎え撃とうとしていたラージスケルトンの頭に左の棺桶を叩き込んだ。耐えようとするラージスケルトンのパワーをヒツギのパワーが勝り、頭を地面に打ち付ける形となった。何本かの歯が折れ、地面でバウンドするラージスケルトンの頭を、ヒツギが右手の棺桶で再び叩きつける。今度はバウンドすらできず、地面と棺桶に挟まれることになった。
反動を利用して棺桶と共にヒツギは後ろに跳んでその場から離れたが、それほど遠くない場所に降り立ってしまった。しかし、ラージスケルトンは叩かれた部分が凍り付き、地面に打ち付けられた顔面はヒビだらけになっていた。歯も何本も折れ、手で顔を覆って、ヒツギを追撃することなく顔を手で覆っていた。骨しかないのに痛覚が存在するのかと言いたいところだが、今の俺にはいい的だ。
『空蹴り』で勢いをつけながらハンマーを振りかぶった。
「『破壊の一撃』『兜割り』」
凍って脆くなったラージスケルトンの頭蓋骨めがけて地龍のハンマーをまっすぐに振り下ろす。ハンマーは日々の入っていた頭蓋骨を簡単に砕き、まっすぐ地面まで打ち抜いた。頭を砕かれたことでラージスケルトンを形成していた体の骨がぼろぼろと崩れていき、運悪く真下にいたスケルトンソルジャーを1体巻き添えにしながら倒れた。心配は杞憂だったようだ。
結局、追撃がいらなくなったゼルセは、上にいるついでとばかりに後方の上位スケルトンたちにバーストショットをばらまきながら落下してきた。取り巻きのスケルトンたちが次々にばらばらになっていく。すぐ隣に降り立ったゼルセは、直接殴っていないからか、不満そうな表情を浮かべていた。
スキルの硬直も解け、マナのいる辺りまでヒツギが下がるころには、スケルトンたちはラージスケルトンの残骸を乗り越え始めていた。すぐにでも飛び出したいと前のめりになるゼルセを帰還させて、俺も『小規模ワープ』で後ろに下がった。ラージスケルトンさえ倒してしまえば、魔法でもあっさり倒すことができる奴しか残っていないのだ。なので、割と近めにいるスケルトンたちを『マルチロックオン』と『ニードル』で1体ずつ頭を砕いて数を減らす。キャラビーとヒツギは時々飛んでくる弓矢を防いでいた。ゼルセのファインプレーでスケルトンアーチャーがほとんど残っていないから楽そうだ。
「準備できたよ。みんな構えてね! はじけるほのお」
そこそこ数が減ってきたところで、開始から準備をしていたマナが魔法を放った。邪龍を撃退したときにも使っていたマナのオリジナル魔法だが、前の時と違って1つ1つの蛍火が大きく、速かった。それらはすぐに向かってくるスケルトンたちの元までたどり着くと、撃ち落とそうとしたのか、それに攻撃してきたスケルトンソルジャーに向かったものが爆発し、それをきっかけに次々と爆発が連鎖した。
「前のから改良を加えて殲滅能力を高めてあるんだ。素材の回収の必要がないから思いっきり試せるね」
笑顔でそう語るマナが若干怖くなりながらも、爆発の煙が晴れるのを待つ。すでに煙の中でラージスケルトンが消えていくのが見えたこともあり、確実に倒しているのはわかっているから、警戒する必要はないが、煙でドロップしたものも見えないからはやく晴れてほしいな。
それから、煙が晴れたのは1分ぐらいたってからだった。残っていたのは1本の骨。『鑑定』した限りでは、ラージスケルトンの腕の骨らしいが、これ売れるのか?
そんな疑問を残しながらも、怪我がないことを確認した俺たちは、ボス部屋を出て、ダンジョンをあとにした。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
世間ではGWですね。バイトが忙しかった…
そういえば、ネット小説大賞は2次通過はなりませんでした。
読んでくださっている方で二次通過した方がいましたらおめでとうございます!
やはり二次の壁は高いですね。
ではまた次回




