善の洞穴です1
ついに来ました300話!
ここまでこれたのも皆様の応援のおかげです。
ありがとうございます!今後もよろしくお願いします!
「悪いマナ、1体抜けた!」
「任せて! エアハンマー!」
龍骨の棍棒と龍牙の棍棒で数体のスケルトンの頭を砕いた俺の横を、滑るようにスケルトンドッグがかけていき、すぐにマナの魔法でばらばらに吹き飛んでいく。何本かの骨が、こちらに向かってくるスケルトンたちに直撃するも、痛みを感じることのないスケルトンたちは構わず突っ込んできた。
「メイ、伏せて!」
ゆったりとした動作で切りかかってくるスケルトンの攻撃をしゃがんで回避すると、頭があった位置を猛スピードの棺桶が通り過ぎ、後続を巻き込んで粉砕していった。しゃがんでいる俺にスケルトンドッグが噛みつこうとしてくるが、直線上に棍棒の突きを放って返り討ちにする。破片が飛んでくるのは嫌なので『小規模ワープ』ですっと上に跳び、『空蹴り』で近くのスケルトンに近づいて頭を砕いてやる。周りを見れば、ヒツギとキャラビーがそれぞれスケルトンを倒し、敵は全滅した。
昨日の昼間、冒険者ギルドで情報収集をし、夜に会議をした俺たちは、結局今朝から『善の洞穴』に挑んでいた。
改めて情報を集めた結果、昨日の会議では意見が割れることなく、満場一致で『善の洞穴』に決まったのだ。理由としては、一番は『貴の山』に挑む前の会議の時からヒツギが棺桶による攻撃が有利だから行きたいと言っていたことだが、俺の新武器の調子を確かめたいという理由もあった。
『善の洞穴』は、アンデッドだらけの薄暗い洞窟のダンジョンだ。罠自体はそれほど凶悪なものは少なく、どちらかと言えばモンスターを呼び寄せるタイプの罠が多い。30層までは、基本的にスケルトン系のモンスターしか出現せずごくまれに罠でゾンビが召喚される。45層を超えてくると、実体を持たないゴースト系のモンスターやスピリット系のモンスターが出現し始め、壁をすり抜けていきなり現れることもあるらしい。
朝から入り始めた『善の洞穴』だが、時刻はすでに夕方。今しがた15層の階段近くにあった広間のモンスターを殲滅したところだ。いつにもましてハイペースで進んでいるが、戦闘回数自体は非常に少なく、この広間で戦ったのはダンジョンに入ってから10回目くらいの戦闘だ。これには、この町が活気づいていることと関係があった。あまりにもダンジョンに挑むパーティが多すぎるのだ。
ソルミアの町から帰ってきたときに、町が混雑していると感じていたのは大正解だった。
もともと、第二段階のダンジョンの噂で人は増えていたのだが、この世界では、情報の伝達はあまり早くない。高ランクのパーティだとか、ギルドならば直接冒険者ギルドから話がいっているかもしれないが、普通に活動している冒険者が離れた町の情報を知るのはかなり遅くなる。もちろん、情報を仕入れても、実際に行くためには金もたくさんいるし、準備にも実際に行くのにも時間がかかる。そのため、徐々に増え始め、3か月くらいたった今になって、もはや過剰と思えるほどに増えてしまったのだ。
ダンジョンに入る時も待つことになったが、ダンジョンに入ってからはモンスターを見つける度にすでに戦闘が行われており、別の道を行くことになった。
先に進み、10層を超えるとさすがに減ってきたが、それでも人はいる。ここまでくると、元々この町で活動していた冒険者が増えていた。10層から先は上位のスケルトンも混じるようになり、稼ぎも増える。俺も1回だけスケルトンソルジャーから飛び道具として剣を回収しているし、今の戦闘でも倒す際に壊れてしまったが、スケルトンアーチャーの弓は普通に使えるものだった。売れば宿代くらいにはなるだろう。そんな事情もあり、どんどん先に進まないと何もできないような状態だったのだ。
「お疲れ様。みんな怪我はない? すぐにヒールかけるから言ってね」
大量に散らばるスケルトンたちの残骸を踏み越えながら俺のところに集まってくる3人にマナが杖を振りながら言った。戦闘中に見ていた限りでは誰も被弾している様子はなかったがどうだろうか。
「私は大丈夫よ。アーチャーは先に潰したから、あとは私の武器の方が射程長いし、近づかせなかったから」
「私も大丈夫です」
「俺も大丈夫。危なかったのはヒツギの攻撃のとこだけだしな」
「伏せてって言ったじゃない。それに、何体か固まっていたから、まとめて倒すチャンスだったし」
「まあたしかに、あれでそれなりの数を倒していたからな。攻めてるわけじゃないよ」
「謝罪と賠償を要求します!」
「はいはい、ごめんごめん」
「軽い!?」
「怪我もないなら今日はこれくらいにして戻ろうぜ。転移陣も近いし、そろそろいい時間だろ?」
「そうだね。さすがに今から20層まで行こうとなると真夜中になっちゃう」
「ダンジョンで1泊するにしても、ここはいやだなぁ……」
「モンスターの来ない安息所もありますが、どうしてもこのどんよりとした空気は変わらないとありました」
「決まりだな。回収は……いいよな?」
「いいと思うよ。上位はあのアーチャーだけだったでしょ?」
「俺は他には気づかなかったけど」
「いなかったはずだよ。もしいたとしたらたぶんハイスケルトンドッグくらいかな。若干スケルトンドッグの攻撃の統率がとれてる感じがしたし」
「そうなると……あの残骸から探すのは無理だよな」
俺の視線の先には、ばらばらになった骨たちがあった。スケルトンドッグ、ハイスケルトンドッグはともに牙しか売れる部分がない。『鑑定』しながら探せばたぶん見つかるだろうけど、頭を砕く倒し方しかしてないから、あってもひびが入っていると思うし、その苦労に見合う金額ではないだろう。
「じゃあいこっか」
地図を取り出したマナのあとについて俺たちは転移陣に向かった。
ダンジョンを出て、わずかだが回収してきた売れるものを冒険者ギルドに売って、館に帰ってきた。1層から15層まで行ったのに銅貨10枚にしかならず、明日はもっと先まで行こうと全員の意見が一致したので、明日はハイペースでいこう。
俺たちが帰ってきた時、ユウカはまだ帰ってきていなかったが、キャラビーのおなかから「きゅるる」とかわいい主張がなされたので、先にご飯を食べることにした。時間的にはいつもより少し早い程度だし問題ない。今日はいつも以上に歩いたけれど、昼をダンジョン内で軽くつまんだだけだから、お腹が空いても仕方ない。キャラビーは育ち盛りだもんな。
晩御飯を食べ終わって、女性陣がお風呂に行ってすぐくらいにユウカが帰ってきた。今日は昔の知り合いに再会して夜はその知り合いと一緒にご飯を食べてきたそうだ。それにしては早い気がしなくもないが、酒は飲んでいないみたいだからこれくらいか。ユウカも裸の付き合いと言って風呂に向かった。その間に洗い物を済ませ、ブラウニーたちにご飯をあげに行った。
「「「うにー!」」」
俺がいつもの部屋に入ったとたん、10体ほどのブラウニーたちが頭に飛びついてきた。1体1体ががっしりと俺の頭に張り付いており、ブラウニーたちで前が見えないし、重い。
「どうしたお前ら。とりあえず離してくれ」
「「うにうにー」」
1体ずつ慎重にはがしていく。軽く横腹をくすぐってやるだけで離してくれるからまだ楽だけど、髪の毛を引っ張るんじゃない!
1分くらいかかって全員をはがし終えると、ブラウニーたちが俺の視界を奪いに来た理由が分かった。おろおろするブラウニーたちを蹴らないようにそれの前に進んでいき、優しく両手を脇の下に入れて顔の高さまで持ち上げた。
「あーそのー」
「いつのまに出てきてたんだ?」
「き、きのうのよるから……」
「ずっとここに?」
「い、いえのなかからはでてないぞ!」
「ブラウニーたちに匿ってもらって?」
「ちゃんとおれいにまりょくをあげてたから、ブラウニーたちもよろこんでいたから」
「いたから?」
「……ごめんなさい」
「よろしい別に勝手に出てくるのはいいから、俺の目の届く範囲にはいてくれよ。黄龍」
「わかったぞ! ちちさま!」
黄龍をお肉抜きの刑に処すのは少しかわいそうなので、そこから1分くらいかけて入念にくすぐり倒して、黄龍を戻し、ブラウニーたちに魔力をあげた。そんなトラブルがあってなんだか疲れたが、女性陣が風呂から出るまで俺は部屋で休むことにした。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
記念だし3日であげるつもりだったんですが…すいません。
前書で書きましたが、ついに300話ですよ300話!
始めたころはここまでくるなんて思っていませんでした。皆さま応援ありがとうございます!
300話記念の登場人物まとめはまた後日になります。
1から読み直してまとめてるから時間がかかるのです。まとめてあったと思ったんだけどなぁ。
次の話をあげる前には活動報告の方にのせておく予定です。本編には関係ないので、見たい方がいましたら気が向いた時にでもどうぞ。
まとめといってもほとんど人名だけになりそうなんですけどね。
長々と失礼しました。これからもよろしくお願いします。
ではまた次回