依頼です
「お疲れー。やっぱり楽勝だった?」
「想像以上に弱かった。あれならランクCくらいすぐなれるぞ。まぁ強さだけが基準じゃないだろうけど」
もし人間性とか家柄とか常識とか入ったら無理だと思う。だってなんも知らねーし。たぶんギルドへの貢献度とかそういったことがランクを上げるためには必要になってくるだろうからなかなか上がらない気もする。
「そうだ、いくらあったの? 私もいくらかは持ってるけどほんの少しだし」
「そこそこあるっぽいけどいくらあるかわからん。さっきの受付の人に聞こう」
価値とか単位とか……あとヒツギの持ってる俺がもらったのとは絵柄が全く違う通貨のこととか。
俺たちは受付の人に聞きにいった。あ、名前聞いとこ。
「通貨のこと……ですか?」
「はい。俺らまったくわからないので」
「私わかるよ?」
「そのどこのかわからない通貨を見せながら言ってもな」
「ちょちょちょっと待ってくださいよ!? それってエルミーナ通貨ですか!? そんなに状態がいいものは見たことがないですよ!」
「ヒツギ、それもう出すな。いらん火種になる」
「うっ。わかった……」
「すんません、今のは忘れてください」
「あんなものいったいいくらになることか……あ、すいません、少々意識が。通貨価値ですよねわかりました」
冷静さを取り戻した受付の人の説明によるとこの通貨の名前は王都通貨。まあ金でいいよね。その種類は白金貨、金貨、銀貨、銅貨の4種類。
銅貨100枚=銀貨1枚
銀貨100枚=金貨1枚
金貨1000枚=白金貨1枚
のように換金できるんだとか。さっきの袋にあった合計は銀貨5枚銅貨25枚。しばらく飯に困ることはないそうだ。防具とか買ったら別なんだろうが。
説明してもらったあと名前を聞いたらすんなり教えてくれた。ミナさんらしい。できるだけミナさんのところにいこう。他の人より色々聞きやすそうだ。
それから俺たちは依頼掲示板を見に行った。受けるかどうかは内容次第だ。
「うーん、ランクFって雑用ばっかりだね。町掃除に迷子のペット探し、落とし物捜索って。どれも安いのばかりだし」
「そりゃ冒険者になりたてならまずはこういうので経験積むんじゃないか? それと町掃除はたぶん冒険者のイメージアップ」
「さっきの人たちみたいなのが下げるんだろうね」
「まぁそれ言ったらだめだろ。ランクE-以上の依頼はどうだ?」
「薬草採集とかが多いけど討伐もあるね」
「リトルフォックス、キャタピラー、スライム の討伐か……。それぞれ10匹倒したらOKか」
「倒した数はギルドカードに記憶されるから大丈夫ってあるね。スライムなんか部位ないしありがたいね」
この討伐数を記憶してくれるシステムは俺としては相当ありがたい。基本的に倒したやつは全部喰らうからパーツなんか残らない。残すとしたら爪や牙など武器として使いたい部位だけだ。そう考えると討伐部位の提出がある依頼はなしだな。モンスターの死体は俺らでもらいたい。
「まぁそういう依頼を中心にやってこうぜ。収集でもいいけど」
「鑑定あれば確実だしね。じゃあキャタピラーの討伐にしようよ。さっき森で見かけたし」
「あの糸はいてたやつか? でかいイモムシの」
「そう。遠距離から攻撃すればいいだろうし、ゆっくりそうだから反撃を受けるとも思えないし」
「あの体で素早かったらランクE-どころじゃないだろうしな」
というわけで『キャタピラー10体の討伐』と書かれた依頼書をもってミナさんのところに行く。
『キャタピラーの討伐:
コロイドの町周辺の森に生息するキャタピラー10体の討伐
依頼報酬:銅貨50枚』
幸い誰もいなかったのですぐに対応してもらえた。
「すんません、この依頼受けに来ました」
「キャタピラーの討伐ですね。では終わりましたらこちらに戻ってきてください」
「はい。早速いってきますよ」
「防具は後でいいよね?」
「とりあえずこの依頼終わってから揃えよう。反撃喰らう前に倒せばいいんだ」
そんなことを話しながら森へ向かって歩きだした。
森についてすぐに一体目のキャタピラーがいた。地面を這って進んでいる。俺はそいつめがけて躊躇なくファングショットを放った。半透明な牙で噛みつかれて緑色の体液が飛び散る。キャタピラーはしばしピクピクとなっていたがそのうち動かなくなった。
「一撃か。次ヒツギの番な。二人で20体倒さないといかんしすぐ次探そう」
「探すも何もそこら中にいるけどね」
ヒツギの言葉を聞いて回りを見渡してみると木々の合間とか根本とかあちこちにいた。こんなにいるもんなのか……。
「なら順番はやめだ。それぞれ自由に戦う。基本10体で終わりにして相手のとこにいく。二人とも終わったとこで状況判断だ」
「わかった。反撃なんか受けないでね♪」
「こっちのセリフだよ。俺は基本遠距離から狙撃だから近づかねぇもん。糸はかれたら届くかも知れないけどたいしたダメージにはなりそうにない。ヒツギは今は接近しないと攻撃できないし気を付けろよ」
「メイが私を心配してくれてる! 頑張らなくちゃ!」
「油断すんなよ」
俺はやたらやる気になったヒツギを横目にキャタピラーを喰らい防御上昇(小)を手にいれて次の獲物に狙いをつける。
スキルで遠くから狙って、確実に仕留めて、瞳で喰らう。そんな動作をあと8回繰り返して俺の狩りは一旦中断。キャタピラーが糸はく暇すらなかったな。
「さて、ヒツギ、そっちはどうだ?」
俺は何気なくヒツギのほうをみた。周りには9ヶ所に緑色の体液の跡があったから今戦ってるので最後なのだろう。……が、今戦っているキャタピラーのサイズがおかしかった。
普通のキャタピラーは大きさにして70cmくらいのイモムシである。多少の大小はあるものの1mを超すような個体はいないものと考えられた。
が、今ヒツギが戦ってるのは普通にヒツギより2まわり以上にでかい。たぶん高さだけでも3m近くある。大きさは5、6mといったところだろう。あのサイズってここのキャタピラーのボスじゃねえの? とそんな思いがよぎる。『鑑定』を使ってもしっかりとキャタピラーとでるので突然変異かもしれない。
なにかあったらすぐに助けにはいれるように構えておくが、ヒツギはその巨体をものともせずに棺桶を叩き込んでいた。ヒツギは棺桶2つをつなぐ鎖をつかんで、遠心力を使いながら威力を高めて使う。もとからこの戦いかたなのか、能力が下がってるからこうなのかはわからないが一見問題無さそうだ。
そうしているうちにヒツギの棺桶がキャタピラーに刺さった。噴き出した体液が他のキャタピラーとは比べ物にならない量だ。それでもなおヒツギに襲いかかろうとするキャタピラーだったが、ヒツギのもう1つの棺桶をくらって倒れていた。倒したキャタピラーは光の粒となって棺桶に吸収された。
「最後のやたらでかかったな」
「私もびっくりしちゃったよー。まわりにいたの倒してたら奥からあんなの出てきたんだもん」
「普通に考えてあんなサイズこのあたりにいていい大きさじゃないと思うんだが……」
「オークが通った跡をつけてきたとか? ほら、餌を求めてさ」
「それにしてはこのあたりにキャタピラーがいすぎだろ。どうみても餌が足りてない」
俺たちはあたりをぐるっと見渡した。わらわらとどんどん奥からキャタピラーがやってきていた。さっきのやつを追ってきたように。
「この数だと多少危ないか?」
「私みたいに一度に複数と戦うのにそこまで適していないときついかもね。私なら戦いかた変えればなんとかなるけど」
「これはギルドに伝えるべき?」
「そう思う。でも放置したらこのあたりは食い尽くされちゃう」
キャタピラーは基本的に草食だが、実際には人間だろうと襲いかかる雑食だ。今このあたりにはたくさんの木という大量の餌がある。それでも今いる多くのキャタピラーを考えると心もとない。さらにこのあともどんどんやってきて、そのうち繁殖してしまうことを思うと圧倒的に足りなくなる。そうならないようにキャタピラーの討伐依頼があるのだ。モンスターの討伐はなにも現在被害がでているものだけではない。今後確実に被害がでるとわかっているモンスターは被害が出る前に倒す。それが基本だ。
未来の脅威という点において、この世界には人間以外にも多様な種族が存在する。俺たちがモンスターと見なすか否かはコミュニケーション能力の有無と主食が人間であるかどうかで決まる。人間の傲慢だってわかってはいるが、それでも怖いものは仕方がない。
中には人間至上主義を掲げる地域とかもあるらしい。それはどうなんだろうか?
「ともかく、ヒツギはできるだけ早くギルドに伝えてくれ」
「メイは?」
「俺はしばらくこいつらを狩ってるから。数を少しでも減らしとく」
「危なくない?」
「そこはヒツギが早く戻ってきてくれるかどうかだよ。ご褒美は用意しとくか」
「今すぐいくから宿でイチャイチャしようね!」
いやしねーけど。という俺の言葉を聞く前にヒツギは町に走り出した。期待されてもな……。
「さて、何体いるかわからんけど、ここを抜けられると思うなよ?」
そして俺の足止め戦が始まった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『冒険者 Lv40
格闘家 Lv40
狙撃手 Lv32
盗賊 Lv30
剣士 Lv28
武闘家 Lv23
戦士 Lv23
魔法使いLv28
薬剤師 Lv30
鬼人 Lv5
????の勇者Lv7
狙撃主 Lv1
獣人 Lv1 』
本日2話目!
明日中に100000文字まで投稿しなければ!!!
ではまた次回