久しぶりのグリムの町です
重苦しい雰囲気は最初だけで、その日の昼過ぎにはいつも通りの穏やかな雰囲気に戻り、この10日の道中で襲撃も1度だけでグリムにたどり着いた。
襲撃は、4日目の昼間に起こった。襲撃と言っても大したことはなく、ウルフとレッサーウルフ2体の群れが昼食の匂いに誘われてやってきただけだった。一般的な保存食として食べられているようなものしか食べていないのだが、それでも匂いがわかるくらい近くにたまたまいたんだろうな。決して俺たちが匂うとかではない…よな?
昼過ぎになって、戻ってきたグリムの町は、前にもまして活気があるような感じがした。1月以上離れていたわけで、その間にこの町に来た冒険者が多かったのかもしれない。門のところでギルドカードを提示する際も、同じような馬車が3台ほど並んでいてすぐには入れなかったし、この停車場につくまでにも混雑していて少し時間がかかってしまった。
馬車を降りると、軽く掃除をして、すぐに次の客が乗り込んでいった。俺たちが乗ってきた馬車にも、少し定員オーバーじゃないか? と思うくらいの人たちが乗っていたのを見て、近くの人に確認してみると、どうも近くオークションが開かれるらしく、そこで魔装や便利な魔道具が出品されるそうだ。
後から聞いた話だが、魔装はユウカが冒険者ギルドに売却したものなのだそうだ。自己修復(弱)と硬度上昇のついた金属鎧で、軽量化がかかってないからかなり重量もあり、動きも阻害されるから自分では使わないし、周りに使うような人もいないからギルドに売ってオークションに出してもらったらしい。必要な人が使ってもらえたらその方が魔装もうれしいだろうとのことだ。
冒険者ギルドに、道中で倒したウルフたちの毛皮を売って、そのお金で串焼きを1人1本買って、館に帰ってきた。久しぶりに帰ってきた館は、アンナとブラウニーたちのおかげで、以前と変わりなく、モンスターなどに襲撃されたような跡は見られなかった。
ブラウニーたちはアンナからしっかりと魔力をもらっていたようで、いつもの部屋に集まったみんなにあげる魔力の量はそれほど多くなくてすんだ。アンナにはあとできちんと目利きして選んだ蜂蜜をプレゼントしよう。残念ながら、みんなにも大好評であったハニーベアの肉はついになくなってしまった。ハニーベアがいるのは『ジャングル』の比較的浅い層だし、それほど遠くないからまた機会を見つけて補充に行ってもいいかもしれないな。しかし、今はオークションで混雑しているだろうから、かなり先になってしまうだろう。まあなくても龍たちの肉が食べきれないくらいあるから行かなくてもいいかもしれないけど。
その日は、長かった馬車旅で疲れているということもあり、各自部屋に戻って休むことになった。『再生』などで回復しているはずが、思った以上に疲れていたようで、久しぶりのベッドに、晩御飯を食べずにその日は寝てしまった。
次の日、しっかりと休んで元気になった俺たちは、情報集めなどのため、町にでかけることにした。と言っても、マナとヒツギが先行してギルドで情報集めをし、俺とキャラビーは一度ガンダさんのところに行ってからだ。
前回のミラの町に行った時と違い、今回はそれほど余裕がある日程ではなかったこともあり、出発前にガンダさんに声をかけに来なかった。館にはアンナとブラウニ―たちしかいないし、町の外にある館までガンダさんが来ることもないから連絡も取れない状況だ。ガンダさんからすれば、連絡もなしにいきなり来なくなって、1か月以上来ていないわけだ。おそらくどうしたのだろうと心配しているだろう。
ガンダさんの鍛冶屋に来てみると、相変わらず客はいないが、入り口は空いていた。
「すいません、ガンダさんいますかー?」
中を覗き込んでも誰もいなかったので奥に声をかけてみると、ドタドタと音をたてながらガンダさんがやってきた。
「おう、聞き覚えのある声だと思ったらメイとキャラビーか。久しぶりだな」
「お久しぶりです。急にこれなくなってしまいすいません」
「別に気にしちゃいない。まあ1月はちと長いが、冒険者が数週間ダンジョンから戻らないなんてことはよくあることだからな。俺はてっきりダンジョンでなんかあったのかと思ったよ」
「いえ、少し私用で町を離れていたんです。そうそう簡単には負けたりしませんよ」
「あれだけの素材を大量に集められるやつがそう簡単に死ぬとは思わないが、なにがあるかわからんからな。最近で言えば『怒涛のティラノス』が敗走したのがいい例だ。鎧の修繕を頼まれたが、さすがにあそこまで壊されてたら作り直したほうがいいと断ったよ。スキルつきの一品だったが、完全に壊れてたからな。よっぽどのモンスターと戦ったんだろう。お前さんたちも気をつけろよ」
「はい。ありがとうございます」
「ところで、今日は顔見せだけか? 稽古付けてくれってことなら今日は悪いが予定があって引き受けられん」
「今日は大丈夫です。いつ頃なら大丈夫ですか?」
「今は仕事に集中したいから、少なくとも3週間くらいは教えられない。オークションの後は依頼が増えるからかきいれ時なんだ」
「そうなんですか?」
「ああ。オークションで新しい武器や防具を手に入れるはずだったやつらが研ぎなおしだったり、修繕依頼をしに来るんだよ。新調のために金は溜めてきてるような連中だから払わずに逃げるようなのはほとんどいないし、きたやつらには手入れの大切さを伝えてやれる。どうしても武器の素材と技量で限界はあるが、次の武器を手に入れるまでのつなぎとして整備してやることはできる」
「つなぎですか?」
「ああ。オークションを境に交換するつもりだったからかわからんが、手入れを怠っているやつが多いんだ。鎧のひびをそのままにしていたやつもいたよ。まあ、自分で言うのもなんだが、俺は腕は確かだから、ある程度よくはできる。中には手入れしたことで切れ味が増したと感謝しに来るようなやつもいてな。今思えば、それからだろうな。俺が手入れを教えるようにしたのは」
「そのおかげで俺たちも教えてもらえたわけなんですね」
「そうかもしれんな。今あいつどうしてるんだろうか……」
「冒険者なんですよね?」
「たぶんな。確認してないから知らんが、見た目はひょろっちいのに、持っている道具や武器はいいもので、貴族ではないそうだからなんともちぐはぐな感じがしたのを覚えているよ」
「魔法をメインで使ってるんじゃないですかね? 武器はあくまでも接近された時のための物で」
「その可能性は高そうだな。って、あんま個人の詮索をさせるんじゃねえよ。ほら、用が済んだなら帰った帰った!」
「お邪魔しました。ではまた3週間後くらいにお願いします」
「おう。キャラビーだけなら2週間後でもいいぞ。むしろ刻印を任せたいくらいだしな」
「どうするキャラビー?」
「わ、私はちょっと……」
「ということらしいですよ」
「冗談だから安心しな。刻印をするような依頼も入ってないから」
「まあ、もしもの時は館に連絡をもらえれば考えますよ。それでは」
軽く礼をして鍛冶屋をあとにした俺たちは、マナたちが待っているはずのギルドに向かった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
遅くなりました。
気づけばすでに299話。300話になったら記念ということでおそらく活動報告に登場人物(一部)の一覧みたいなものをのせたいと思います。あくまで予定ですが。
ではまた次回