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サンとの話です


 宿に戻った俺たちは、重たい空気のまま部屋に分かれた。何か俺にできることはないかと考えてはみたが、今のヒツギに何をしてやればいいのかわからなかった。結局、宿の前でマナからこっそりと言われた「任せて」という言葉に甘えることにしたのだ。


 部屋のベッドに横になったはいいものの、何かする気にもなれず、ぼーっとしていると、コンコンとドアがノックされた。


「誰だ?」


 体だけ起こして、入り口に声をかけると、ここの主人が扉越しに話しかけてきた。


「下にお客様に用があるという方がいらしているのですが」


「俺に? マナたちも呼んだほうがいいですかね?」


「男の冒険者の方のみとのことですので、お呼びしないほうがいいかと思います」


「わかりました。すぐ行きます」


 そう言って、ローブを羽織って外に出ると、扉の前に立っていた主人の顔には困惑した表情が浮かんでいた。


「こう言ってはなんなのですが、ギルド長のドムドムさんの使いとは言っていましたが、やってきたのは奴隷(・・)でしたし、ドムドムさんに部下がいないのはこの町の人間なら全員知っています。どうにも信用ができないと言いますか……」


「心配していただいてありがとうございます。でも、ドムドムさんの部下というか、本部のギルドマスターの部下が今来ているみたいなので大丈夫だと思いますよ。このままこの町にいるかはわかりませんが」


「そうなのですか? そんなお偉いさんが今町に……。まあうちとは関係ないですけどね。今は食堂で待っています。この時間帯ならそれほど人はいませんが、貸し切りは勘弁してくださいね。うちは宿の客よりも食堂を使う客の方が多いんですから」


「わかっています」


 主人と別れて、俺は下の食堂に向かった。




 食堂の中でも奥の方の人気の少ない場所にサンが座っていた。サンドイッチをつまみながら周囲の様子をうかがっているみたいだ。


「俺に用があるとか。アハトさんが何か伝え忘れたのか?」


「あ、メイ様。さっきの今ですいません」


「いや。何かあったのか?」


「アハト様から、他の3人には言えない話があるのではないかと」


「……どうして?」


「アハト様は人を見る目は確かです。言い方は失礼かと思いますが、素人の方の腹芸くらいは簡単に見抜いてしまいますよ」


「それは心に留めておくよ。そうだな……。2つほど調べてほしいことがあるんだが、それを伝えてもらっていいか? マナたちには内緒で」


「なんなりと」


「1つはモンスターの情報なんですが、テレパシーの能力を持ったモンスターに心当たりがないかということです」


「テレパシーですか? それくらいでしたら私でもすぐに伝えられますよ」


「ほんとに?」


「ええ。というより、非常に有名なモンスターがそうですね」


「有名?」


「オークです」


「は?」


「ですから、言葉に出さずに仲間と連絡を取り合ったり、情報連携をしたりするモンスターとして有名ですよ」


「以前戦ったオークはそんな風にしていた記憶はないんだが……」


「それはそうですよ。オークがテレパシーを使うと言っても、ある程度経験を経て、数十単位のオークを従えるようになって初めて使うようになるという研究結果がでていますからね。それも、森にすむオークではなく、洞窟にすむオークのみしか使わないそうです」


「そんな研究結果があるのか」


「そうみたいですね。両方のオークを複数の研究者が協力して従魔として様々な手段を用いて調べたそうですよ。たしか370年ほど前の文献だったかと」


「よく覚えているな」


「あそこでの私の役割は勉学などの指導が主でしたので、ある程度文献などは読み漁りました。私は比較的早く買われた身ですので、時間だけは他の者よりも長くありましたので」


「……すまない」


「……いえ。かまいませんよ。たしかに、まだ心の中で踏ん切りはついていませんが、時間が解決してくれるのではないかと考えています。ですが、ナナとハチがいるというのも大きいですね。私まで悲しんでいては2人に示しがつかないと思いますし、残った彼らに死後どんな顔をして会えばいいのかわからなくなりますからね」


「彼らとはもう連絡がとれないのか?」


「はい。破壊した魔方陣を使用しなければ連絡が取れないようにしてありましたから。機密を守るには必須です」


「せめて安らかに眠ることを祈るとするしかないな」


「そうですね」


「テレパシーに関してはとりあえずはこれでいい。もう1つの話なのだが、シルフィードという名前の人物について情報がないか調べてほしい」


「シルフィードですか?」


「ああ。石碑に唯一名前が刻まれていた奴隷の少女らしいんだ。マナは特に問題視していなかったけど、少し気になってな。奴隷の話ってなったらキャラビーは不安そうな顔をするし、みんなの前では下手にできないんだ」


「わかりました。お伝えしておきます。連絡は館に手紙を届けますので、ギルド経由でお聞きになってください。グリムの町にはカラス様がいらっしゃると思いますので、おそらくカラス様からお伝えする流れになると思われます」


「わかった。お前もあまり抱え込むなよ。壊れてからじゃ遅いからな」


「承知いたしました。それでは失礼します。あ、あと、グリムまでの馬車をご所望でしたら、明日の10時の便に空きがあるそうですのでよろしければ。王都からここを経由しての馬車ですので、乗っているとしても冒険者の方だと思います。貴族の方はだいたいこの町で降りてしまいますので」


「ありがとう。利用させてもらうよ」


「御武運を」


 礼をして宿を出て行くサンを見送って、主人に用は済んだと伝えて俺は部屋に戻った。





 その後、部屋に行くと、どっこか多少吹っ切れた様子のヒツギがおり、一緒に向こうの部屋に行って明日の馬車の話を伝えた。後でまたタイミングを計ってマナにお礼をしておこう。……無理のない範囲で。



 そして、次の日、俺たちは宿を出て、乗合馬車の停車場に向かった。



どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  LvMAX(50)

 魔術師 LvMAX(60)

 聖???の勇者Lv15/??

 薬剤師 Lv51/60

 ローグ Lv31/70

 重戦士 Lv39/70

 剣闘士 Lv30/60

 神官  Lv19/50

 龍人  Lv2/20

 精霊使いLv4/40

 舞闘家 Lv4/70

 大鬼人 Lv2/40

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv1/30

 魔導士 Lv1/90 』


ミスでナナとハチ以外に魔方陣でソルミアに転移して来た人が変わっていたのでサンで統一しました。

読み直したらゴーがこっちに来てることになってましたね。すいません。


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
「ならそれを条件にその依頼受けます。馬車は用意してもらえますか?」 「ああ。ギルドから君たちに贈ろう。依頼の報酬ということにしておくよ」 報酬の馬車はどこに行った これから新車が貰えるのかな
[気になる点] 唯一名前が残されていたのはエルフのメイムでしたが、意図的に足跡を知りたいシルフィードにしたのですか?
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