表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
288/592

石碑の話です1


 朝、ギルドに行くと、珍しく俺たち以外に冒険者がおり、職員さんと話していた。聞こえてくる内容がランクの説明や依頼の受け方のようだし、どうも新人の冒険者らしいな。俺たちはその話が終わるまで壁際によって待っていることにした。


 何気なく話しながら待っていると、職員さんの話が終わる前に奥からアハトさんが様子を見に来た。ギルドの中を見渡して、俺たちがいることに気づいたアハトさんが手招きをして、俺たちは昨日も来た、奥の部屋に案内された。


「待たせてすまないな。ドムドムも久しぶりの新人で張り切っているようでな。あの5人も真面目な性格のようで、かれこれ20分はドムドムを質問攻めしているのだ。おかげで5分おきくらいに私が出る羽目になったよ。誰も来ないのにな」


「今回は私たちが来たわけですしよかったんじゃないですか?」


「まあそうかもしれんな。ドムドムを経由してもよいが、直接できるならそれに越したことはない。さて、許可は昨日のうちにとってあるがすぐに向かうか?」


「はい。そのために来たんですから」


「わかった」


 アハトさんは、そう一言だけ述べて、部屋の奥の棚の前に行くと、俺たちから場所が見えないようにしながら、棚にある本を押しこんだ。すると、音もたてずに棚自体が床下に沈んでいき、その奥に地下へとつながる通路が現れた。


「この通路は王族のみが知っている通路だ。外部に漏らした場合、即死刑だからそのつもりでいるように」


「冒険者ギルドの中にあるなら職員が掃除のときとかに見つけちゃったりしないんですか?」


「なんのためにここのギルドが職員1人だけになっていると思っているのだ。ドムドムはこちら(王族)側の人間だ。亡くなるまで移動になることも後輩が入ってくることもない。ここは1人でも回るようにと意図的に小さく作られているのだよ。それでも1人で1つのギルドをまわすというのは相当大変なのだがな」


 人は見かけによらないとは言うが、あの人が有能だというのはなんとなく信じられない。でも、そうなるまでにはかなりの苦労があったのだろう。あ、だから髪が……。


「早くいくぞ。それほど長い時間降りているわけではないのだ」


 そう言うアハトさんの視線の先を見ると、少しずつではあるが、下に沈んでいた棚が動き始めていた。今はアハトさんが上にいるからくぼみが平らになるまでで止まっているが、アハトさんがどいたら元の位置に戻ってしまうのだろう。

 俺たちは先に地下への階段を下り始めた。




 階段は、少し進んだところから螺旋階段に変わり、足元がぼんやりと光っているだけの状態なのでまったく先がわからない。棚が完全に戻ったことを確認したアハトさんが先頭で進んでいるが、何も言わずにどんどん進んでしまうのでいつ終わるのかがわからない。日差しもなく、蝋燭などの時間がわかりそうなものも何もないので時間感覚もわからない。果たしてどれくらい降ればいいのか……。




 下り始めてどれくらい経ったのがわからないが、ようやく終わりが見えてきた。階段の先から光が漏れているのだ。


「ようこそいらっしゃいました。アハト・マ・カシュマ様、そしてお連れの『マツノキ』の皆様。本日の案内をさせていただきます、ロクと申します」


「この者はここの管理を任せられている者の1人だ」


 階段を抜けた先には、だだっ広い空間が広がっていた。屋内のはずなのだが、そこには自然があり、チックバードやプチドッグなどが木の陰などからこちらをうかがっている。しかし、部屋であることを示すように奥の壁には扉が付いており、さらに奥につながっているようだ。


 ロクという人物は身長が1mほどしかなく、真っ白な髪がすごく特徴的だが、何よりも特徴的なのがその首だった。


「奴隷……」


 キャラビーがそれを見てぽつりとつぶやく。そう、ロクの首には奴隷の象徴ともいえる首輪がはまっていたのだ。


「はい。私は生まれつき王家の奴隷です。ここで働く者は全員生まれつきの国家奴隷でございます」


「奴隷を使っている理由は言わなくてもわかるな?」


 アハトさんが言外に聞くなと言ってきた。

 奴隷を使用しているのは情報を漏らさないためで間違いないだろう。王族が管理しているような場所なんか、本来ならば騎士や貴族を使うのが妥当なのだろうが、ここの場合はそれが当てはまらない。


 そもそも冒険者ギルドの地下という極めて閉鎖的な場所にあるため、警護はあまり必要ないし、その騎士や貴族が他者に漏らさないという保証はない。契約魔法を使うという手段も考えられるが、貴族を契約魔法でがちがちに縛るというのはそれはそれで問題があるだろう。騎士ならばいいかもしれないが、その騎士をどう選ぶのかという問題がある。

 その点、奴隷であればそんな問題はない。犯罪奴隷だとか誘拐で売られた奴隷なんかだと逃げ出したり何か問題を起こすかもしれないが、生まれつき奴隷として生きてきた者ならばそういう教育をしてやればいい。外の常識なんか一切なく、この限定的な閉鎖空間における異常(常識)を叩き込むのだ。まあ奴隷として生まれる人間というのを容認するかどうかはまた別問題だが。


「誤解しないでください。私は望んで奴隷として生きています。たしかに、私は生まれた時にはすでに奴隷としてこの場所で一生を終えることを定められていたようです。しかし、それが何か? ここはモンスターも盗賊も山賊も襲ってくることはありません。限られた自由しかありませんが、それほど多くない仕事と鍛錬さえこなしていればおいしいご飯が食べられる。これほど素晴らしいことはありませんよ」


「本心からそう言っているかはわからんが、ここの奴隷たちは皆同じ事を言う」


「本心ですよ。そちらの方は良い暮らしをしているようですが、私が知る限り奴隷とはただの道具です。道具は道具なりの生活しかできない。ですが、私はここの空間でならただの道具ではなく、道具()として生き、道具()として死ねる。それがどれだけうれしいことか」


「そこまでだ。案内をしろロク」


 ロクの言葉に力がこもる中、アハトさんがそれを止めた。ロクはアハトさんに小声で謝罪し、姿勢を正した。正直話を止めてくれて助かった。これ以上聞いていたらキャラビーが持ちそうになかったし。


 こちらです、と奥の扉の方に歩き出すロクのあとを歩くのに俺はそっとキャラビーの手を握った。強く握り返されるキャラビーの手は、かすかにふるえていた。


「この建物は、全部で10の部屋からなる王族の秘密施設です。この場所のことは他言無用です」


「石碑があるのはどの部屋なのですか?」


「そう慌てるな。これから説明してもらう」


「はい。石碑がある部屋ですが、ここ以外のすべて(・ ・ ・)の部屋になります」


「石碑は1つじゃないのか?」


「はい。石碑は全部で9枚。手前の部屋から奥の部屋に行くにつれて話が進む形式で残されているようです」


「ようです?」


「私を含め、ここの施設の者は誰もその内容を知りません。ほとんど読むことができないので」


「読むことができないとは?」


「文字が読めないのだ。読めるのは最初の石碑だけ。話が続いているというのはそこに書かれているだけで、実際に読めた者はいない。王族でもな」


「それって……」


 無意識的に俺とマナはヒツギの方を一瞬だが見ていた。ヒツギの表情は真剣で、まだかまだかと待ちわびているようにも感じた。


「実際に見る方が早い。ロク、扉を開け」


「はい」


 アハトさんの指示でロクが扉につけられた魔道具を弄り、扉が開く。同じような部屋だが、奥の方に石碑があるのがわかった。俺たちは石碑の方へ向かった。





どうもコクトーです。


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  LvMAX(50)

 魔術師 LvMAX(60)

 聖???の勇者Lv15/??

 薬剤師 Lv51/60

 ローグ Lv31/70

 重戦士 Lv39/70

 剣闘士 Lv30/60

 神官  Lv19/50

 龍人  Lv2/20

 精霊使いLv4/40

 舞闘家 Lv4/70

 大鬼人 Lv2/40

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv1/30

 魔導士 Lv1/90 』

普通に体調崩してしまい、遅れました。すいません。

まだまだ寒いですが、皆様体調管理には十分気をつけましょう。


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ