道中の襲撃者です3
「答えてよ! オルス!」
「……」
ヒツギの言葉に苦々しい表情で何も答えないラース。それを見てヒツギがさらに1歩前へと出た。
「なんでオルスがここにいるわけ? それに、ラースって何? いったい何が起こってるの?」
「……人違いだ」
「嘘! オルスが冗談がへたくそなのはもう知ってるんだから。ねえオルス、何があったの? 私が眠っていたこの900年の間に」
「……今のお前に話すことはない。いずれすべてわかる時が来る」
「どういうこと?」
「私が話せるのはこれがすべてだ」
ヒツギとはもう話すつもりはないとばかりに一方的に話を切り上げ、ラース、いや、オルスは俺に刀の先を突きつけて言った。その表情は、先ほどまでのどこか物悲しそうな表情ではなく、仮面がはがれた時に見えた憤怒の表情だ。
「刈谷鳴。お前がそうだったのだな。今日のところはひとまず帰らせてもらう。しかし、私はいずれお前を殺す。いや、お前を殺さなければならない」
「オルス、鳴に何をするつもり?」
「私はお前を殺すまで決して死なない。覚えておけ」
オルスは、刀を魔法袋から取り出した鞘にしまうと、仮面を拾い上げ、頭につけた。そして笛の様な甲高い音が響き、少しすると、空中に黒い渦が浮かんだ。
「あなたからの呼び出しとは珍しいですね。普段は呼べと言っても呼びませんのに」
「今回は事情があるんだ。察しろ」
渦から現れたのは以前ガルアと戦った時にやってきた女性だった。ガルアを止めようとしていたあの時とは違い、険悪な感じではなくフレンドリーな感じだ。
「察しろと言われましても……戦闘中ということくらいしかわかりませんわ」
「だろうな。一つだけ言っておくならば、あの男が刈谷鳴だそうだ」
「あら? あのおばさんが言っていた新しい暴食ですの?」
「ああ。どうも例の玉について何か知っているようだ。……おばさん発言は聞かなかったことにする」
「あら、どうも。玉の件についてはもう解決したから大丈夫ですわ。スロースに確認に行ってもらいました」
「そうか。やつの調べならば間違いはない。ラスト、頼んだ」
「わかりました。それでは皆様、ごきげんよう」
ラストと呼ばれた女性とともに、オルスは渦の中に消えていった。「まだ話は終わってない!」とヒツギが騒ぐが、渦も消えた今、相手の居場所もわからないし、追う手段もないのだが、やつは必ず俺たちの前に再び現れるという確信があった。やつが言っていたとおりに殺されるわけにはいかないけどな。
「オルス……」
「ねえヒツギ、あの人って本当にヒツギの仲間だった龍人なの?」
渦のあった場所を名残惜しそうににらみつけるヒツギに、マナが俺も気になっていたことを尋ねた。
「声といい、雰囲気といい、姿といい、あの反応といい、私は間違いなくオルスだと感じたよ」
「でも、本当にそうだとしたら900年もの間生き続けているってことか?」
「私みたいにどこかで眠っていたとも考えられるけど、たぶんそうじゃない」
「なんでそう言い切れるの?」
「昔のオルスを知っている私からすれば、魔王の手下として働くなんてありえないもの。そもそも、何も語ってはくれなかったけれど、オルスは魔族を毛嫌いしていたの。それが魔族の親玉である魔王に従っているなんて信じられない」
「洗脳されている可能性は?」
「それが一番あり得るかな。何らかの方法で不老不死になっているオルスが、精神系の魔法か魔道具で操られている。もしくは、本当はすでにオルスは死んでいて、高度な死霊術で蘇ったか」
「だが、それならマナがわかるんじゃないか?」
「無茶言わないでよ。私の『力』でも、一度も見たことがない死霊術を見抜くなんてできないよ。それを言ったら、メイの『上級鑑定』では見抜けないの?」
「俺もだめだったよ」
「そっか……。でも、私の弟だって知ってなおメイを殺そうとするなんて、次にあったらただじゃ済まさない」
「怖い怖い。しかし、今は生きているだけ儲けものだったよな。全然本気できているようには思えなかったし、何よりもあいつが憤怒と名乗っていたということは、憤怒の名をもつ悪魔の力があるはずだ。ベルゼブブのようにな」
「七つの大罪かぁ。オルスがラースで、前に倒したガルアって人がグラトニー、さっきの女の人がラストで、『アントホーム』にあったっていう玉の調査に行ったのがスロース。これで4人ってことは、まだ3人いるんだよね?」
「傲慢と強欲、そして嫉妬。全員もれなくすごい実力者ってわけか。まあ魔王直属の7人ってことらしいし、強くないわけがないが、あいつらを束ねる魔王が恐ろしいな」
「少なくとも私たちがこの世界に来てからは魔王の名前は聞いてないよね? コロイドの町みたいに魔王の部下が襲ってきたってことはあったけど」
「案外、勇者って名乗っている天上院のところには来てたかもしれないが、正直あれが魔王を倒すところは想像ができないな……」
「それに、今は行方不明なんでしょ? もしかしてすでに殺されてたりして……」
「生きている……とは思いたいけどな……。もし死んでたらどうせあの王は何かしら俺たちに絡んでくるだろう。なんと言ったって、俺たち2人が生きているということを知る方法は結構あるみたいだし」
「それは……嫌だね。マツヤナさんのことは私は絶対に許さない」
「たしか王都でマナがお世話になった人だよね?」
「うん。私のせいで」
「マナのせいじゃないよ。悪いのは国王だ」
「うん……」
「ご主人様! ご無事ですか!?」
森の方から馬の手綱を引いたキャラビーがこちらに走ってきた。ヒツギもこちらに来てしまったし、急に静かになって様子を見に来たのだろう。
「なんとかな。そっちも問題ないか?」
「はい。馬たちが若干怯えてしまっていますが、それも時間の問題でしょう」
「そっか。無事で何よりだ」
「はい!」
キャラビーの頭を撫でながら馬の様子を見た。周りをきょろきょろと見渡していて、確かに落ち着きがない。これはもう少し休憩かな。
こうして、なんとか襲撃を乗り越えた俺たちは、多くの疑問を浮かべながらも、再びソルミアの町に向かって移動を開始した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
世間ではクルシミマスですね!
私はこれからバイトです。ハイ。勝ち組だ!(涙)
ではまた次回