アハト・マ・カシュマとの話です4
「……と、こんなところでしょうか」
10分ほど続いたラムダさんの話をまとめると、敵は一人。ローブを被っていて、そのローブを剥がしてみると片角の龍人だった。机の上にあったダンジョンコアをラムダさんたちに気づかれずに自分の手元に持ってきたことから、対象を転移させることができる可能性がある。もしくは、それができるほどのスピードの持ち主。武器は一本の魔刀。ラムダさんたち三人は能力を使わせることが出来なかった。こんなところか。
「それって相当強いですよね?」
「そうなるな。怪我で離脱したとはいえガラハムは元A-。それにS-ランクを含む、パーティランクA+の『レーザー』を同時に相手取り、無傷とはいかないが、能力を隠しながら勝つことのできる実力があるのだから」
「そんな人がいるなら、どこかで有名になっていてもおかしくないんじゃないですか?」
「マナさん、いいところに気がつきましたね。その辺りは既に調べましたが、全くといっていいほど情報がありませんでした。ガラハム氏の証言を除いて」
「ガラハムさんの?」
ガラハムさんの証言というのはラムダさんたちも初耳なのか、懐疑的な表情を浮かべていた。
「ええ。『レーザー』の三人が倒されたあと、例の龍人は名乗りをあげてから立ち去ったのだそうです」
「ガラハム殿は気を失っていなかったと? 我の記憶ではかなりの出血だったのだが……」
「気合いでなんとか繋いでいただけみたいです。その名乗りも肝心なところは聞こえなかったそうですし」
「そうですか。何と名乗りをあげていたのですか?」
「『魔王様直轄の魔将の1人ラースの』と、ここまで聞き取れたそうです」
「魔王直轄の魔将か……」
アハトさんたちが魔将という部分に反応している一方で、俺たちはラースという言葉に反応していた。
ラース、おそらく七つの大罪の憤怒だろう。以前、ガルアと戦った時に、奴の名乗りが同じ感じだったんだよな。暴食のガルア。たしかやつの名乗りはそうだった。そういえば渦から出てきたラストと呼ばれていた女性もいたけれど、ラストは色欲だったかな。
「魔王の動きが活発になってきたというのはわかっていたが、ダンジョンコアを狙っていた理由はなんなのだろうか?」
「ダンジョンをコンロトールして意図的にモンスターをダンジョンからあふれさせるつもりだったんじゃないですか? 狙われていた『アントホーム』のダンジョンは近くにイリアスの町がありますし、すでにダンジョンコアの制御に成功しているダンジョンはそれができないようになっています」
「でも、それならばなぜダンジョンコアを返したのでしょうか? それと、返した際に置手紙として残したという、『本物でないならば持っている必要はない』という言葉の意味がわからない」
「そこは、あれだ。実際に『アントホーム』を攻略した3人がいるのだから。何か思い当たる節はないか?」
「本物じゃないと言われる理由ですか?」
「うむ」
そう言われて考え始めるが、すぐになんのことか思い当たった。おそらくあのアンセスタークイーンアントがその身に吸収し、俺が『一刀両断』で真っ二つにした後でヒメが噛み砕いたあの水晶球のことだろう。はじめはダンジョンコアだと思っていたけど、すぐに本物のダンジョンコアが出てきたこともあって完全に忘れてた。そういえば、あれを壊したらアンセスタークイーンアントが穏やかな感じになってたよな。
「……わかんないですね。ボスがダンジョンコアを取り込んでいたのですが、それは関係ありますかね?」
「ボスがダンジョンとリンクしていて、ダンジョンコアが存在しないダンジョンというのは過去に例があるが、ボスがダンジョンコアを取り込んでいたとは聞いたことがない。そのことは伝えなかったのか?」
「私たち、あの時点では『アントホーム』以外のダンジョンに挑んだことがなかったので、あれが普通なんだと思ってたんです。出発前にギルドでダンジョンに関しての説明は聞きましたけど、ダンジョンコアを置いてある部屋があるなんて聞いてませんでしたし」
「なるほど。まあダンジョンの説明を聞くような冒険者がダンジョンのボスに挑むなどとは思わんだろうし、説明をしなかったのも当然と言えるな」
「ですが、これからはそうした説明もすべきでしょうね。こうした前例が出てしまった以上、いないということで済ましてしまうわけにもいきません」
「なに、2、3文加えるだけだ。そう負担にもならんだろう。ソディア、後で書類を作っておけ」
「かしこまりました」
マナのフォローのおかげで助かった。『アントホーム』ボス部屋の奥にダンジョンコアの部屋があったことは確認済みなのだ。なかなかキングアント種との連戦が厳しいため、俺たちの後まだクリアした人はいないそうで、その確認もされていないことが俺たちにとっていい方向になったみたいだ。
「ですが、そうなると本当にわからなくなってきましたね。その本物とはなんなのか」
「ダンジョンコアの中にも性能に差があるとか?」
「冒険者ギルドでかなりの数のコアを確保してあるが、性能に差があるという話は聞かんな」
「ダンジョンの大きさの違いが性能の違いなんじゃないですか?」
「ダンジョンコアそのものには違いはない。国もギルドも研究を続けているがなかなかな。そもそも研究をするにしても数に限りがある上に壊してしまっては元も子もないからな。ダンジョンコアが壊れてしまえばそのダンジョンはもうおしまいだ。制御ができなかった昔ならばともかく、制御できる今となってはダンジョンはコアを回収したらもう無限に資源が取れる場所でしかない」
「まあ資源を得るためには実力がいるけどね。アハト様、そろそろ依頼の話に戻りましょう。どんどん話がそれていっています」
「おっと、いかんな。話に戻るか。このままではいらないことまで話してしまうかもしれん」
すでにいろいろ話している気もしたが、全員ここは黙っていた。さらに脱線する気がしたし、あまり深い話を聞かされてそのことで囲われるのは嫌だ。
「『マツノキ』の皆さんには、『アントホーム』と『貴の山』のダンジョンコアを運んでもらうわけですが、道中、アイテムボックスから決して出さないでください」
「それはコアの場所を知られないためですか?」
「うむ。『アントホーム』のコアの時は町で盛大に騒いで、それほど時をおかずに持っていこうとした。今回は朱雀とかいうモンスターのせいでさらに派手に知れ渡った。しかし、今のところコアを持っている私は襲われていない」
「『怒涛のティラノス』が攻略してからすでに2か月くらい経ってますよね?」
「はい。ここまで来て襲われていないとなると、何もないのではないかと思いました。ですが、今回は万全を期して、ギルドの職員、冒険者、商人と合計5通りの手段を用いて3か所に空の箱を運んでもらいました。その結果、4つが襲撃されて奪われてしまいました」
「襲われなかった1つというのは、最後に行ってもらった商人なのですが、同じ町に運ばせた職員は襲われていたので、どうせ偽物だからなどと思われたからではないかと考えています」
「だから、今回も別ルートで7つ箱を運んでもらうことになっている。少しでも本命が届く可能性を上げるためにな」
「それって、俺たちにも本物だと言わないほうがよかったんじゃないですか?」
「私は嘘が嫌いだ」
「この人がこうなので……。メイさんたち以外の方に依頼するときは外れてもらっています」
「あのー、直接アハトさんが持っていくわけにはいかないんですか?」
これまで何も言っていなかったヒツギが誰もが思っていたけれど言わなかったことを言ってしまった。あえて避けていたのに!
「私は王都に向かわねばならんのだ。今度行われる会合のために」
「会合ですか?」
「ああ。Sランク以上の冒険者全員を招集した、初めての会合だ」
俺たちは、その時はその会合の意味をまるで理解していなかった。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 LvMAX(50)
魔術師 LvMAX(60)
聖???の勇者Lv15/??
薬剤師 Lv51/60
ローグ Lv31/70
重戦士 Lv39/70
剣闘士 Lv30/60
神官 Lv19/50
龍人 Lv2/20
精霊使いLv4/40
舞闘家 Lv4/70
大鬼人 Lv2/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
1日遅れてすいません。
昨日はバイト夜勤あるの忘れてて書ききれませんでした。遅刻するかと思った…
読み返して思うけど文章の書き方全然初期と違うなぁ…
ではまた次回