貴の山ボスです2
転移してきた俺たちを待ち受けていたのは、見渡す限りのモンキーたちだった。地形的には先ほどまでいた場所とさほど変わっていないようで、山の頂上にできた広場の様な感じになっている。さすがに森の中にまでは行かないらしく、森と広場の境目には淡い赤色の結界が見えていた。
広場の中央では、俺たちより少し大きいくらいのエルダーグロウモンキーたちよりもはるかに大きく、およそ5mにもなるであろうドン・グロウモンキーが何かの骨をバリバリと噛み砕いていた。見た感じ、自分の周りに上位種をかためているらしいな。一方で、そうした一部の上位種のモンキーたちとは対照的に、他のモンキーたちはキーキーとこちらを威嚇していた。他のモンキーたちが喚くせいで紛れているが、何体か魔法の詠唱を始めているやつまでいる。
そんな状況ではあったが、俺たちはすぐに動き出していた。大量にいるから少し時間はかかるが、右端から順に全部に『鑑定』を使い、目的の個体を探す。
「マナ、右端の方と中央やや左だ! ともに2体いるぞ!」
「了解! みんな下がっててね。メテオレイン!」
マナが上に掲げた杖の先端についている水晶から次々と小さな魔力の塊が上空に放たれる。それらは、かなり上の方でぴたりと止まり、すべての塊が止まった瞬間、待っていましたとばかりに10倍ほどの大きさに変わり、モンキーたちに向けて降りだした。
なす術もなくそれらに押しつぶされて死んでいく一方で、ドン・グロウモンキーを筆頭に防御したりかわしたりするモンキーたちもいた。また、一部は予想通りに左右に分かれて包囲しようと動き出していた。トラップモンキーを倒すために全体的に右に寄せていたから左から来てる数が多いかな? 逆ならばよかったんだがな。
「そっちに行くんじゃねえよ。『咆哮』」
俺はゼルセとヒメに続いて右側に走りながら全体に向けて『咆哮』を使った。自分の物とは思えない雄たけびが響く。ドン・グロウモンキーだとかエルダーモンキー系のモンキーたちには効果はなさそうだが、25層の時にも出てきたようなグロウモンキー系の上位種たちには効果があったようで、動きが止まってしまっていた。当然マナのメテオレインはまだ降り続いていたため、動きを止めた奴らは先ほどまでのようによけられずに倒れていった。
「メイのおかげでかなり減らせたみたいだね。強いのは結構残っちゃったけど」
マナの言葉の通り、メテオレインが止んだとき、残っていたのはドン・グロウモンキーの他には30体ほどだった。ぱっと見た感じでも、エルダーグロウモンキーやその上位種たちはダメージこそ負っているものの、脱落した個体は数体だけのようだ。足をやられている個体もいるからか、やつらは包囲をあきらめ、それぞれが俺たちにおそかかってきた。
「でもトラップモンキーは全滅してるからいいと思うよ。それより、マナくるよ!」
視界の端でヒツギがマナに向かって飛んできた矢を棺桶で防いでいた。向こうは任せても大丈夫だな。俺も作戦通りにいくとしよう。
上段から切りかかってきたエルダーモンキーソルジャーをステュラで切り捨て、『小規模ワープ』を連続で使って一気に中央のドン・グロウモンキーのところまで跳んだ。
「ウギャ?」
「しばらく俺と遊んでもらうぞ。『鬼の一撃』」
周囲を囲むように生き残った数体の上位種モンキーたちが構えていたが、その中に跳んでドン・グロウモンキーを上空に殴り飛ばした。腹を狙ったのだがガードされてしまい、あまりダメージはなさそうだが、囲いから出すのには成功した。
「『コンボ』『空蹴り』『獣の一撃』」
このまま下に降りられたらせっかく囲いから出した意味がなかったので俺も上空に跳び、みんながいる方とは反対の方向に殴り飛ばす。ドン・グロウモンキーは空中で体をひねって、地面を滑るように着地した。俺の下でモンキーたちがドン・グロウモンキーのもとへ行こうとするが、ゼルセが放ったファイアがそれを邪魔してくれた。すぐに『火炎壁』で足止めをし、ドン・グロウモンキーのところに急いだ。
ドン・グロウモンキーは、その巨体にもかかわらず、素早い動きで俺の着地直後を狙ってきた。俺もすぐにステュラで左に受け流し、右足でドン・グロウモンキーの横っ腹に蹴りを放つ。しかし、それは左手でやすやすと止められてしまい、俺が宙に浮いたところを噛みつこうとしてきた。その口めがけて『ブレス』をはきつけてやろうとすると、バッと後ろに下がってかわされてしまった。『ブレス』の炎はむなしく空に消える。
今俺が『ブレス』をはく前にかわされたところを見るとどうも危険察知とかそういった類のスキルがありそうな気がする。最初の『鬼の一撃』に反応しなかったのは謎だが。
「キィヤアアアアア!」
先程の俺のとは違い、高音のドン・グロウモンキーの雄叫びが響く。これには俺の『咆哮』と同じように威圧すると同時に、聞いた対象に恐怖を与える効果があるらしいが、ちらっと横目で確認したところ、なんとか全員が耐え切ったみたいだ。キャラビーは少し心配だったのだが、それも杞憂に終わったらしい。
「でも、次も大丈夫とは限らないし、止めさせてもらうぞ『ダークチェーン』4連」
俺の影から4本の鎖が飛び出す。4本でそれぞれ別々の場所を狙うが、雄叫びをやめて回避に徹するドン・グロウモンキーを捕えられない。見た目的にはもはやゴリラのような見た目のドン・グロウモンキーだが、その身軽な動きを見ていると、結局は猿なんだというのがわかる気がする。しかし、『空蹴り』や『小規模ワープ』のような回避方法はもっていないのでまだましかな。俺がもしかわす側になったら『空蹴り』で上空に逃げて、『小規模ワープ』で相手の懐に跳んでかわせそうだし。
いつまでも自分を追いかけ続ける鎖に業を煮やしたのか、ドン・グロウモンキーが突然腕を狙っていた1本をつかんでそれを使って他の鎖をまとめようとしだした。自由に動くと言っても、どこかでまとめられてしまっては動きもかなり制限されるし、これ以上『ダークチェーン』で追い回すのは厳しいかな?
「『ダークランス』『黒雷』『黒槍の雨』」
鎖の対処のために足を止めたドン・グロウモンキーを、渦を描くように放った10連のダークランスで動きを制限し、そこを上下から『黒雷』と『黒槍の雨』が襲った。『ダークチェーン』はすでに消してあったからそれで防ぐこともできず、ガードしようとした腕をも貫いてドン・グロウモンキーが針山のようになっていく。そして『黒雷』と『黒槍の雨』が降り終わったところで、渦を描いていたダークランスの矛先をドン・グロウモンキーに向けた。
「キャイアアアアアアア!」
10連の合計500本もの槍が、次々ドン・グロウモンキーに突き刺さっていく。甲高い悲鳴を上げながら、それを耐えるドン・グロウモンキーだが、俺は油断せず針山の密度を濃くしていく。
「メイ、こっちは終わったよ!」
ダークランスが消えた後も動かれないように、ダンジョン内で手に入れていたただの槍を、アイテムボックスから出して投げつけて地面に釘付けにしていると、後ろからマナの声が聞こえてきた。『気配察知(魔物)』の反応も消えているし、取り巻き連中は全滅させたのだろう。
「このまま何事もなく終わらせる!」
槍からステュラに持ち替え、剣を上段に構える。
「『一刀両断』」
地面を蹴って動けないドン・グロウモンキーに向けてステュラを振り下ろした。その斬撃は、あっけないくらいあっさりとドン・グロウモンキーを切り裂き、少し後ろの地面をも切り裂いた。
2つに割れたドン・グロウモンキーの体が左右に力なく折れる。足を槍で固定してしまっているから倒れようにも倒れないのだろう。そして間もなくすべての死体がダンジョンの効果により消え去った。刺さっていた槍も支えをなくなったように倒れた。そしてもともとドン・グロウモンキーのいたあたりに大きめの宝箱が現れた。
俺たちの勝ちだ。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
薬剤師 Lv49/60
聖???の勇者Lv15/??
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 Lv49/50
魔術師 LvMAX(60)
ローグ Lv30/70
重戦士 Lv37/70
剣闘士 Lv28/60
神官 Lv18/50
龍人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
50層のボス戦でした!
まともに戦闘書いたの久しぶりな気がする…
ではまた次回