貴の山です5
俺たちが25層を攻略してから10日が経った。
その間、引き続き『貴の山』に挑んでいたのだが、前半と同じようなペースで進むことはできていなかった。それというのも、25層から先、森の中を進むのをやめたからだ。俺としては戦闘も問題なかったし、そのまま森を進むつもりでいたのだが、他の3人から待ったがかかった。50層のボスとの戦闘を見据えた時、できるだけ多くの種類のモンスターと戦っておいた方がいいとのことだ。
25層のボス戦では、取り巻きなのかボスなのかわからなかったけど、出てきたモンスターの中でグロウモンキーケンジャーと手長魔大猿、そしてヘルグロウモンキーは戦ったことがなかった。それもあって、俺はあの戦いの中でグロウモンキーアーチャーにグロウモンキーケンジャーが使ってた魔法の効果は全くわからなかった。
もしもそれまでに戦ったことがあって、使える魔法が回復魔法なのか付与魔法なのかだけでもわかっていれば、あの場での動きも変わっていただろう。まぁ今回は『ダークランス』で即死だったとは思うけど、もし回復されていたら『ニードル』でグロウモンキーケンジャーの額を狙い撃っている間に矢が飛んできていただろう。聞けば、ヒツギも前衛のモンスターたちをなぎ倒す中で似たようなことがあったらしい。なんでも、手長魔大猿が腕を伸ばしてマナを狙っていたとか。カルアが細切れにして防いだそうだけどな。
ギルドで調べられる情報には限りがあるし、実体験に勝る経験はない。特に『貴の山』は攻略されて2か月くらいしか経っていないこともあって、他のダンジョンより情報は少ないのだ。実際に戦っておくに越したことはない。
そして昨日、45層の転移陣を有効化したから、今日は休みにして明日50層のボスに挑むことになった。森の中と違って足場がいいからか、いい感じにみんなのペース感覚が狂ってきている。『生の草原』よりもかなりハイペースで攻略が進んだ。……計画通り。
休みの今日は、いつもの通りキャラビーとガンダさんのところにいた。といっても、今日は何かを教えてもらいに来たわけではない。昨日ガンダさんから手紙が来ていて、頼んでいた武器が出来上がったから取りに来てくれとのことだったので支払いといただきに来たのだ。
「と、いうわけで、これらがお前さんから頼まれていた武器だ。剣が6本とハンマーと棍棒が4本。なかなか難しい頼みではあったがなんとかできあがったぜ。」
ガンダさんが奥から武器を持ってやってきた。大きな箱に入れてあったそれらを、床に敷いた布に1本ずつ並べていく。
「ありがとうございます。持ってみてもいいですか?」
「ああ。前にはからせてもらったお前さんの手のサイズをもとにして作ったから持ちにくいってことはないだろうが、違和感があったら調節するからな」
置かれた武器を1本ずつ手に取っていろんな角度から見てみる。実際に振ってみたいところではあるが、そこまで広いわけではないし、ゆっくりと上げて降ろしてを繰り返すくらいしかできない。店の外に出て振るという手もあるが、そんなことしたら普通に危ない人だからな。
キャラビーが普段使っている短剣と同サイズの物と、魔剣ステュラと同じくらいのサイズの物は若干軽く感じるかな。あくまでステュラと比べたら、だけど。対して、それらを足したくらいの長さの物は若干重心が先端にあるらしく、持ち上げた時と上下したときとでは感覚にずれがあった。慣れるまでは大変そうだ。
ハンマーと棍棒は要望通り2種類ずつ作ってくれていた。大きめの地龍の角を使った、ヒメくらいのサイズの大きな槌と、小槌くらいの大きさの、つるはしのような形をしたハンマーだ。棍棒はどちらも角を削りだしたものらしく、変に他の素材の持ち手とつなげたりするより強度がでるらしい。削って作られているから持ち手のところが凸凹しているが、それが逆に手になじむ。
「いいですね。早く使ってみたくなります」
「武器だから実際に使ってもらわないと困る。飾っておくだけの武器なんかもう武器じゃないからな」
「状況に応じて使い分けたいと思います。それで、全部でいくらくらいでしょうか?」
「素材に関しては全部お前さんの持ち込みだが、素材が素材だからな。全部で金貨72枚と銀貨40枚ってところだ。ハンマーや棍棒は俺の店にある設備でなんとかなったが、剣の方は素材を加工するのにこの店の設備じゃあどうしようもなかったから、加工できる設備を備えている知り合いに頼んで使わせてもらったからその分値が張ってる。そこのところは理解してくれよ」
「ええ。もちろんです」
「それと、例の角の件なんだが、設備を貸してもらったやつに心当たりがあるそうだ」
「ほんとですか!?」
俺は身を乗り出してガンダさんに詰め寄る。今回、ガンダさんには、武器の作成依頼のほかにもう一つ頼みごとをしていた。それは、ダムドレアスの目に刺さっていた例の角を加工できる人を探してもらえないかということだ。武器の作成依頼の際、これも加工できないかと見せたところ、悔しいがガンダさんの腕ではどうしようもないと言っていた。道具もそうだが、道具があっても加工できそうにないと。そこで、見つかればラッキーくらいの考えで頼んでみたのだが、ほんとに見つかるとは思わなかった。
「ただ、いくつか問題があってな」
「気難しい方とか?」
「言われるまでそいつのことを忘れていた俺が言うのも何だが、いい意味でも悪い意味でも興味のあることしかやらないそうだ。以前は興味がないからご飯は食べないとか言って断食していた時期もあった」
「それはまた強烈ですね」
「今はそれはなくなったそうだがな。今はより強い武器を作るために植物を活用できないか調べるためにヤカリ森国にいるそうだ」
「ヤカリ森国ですか……。簡単に行ける場所ではないですね」
「ああ。でも、アーディアと違って行こうと思えば行けるから、それは一番の問題ってわけじゃない」
「それだと、一番の問題ってなんなんですか?」
「龍がな……大好きなんだ」
「それにどんな問題が?」
「大量の種類の龍の素材を抱えたお前さんがあいつに会って、龍の素材を抱えてるなんて知ったら確実に暴走する。そうなれば武器がどうのって話ではなくなるぞ」
「それは……ばれなければ大丈夫なのでは?」
「いや、あいつは確実に気づく。前に魔法袋の中のワイバーンの革に気づいたことがあるからな」
「……もし会えたなら気をつけます」
「それがいい。なんにせよ、俺が知る限りあの角をちゃんと素材として加工できるのはあいつだけだ。俺が知らないだけで他にもいるかもしれんが、あいつならそれを最高の剣に仕上げてくれるだろうよ」
「覚えておきます」
ヤカリ森国か。以前ヒツギがその名前を聞いて反応していたのを覚えている。ヒツギが900年前にともに旅をしていた仲間の一人がまだいるかもしれないんだよな。第2段階のダンジョンが一区切りついた時にでも行ってみるかな。ヒツギも昔の仲間に会えたらうれしいだろうし。
さすがにこれからダンジョンで武器を試すわけにもいかなかったので、ガンダさんの奥さんにかわいがられているキャラビーを回収し、使えなかった素材や、複数本作ってもらった量産の槍などをもらって、少しお茶をして館に戻った。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
薬剤師 Lv49/60
聖???の勇者Lv15/??
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 Lv49/50
魔術師 LvMAX(60)
ローグ Lv30/70
重戦士 Lv37/70
剣闘士 Lv28/60
神官 Lv18/50
龍人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
遅くなってすいません。
内容が気になって書き直していたら遅くなってしまいました…。
ではまた次回