貴の山です3
『貴の山』から戻ってきて、冒険者ギルドで報酬を受け取った俺たちは、館に戻ってきていた。
「おかえりなのじゃ。『貴の山』はどうだったのじゃ? 中々に面倒な場所じゃろ?」
帰って来た俺たちを出迎えたユウカは、風呂に入っていたらしく、若干火照った顔でそう言った。
「たしかに面倒だな。足場は悪いし坂がつらい」
「かっかっか。そうじゃろう。あそこのダンジョンが中々攻略されんかった理由が分かったじゃろう?」
「まぁな。いくら整備された道があるって言っても山登りはつらいし、罠は見つからない。俺の『罠察知』には一度も反応がなかったよ」
「それはお主が不器用なだけじゃ。キャラビーはわしと登ったときでも全部見つけておったぞ?」
「やっぱキャラビーはすごいなぁ……」
「そ、そんなことないです! ご主人様の方がすごいです!」
力無さげにキャラビーの頭を撫でまわすも、キャラビーからのフォローが来て泣きそうになる。ほんと良くできた子だねぇ……。
「メイ、とりあえずそのへんにしといたら? 孫が遊びに来たお爺ちゃんみたいに見えるよ?」
「おぉ、キャラビーや、よく来たねぇ。どれ、飴ちゃんをあげよう」
「もー、メイ、悪ノリしないの。ユウカ、お風呂のお湯は抜いちゃった?」
「うむ。風呂から出る時にブラウニーたちがおるのが見えたからの。掃除のときにお湯を張ってあっては邪魔だと思って抜いたのじゃ」
「そうなると今はブラウニー達が掃除してるかな?」
「それは分からんのじゃ。わしが出てすぐに掃除を始めていたからもう終わっている可能性もあるの」
「それじゃあ見てくるしかないな。俺が見てくるよ。ついでにお湯も入れてくるわ」
「お願いね。その間に私達で軽くなにか作っとくから後で食べよっか」
「だったら時間的にも夕飯を頼むよ。どうせ軽くつまんだところですぐに晩御飯の時間だしな」
「分かった。材料は……キャラビー、まだ残ってる?」
「はい。お肉、野菜、調味料とまだまだ残っています」
「ありがと。じゃあ料理しにいこっか。メイもお風呂入れたら手伝ってね」
「はいよ」
俺たちはヒツギの言葉に従って行動し始めた。
結局あの後、マナたちが先にお風呂に入り、その後で俺が風呂に入ってからご飯という流れになった。俺のアイテムボックスの中の時間が止まっているから、作ったご飯を温めなおす必要がないし。待っている間にお腹が空いてユウカと買いだめしてあった串肉を食べていたのは内緒だ。
そして次の日、昨日と同じように冒険者ギルドで依頼を受けて、朝から『貴の山』に向かっていた。
「今日の目的は森の中での戦闘に慣れること。次の階層には進まないからね」
「分かってるって。その代わり、今日明日で様子を見て、15層までは森の中だからな」
「私、がんばります!」
「期待してるぞ。ただ、無理だけはしないようにな。きつかったらすぐに言えよ」
「はい!」
これらは昨日の晩御飯の後の話し合いで決まったことだった。お互いが妥協した結果とも言えるな。
俺としても山道を何度も登りたくないからさっさと進んでしまいたいのだが、マナが森の中を進むのを許してくれなかった。そこで、森の中での動きを練習して、その様子次第で森の中を行くということで落ち着いたのだ。訓練中に気が付いたら次の層についていたなんてことをこっそりと狙っていたのだが、あらかじめ釘を刺されてしまった。どこかで表情に出てたかな?
一日森の中で様子見をした俺たちだったが、その日の夜には満場一致で次の層に向かうことに決まっていた。はっきり言おう。敵も罠も来なさすぎて暇なのだ。
お昼に一度1時間くらい外に出てきたものの、今日は朝から合わせて9時間、第5層の森の中をうろうろしていた。その結果、倒したモンスターはレッサーモンキーの群れ1つ分の7体、解除した罠が3つというあまりにも少なすぎる成果だったのだ。もともと森の中はモンスターも罠も少ないと分かってはいた。そう、分かってはいたのだが、これではあまりにも少なすぎて訓練にもならなかったのだ。昨日は朝から同じくらいダンジョンにいて2,30体は倒したことを考えると、まだ昨日の方が鍛錬になっていた。
9時間も森の中を歩いていたことで足場の悪さには慣れていたが、モンスターも罠もなく歩き続けるだけってのがあれだけ苦痛だとは思わなかった。常に警戒し続けていたから余計に疲れたよ。まあ『再生』とかのおかげで疲れは残ってないけど。
その日の夜は全員がいつもより早めに就寝していた。
それから5日が経過して、俺たちは25層めがけて進んでいた。層数で考えれば5日で20層というハイペースではあるが、1層1層の短さからそこまで進んでいるという感覚はあまりなかった。3日前に15層を突破してからも、俺たちは森の中を進んでいたのが大きかったのだろう。15層を超えても、20層につくまではレッサーモンキーの群れの匹数が上がったり、群れの中に1匹だけリーダーモンキーという上位種がまぎれるくらいで、代わり映えもなかった。20層を超えたあたりからグロウモンキーが加わりだしたが、まだ大したことはなかった。キャラビー曰く、罠の種類も多少増えた程度なようだった。俺の『罠察知』にはいまだに反応はないけどな! レベルは4から6まで上がっているからスキルでも頑張って探してくれてはいるらしいけど、見つけるまでは至っていない。『気配察知(魔物)』と『気配察知(人)』はレベルこそ上がっていないけどしっかり反応してるのにな。
24層も終盤といった頃になり、俺たちは森の中から整備された道に出てきていた。25層のボスと戦うためだ。
『貴の山』でも、『生の草原』同様に25層にはボスがいる。他のダンジョンと違って森の方から進めば無視していけるんじゃないかとか考えていたのだが、25層のボスを倒さなければ、半ばあたりまで進んだところで結界に阻まれて先に進めなくなるそうだ。しかも、道にある結界と森にある結界では効果が違い、森の結界は、俺の『全方位結界』のような弾かれるタイプの結界ではなく、気づかないうちに25層のどこかに繋がってしまうというもので、横着しようとすると延々と同じところを進み続ける羽目になるみたいだ。
そのボスの居場所だが、ボスに挑むには、整備された道から25層に入って、そこにある転移陣でボスのいる場所に転移しないといけないらしい。ギルドで調べた限りでは、外に通じる転移陣の隣に転移陣があり、そこが光っているときは誰も挑んでいない印なんだとか。ここでも同時に2パーティは挑めない仕組みになっているようだ。50層も同様らしいから覚えておかなきゃな。
俺たちがその転移陣の場所に着くと、ちょうどボス戦を終えて戻ってくるパーティがいた。そのパーティはさらに先に進むらしく、坂道を登って行った。順番待ちしてた3パーティのうちの1人が「今ならいける!」とか言って坂道を駆けていこうとして結界に頭からぶつかって気絶してたのは気の毒だが少し笑ってしまった。そのパーティはボスに挑まずにそいつを抱えて外に戻って行ったし、あの人は目を覚ましたらお説教が待ってるんだろうな……南無南無。
戦闘中の役割を確認しながら待つこと20分。前の7人組のパーティが傷つきながらもボスを倒したようで、転移陣から帰ってきた。
「おめでとうございます。お疲れ様です」
「ありがとう。待たせてすまないね」
「いえいえ」
「それじゃあ気をつけて」
そう言って彼らは横の転移陣から外に出た。俺たちの番だな。
「気を引き締めていくぞ」
俺たちは転移陣に乗ってボスのいる空間へと転移した。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
薬剤師 Lv49/60
聖???の勇者Lv15/??
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 Lv49/50
魔術師 LvMAX(60)
ローグ Lv30/70
重戦士 Lv37/70
剣闘士 Lv28/60
神官 Lv18/50
龍人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
今回はサクサク進みました。
次回はボス戦になる予定です。
ではまた次回




