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貴の山です2

「マナ、左!」


「任せて! ダークスライサー」


 ヒツギの指示でマナの持つ杖の先から円盤状の魔力が放たれた。それは進路上にある木を避けながら飛び、その奥で逃げだそうとして後ろを向いていたレッサーモンキーの首を切り落とした。


「ラストです!」


「がう!」


 そして、最後に残ったレッサーモンキーもみぃちゃんが押さえつけてキャラビーがとどめを刺した。


「お疲れ様。死体が散らばっちまったな。ちょっと『小規模ワープ』で回収してくるわ」


「お願いね。このあたりのは私たちが回収しておくから」


「おう」


 俺は『小規模ワープ』で倒したレッサーモンキーの死体に向かって移動し始めた。


 朝から登り始めた『貴の山』だが、俺たちは夜になってようやく目標の第5層が見えてくるくらいの位置までやってきていた。

 5層目前まで来て体感していることではあるが、キャラビーが話していた通り、『貴の山』は他のダンジョンとは若干違う感じだった。『生の草原』では、キャラビーが罠を発見したときに数回に一回程度は俺の『罠察知』にも反応があったのだが、今日一日ずっと使っているものの、一度も反応がなかった。キャラビーはしっかり罠を見つけてたけどな。

 それよりも一番感じていることは1層1層の狭さだ。実際にはかなり大きな山をぐるっと囲んで1つの層なわけだから『生の草原』とかと変わらないのだろうけど、まっすぐに登っているとほんとに狭く感じてしまう。今はモンスターと罠が多いと言われている道を比較的ゆっくりと進んでいるけど、この半日で約5層分進めたしな。





 2分ほどで、散らばった7体のレッサーモンキーの死体を集めてきた。こいつらは、キャラビーが木に仕掛けられていた罠を解除した途端に群れで襲ってきた集団だった。『気配察知(魔物)』にも反応があったし、先制で2体を倒したのだが、そこから森に逃げ込まれ、キャラビーが追撃を始めてしまったことで殲滅しきるまで追いかけることになったのだ。別に依頼の分である10体は2層を超える前にすでに倒していたから逃がしてもよかったんだけど。

 レッサーモンキーは、最初に倒した1体を喰らって、そこからはヒツギの棺桶の強化に使うか、あるいは解体ナイフで解体するようにしている。モンキー系のモンスターははじめて喰らったから何が得られるか楽しみだったのだが、実際得られたのは『器用さ上昇(極微小)』だった。ずっと前にオーガシーフのつけてたバンダナを喰らった時でさえ極小だったのに、極微小ってなんだよ……。




「あ、戻ってきたね。ほら、キャラビー」


「ご主人様、申し訳ありませんでした」


 俺が死体を回収して戻ってくると、キャラビーが頭を下げてきた。何のことかは言っていないけど、おそらく追撃を始めた件についてだろう。


「何がいけなかったか、分かったか?」


「はい。何も考えずに1人で先走ってしまいました」


「それだけか?」


「しなくてもいい戦闘をすることになってしまいました」


「まあそれもだけど、一番は危ないことをしたことだろ? キャラビーが言ったんだぞ。森に入って行けばモンスターの強さも罠の見つけにくさも上がるって。キャラビーが罠を見つけられないとは言わないし、ユウカもいたとはいえ15層まで行けたなら戦闘で負けるとは考えにくい。それでも、罠に気を取られたり、モンスターに罠をうまく使われる可能性もあったんだ。一人で危ないことはするんじゃないぞ」


「はい……」


 俺の言葉にシュンとなるキャラビー。猫耳もぺたんと垂れ下がり、しょんぼりとした雰囲気が漂っている。俺が慰めるように頭を撫でてやると少しは猫耳も起き上がってきた。もういいかな。……そこの二人、その、お前が言うなとでも言いたげな顔をやめなさい。


「しかし道からけっこう離れたな。戦闘跡をたどれば問題なく道には戻れるけど、面倒だしこのまま森の中を進むか?」


 今の戦闘の序盤に、マナの放ったダークスライサーや、俺の放った『ニードル』が木を傷つけていたからそれをたどれば確実に道には戻れる。反対方向に進んで山をぐるっと回ってしまうなんてことにはならないのだ。


「ここはおとなしく戻っておこうよ。5層の転移陣は向こうの道のところにあるんでしょ?」


「はい。モンスターを弾く結界が張られていまして、その中に転移陣はあります」


「さっきそんなもの(結界)見えていたっけ?」


「5層に入って少し進んだところにありますから、見えていませんでした」


「ならその近くまではこのまま森の中を進もうぜ。予行演習も兼ねて」


「予行演習って……もしかして、5層から森を進むつもりなの?」


「少なくともキャラビーが進んでる15層まではそうするつもりだったんだけど、ダメか?」


「当然でしょ。今でもキャラビーがいなかったら罠に気づかないんだから、さっきみたいに戦闘で散らばっちゃったら危ないじゃない」


「散らばらなきゃ大丈夫じゃないか? キャラビーには悪いけど罠の発見と解除に専念してもらって、俺とマナが遠距離魔法で倒す。ヒツギは後方から敵が来ないようにキャラビーの護衛ってことで」


「私も戦えます!」


「キャラビーには体力を温存しておいてもらいたいんだよ。この先、整備されてるところでも罠は凶悪になるだろうし、その時に疲労で解除失敗なんて笑えないからな」


 実際、話してはいないが、さっき死体を回収しに戻る最中、遠目に罠にかかって怪我をしているパーティを見かけた。矢が飛び出してくるタイプの罠だったようで、戦士風の男が肩から矢を抜いていたのだ。肩に当たったからまだ無事だったものの、頭や心臓なら即死もありえる。先の方の罠なら尚更だ。


「俺たちは3人とも罠の解除なんかできないからな。キャラビーが頼りなんだよ」


 『アントホーム』でも俺かヒツギが盾役をやって凌いでいたけど、あれはできればやりたくないからな。


「ですが……」


「ストップ。二人とも、ここがまだダンジョンの中だってこと忘れてない? そういう相談はここを出て、家に帰ってからでもいいでしょ? 今日はもう5層までって決めてるんだから先に進もうよ。キャラビー、森の中からでもその結界は見えるの?」


「えっと、これくらいの距離でしたら見えると思います。山の反対側まで行ってしまっていると厳しいですが」


「そう。なら今回は森の中を進んで、結界が見えてきたら道に戻る。それで決まり」


「ヒツギも森を進むのに賛成なの?」


「どうせもう5層も見えてきていたし、結界までそんなに距離はないでしょ? さっき戦ってみて足元とか視界が結構気になったし、『明の森』にもどうせ後から行くんだから、それまでに慣れておこうよ」


 マナは反対と言いたそうな表情をしていたが、結局折れてくれた。さっきの戦闘中に思うところがあったんだろうな。森での戦闘と言うと、コルクの大元であるプラチナコングを思い出すが、あの時は木は無視してたし、足元なんか関係なかったから、今思えば大分マシだった。でも麻痺の木だけはないわー。


 その後、転移陣目指して森の中を進み始めたが、結局そこから5層の転移陣まで罠もなく、モンスターとも出会わなかった。これが森を進んだおかげなのか、それとも純粋に距離が短かったからなのかは分からないけど、何はともあれ、俺たちは5層の転移陣で外に出て、依頼達成の報告のため町に向かった。





どうもコクトーです。



『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 薬剤師 Lv49/60

 聖???の勇者Lv15/??

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  Lv49/50

 魔術師 LvMAX(60)

 ローグ Lv30/70

 重戦士 Lv37/70

 剣闘士 Lv28/60

 神官  Lv18/50

 龍人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70

 大鬼人 Lv1/40 

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv1/30

 魔導士 Lv1/90 』


ようやくダンジョン攻略が始まりました!

『生の草原』攻略してから7か月も経ってるんだなぁ…小説の中だと1月も経ってないのに…


ではまた次回

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