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プチ白虎です

 俺の前にそこそこ大きな魔法陣が現れる。それはゆっくりと回転し始め、次第にそれは速くなる。それでも魔法陣に浮かんでいる紋様が見えなくなるほどではないのでそこまで速くなかったりする。

 そして魔法陣の回りでバチバチとスパークが発生し始めた。そのスパークはだんだんと激しさを増していき、そして突然魔法陣が眩く光った。

 その光が消えると、魔法陣の回転やスパークはすでに止まっており、その中心にはこのダンジョンの主をしていた巨大な白虎には及ばないものの、それでも3mはあろうかという大きさの獰猛な目をした白虎が現れ、俺たちに襲い掛かる……


なんてことはなかった。




 そこに現れたのは……50cmほどの小さな体にかわいらしい瞳でこちらに向かって今にもとびかかってきそうな白虎の姿だった。あまりの小ささに俺とヒツギは二人とも唖然としていた。俺の想像としてはせめて1mほどの大きさくらいはあるもんだと思ってたので想像以上に小さくてびっくりした。ちなみにヒツギはかわいくてびっくりしていたらしい。

 白虎改めプチ白虎(命名俺!)は現れた瞬間からずっと俺のことを見つめていたが、ついにとびかかってきた。自分ではタックルのつもりだったのか、それとも甘えるだけなのかはわからないが、それなりのスピードでぶつかってきた割に音はモフって感じだった。少なくともドンとかゴンとか痛そうな音はしなかった。とっさに抱え上げたものの、プチ白虎は俺の体を器用によじ登り、頭の上につくと腹と顎をそこに乗せ、4本の足をだらーっとしてなにやら誇らしげになった。ここは自分の特等席だとでも言いたげだ。そこがまたかわいい。

 顔がにやけそうになるのをこらえながら頭の上からプチ白虎を下ろす。そして視線が同じ高さになる所まで持ってきてこちらを向かせた。


「なあ、お前……白虎なんだよな?」


「かう!」


 右の前足を上げた。肯定ってことでいいんだよな?


「お前俺の言葉理解できてる?」


「かう!」


 再び同じ動作。完全に理解してるな。


「俺がお前を召喚したわけだけど、お前あの白虎の子供かなにかなわけ?」


「がうう」


 首を振った。ってことは違うってことか。つまり白虎という種族には変わりないがダンジョンのボスの白虎とは関係ないということだ。


「そっか。俺が主でいいの?」


「かう!!!」


 これまでより元気に返事した。癒されるなこんちくしょう!


「ね、ねえメイ、私も、私もギュッとさせて!」


 なんか目を爛々と輝かせながらにじり寄ってくるヒツギ。頭の上に戻したプチ白虎も震えてる。


「プチ白虎が怖がってるだろうが。とりあえず落ち着け。大丈夫だぞプチ白虎ー」


「かぅぅぅ」


 プチ白虎は俺の頭に強くしがみつく。それでも全然痛くない。今すぐ撫でまわしたくなるヒツギの気持ちもわかる気がする。


「じゃあ、メイが抱えたままでいいから頭撫でさせて。それで我慢するから」


「それなら……」


 俺はしぶしぶといった感じで頭の上からプチ白虎をはがして胸で抱く。それをヒツギはゆっくりと撫でた。プチ白虎も気持ちよさそうだからよしとしよう。

 そのあと、ヒツギと交代してしばらく撫でてからプチ白虎の頭から手を離すと、もう少しといった表情を向けてきたプチ白虎に逆らえずにまた撫でた。さすがに今度は満足したのか、頭の上に戻すとあくびをして寝てしまった。ほんとかわいいなぁ。


「さて、白虎はこのまま寝かせておくとして、スキル確認はこれで済んだわけだけど、ヒツギはもういいの?」


「うん。私のはレベルと現在の能力を確認するだけだったからね。レベルは1にもどってるし頑張ってつけたスキル系もほとんどなくなっちゃったけど、もう一度やり直せると思えばいいかなって。前は全体的にあげてどんなのがあるか確認ばっかだったし」


「ちなみに前はどんな能力があったんだ?」


「攻撃に対して自動で反撃に魔法を撃ったり、近接攻撃なら槍が飛び出したり、自動移動システムっていうのがあって私が中に入って目的地を指定するとゆっくりだけど自動で行ってくれたりとか他にもたくさん機能付いてたんだ。最後のは中から外の様子も見えたし、大迫力の3D映画みたいで楽しかったんだよ♪」


「のんきなもんだな。今挙げた中で残ってるのは?」


「えっと、反撃能力だけかな? あとは攻撃系が一部だけ。弱いけどそれなりに使えるのが残ってた」


「そっか。ならモンスターとか出ても大丈夫だな」


「うん。ボスクラスだときついけど普通の奴なら平気かな」


「じゃあそろそろあの魔法陣使ってみるか。どうなるかわからんけど」


「たぶん転移魔法陣であってると思うけど……どこに飛ばされるのかわからないしね」


「このダンジョンにあったやつはよくわからない森に飛ばしやがったぞ。麻痺の木ってやつがたくさん生えてた。まあ全部喰って麻痺耐性にかえたけどな」


「麻痺の木がたくさん……ってまさかメルゼル林!? あそこたしか危険度Bのはずなんだけど」


「メルゼル林だか何だか知らないけどそこにいたプラチナコング倒したら出られたよ」


「プラチナコングって危険度A+のモンスターだよ!? いるのはたしかギラの岩山だったはずだけど、あそこはかなりメルゼル林から離れてるはずだし……」


「森に出てきたぞ? たぶん草原の向こうにあった岩山にはぐれて住んでたんだろ」


「……メルゼル林の周りは砂漠で草原も岩山もないはずだけど?」


「あったんだからしょうがない。たぶんメルゼル林じゃないんだろ」


「そもそも麻痺の木はメルゼル林の特殊な土地にしか生えないんだよ。だからそこはメルゼル林だと思う。どうなってるんだろう……とにかくまずはエルミーナ帝国を目指そう。そこなら私の伝手もあるしいろいろ調べられると思う」


「そりゃいいな。じゃあそこを目指そう」


 俺たちは今後の目的地を決めて魔法陣のほうへと向かった。


「あ、忘れてた」


「なにか確認し忘れたのか? なら今からでも確認しよう」


 俺はヒツギに背を向け部屋の中心のほうへと歩き出した。


「メイとの既成事じ」


「『ワープ』からの……黙れや!!」


 最後まで言わせてたまるかとワープを使ってヒツギの背後へと回り込み拳を繰り出した。それは「ちょっと!?」と言い始めたヒツギにかわされてしまったが最後まで言うのを止めるという意味では成功した。


「そんなのするわけないだろうが。真那を探さなきゃなんねえし」


「ちぇ……なら真那ちゃんを見つけて酒池肉林を」


「変なこと言ってんじゃねえよ。とにかくいくぞ」


「もー待ってよ~」


 俺はバカなことを言い出したヒツギを連れて魔法陣に入る。すると中心に近づいていくにつれて魔法陣が強く光っていく。そして完全に中心についた時、俺たちは光に包まれた。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

 職業

『冒険者 Lv40

 格闘家 Lv40

 狙撃手 Lv32

 盗賊  Lv30

 剣士  Lv28

 武闘家 Lv23

 戦士  Lv23

 魔法使いLv28

 薬剤師 Lv30

 鬼人  Lv5

 ????の勇者Lv7

 狙撃主 Lv1

 獣人  Lv1 』


一度は愛でたいプチ白虎



ではまた次回

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