ユウカの話です。
ラムダさんが帰っていった後、残された俺たちはユウカの話を聞いていた。
「あの男は良くも悪くも国王の命令が第一なのじゃ。あやつからしてみれば、失敗などありえるはずがない」
ラムダさんの前では話せなかったバラーガが上に伝えていない理由の話だ。俺はユウカの言葉を受けて、皮肉気に返す。
「そのわりには俺はまだ生きてるけどな」
「そこじゃよ、問題は」
「メイが死んでいればよかったとでも言うの?」
若干空気が険悪なものになった。マナの魔力の高まりを感じる。
「そんなはずがないじゃろう。問題というのはあやつにとってという意味じゃ。メイの話を聞く限り、バラーガが王より受けた命令はメイを殺すこと。もしも上にお主らの存在を伝えてしまえば、それは自分が仕留め損なったのを伝えることに他ならない。国が自分達の都合で呼び出した人間を、これまた自分達の都合で殺そうとしたのじゃぞ? そんなことが世間に広がったらこれ幸いにと反国王派の貴族がここぞとばかりに攻め立てるはずじ
ゃ」
「自分の失敗がバレたら王に付け入る隙を与えかねないから俺をきっちり殺すまで報告しないってことか」
「おそらく、じゃがな。こればかりは本人に聞かねばわからん。しかし、まぁお主らからしたら好都合じゃけどな」
「たしかにな。でも、貴族の中にはあの場にいた人間もいるんだよな……。いくら死んだときいていても、直接顔を見たらわかるってやつがいるかもしれない」
「おそらくその通りじゃの。貴族と付き合う場合は細心の注意をもって当たらねばならんぞ」
「わかったよ」
まぁ関わる気は毛頭ないけど、やむを得ずランクがBランクになってしまった以上、何らかのアプローチがあるかもしれない。気を付けないと。
「わしの話はこれくらいじゃな。ほんとはこのまま続いてお主らの話を聞きたいところじゃが、一度冒険者ギルドに行かねばならんみたいじゃし、また後にするのじゃ」
「それがいい。俺も軽く風呂に浸かりたいし」
「なんじゃ、一緒に入らんかったのかの?」
「なんで俺の回りにはこんなのしかいないわけ?」
「冗談じゃ。マナもヒツギも、相手がヘタレじゃと苦労するのう」
「「「まったくです」」」
「誰がヘタレだ!」
「「「「メイ(お主)(ご主人様)」」」」
「……風呂行ってくる」
この四面楚歌な状態を一秒でも早く脱出するため、俺は風呂に向かってダッシュした。べ、別にヘタレじゃねーし!
風呂の扉の前に置いておいたヒメとカルアが効いたのか、突撃してくるやつはいなかった。もしかしたら誰も通さなかったらゼルセお気に入りの雷龍の肉をあげると言ったのがよかったのかもしれない。
「ほら、ご褒美の肉だ。若干ピリピリするから気をつけて食べろよ」
「かうかーう!」
「くえー!」
アイテムボックスから取り出した雷龍の肉にジャンプして食らいつくヒメとカルア。俺が両手に持った肉にぶらぶら揺れながら食べている様子はなんだかほんわかする。この静電気みたいなビリビリがなければだけど。
「皿に出してやるから少し離してくれ」
「あうー」
「ふふぇー」
肉に噛みついたまま返事をする2体だが、肉から離れる気配がない。お前らそこそこの重さはあるんだからな?
「ちちさまー、なにたべてるのー? われにもちょうだい!」
ヒメ達を肉からはがそうと左右に揺らしまくっていると、頭の上に重みが加わった。ヒメたちだけじゃなくて黄龍も勝手に出てこれるのか……。
黄龍は、両手両足全部を使って俺の頭をつかんで下を覗いている形になるのだが、それに気が付いたヒメが肉から口を離した。
「かうかうかぁーう!」
「なにー、ここはわたしのだからおりろだとー? ちがうもん、ここはわれのだもん!」
「かうかう!」
「やー! ここはわれのなのー!」
「かぁーう!」
不意打ちで黄龍の上に跳んだヒメがペチペチと黄龍を叩いて俺の頭から引きずり降ろそうとしていた。そういえば俺の頭の上でだらーってするのはヒメもお気に入りだったな。一方で、黄龍も負けてはおらず、小さな翼を羽ばたかせてヒメから定位置を守ろうとしていた。
俺は、ヒメの咥えていた肉を、カルアの咥えている肉の上に置いて皿を取り出した。頭の上で暴れている2体をよそにカルアは半分くらい食べ終えたみたいだ。器用な奴め。
そんなカルア付き雷龍の肉と、ヒメの分の肉を皿に置くと、暴れる2体の首根っこをつかんで床に降ろした。俺はきょとんとする2体の頭に軽めにげんこつを落とした。
「かうっ」
「あみゅ」
頭を押さえて涙目になる2体だが、かわいい。じゃなくて、ここで甘やかすのはよくないな。
「お前ら、人の頭の上で暴れるな。暴れるせいでかなり重いし痛いんだからな」
「だってー」
「かーうー」
「だってもかうもしらん。人の頭の上はそもそも乗り物じゃないの。気に入ってるなら別に乗るなとは言わないけどさ、乗るなら暴れずにな。もし暴れるようならこっちにも考えがあるよってことだ」
「かんがえ?」
「そうだな……一週間野菜生活と言えばわかるか?」
「かう!? かうかーうかうかうーうかう!」
「え、おにくぬきなの!? ちちさまー、そんなことしない……よね?」
お肉抜きのつらさを必死に伝えているのか、慌てながらも恐る恐るといった感じでこちらを見上げるヒメと、それを聞いて瞳をウルウルとにじませながらこちらを見上げる黄龍。そんな2体に対して、俺は何も言わずににっこりと微笑みかける。口元だけな。
「いやだー! われはやさいはきらいじゃないけど、やさいばっかりなんていやだよ!」
「かうかうかーう!」
「それなら、何をすればいいのかわかるよな?」
「ごめんなさい!」
「かうかうかう!」
「よろしい。これからは暴れたりせずに仲良くな」
「はい!」
「かう!」
きちんと謝った2体を見て、俺は何気に食べ終わっていたカルアを戻し、その皿に雷龍のってわけにはいかないが、黄龍用にドラゴン系の肉を乗せた。
「きちんと謝れたご褒美だ。ヒメはさっきの残りな。食べ終わってなかったし、よく噛んで食べろよ」
「はーい」
「かーう」
返事をして肉にかぶりつく2体。しかし、こうして肉にかぶりつくさまを見ているとなんだかほんわかするな。黄龍は歯は鋭いから噛み千切ることはできるが、そもそも口が小さいから全然減っていかない。それでも頬をいっぱいにふくらませて肉をほおばってもきゅもきゅしている。まるでリスだな。
肉を食べる2体を見守って、俺はリビングに戻った。
どうもコクトーです。
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
薬剤師 Lv49/60
聖???の勇者Lv15/??
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 Lv49/50
魔術師 LvMAX(60)
ローグ Lv30/70
重戦士 Lv37/70
剣闘士 Lv28/60
神官 Lv18/50
龍人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
魔人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
タイトルと内容が合ってない?知りません。ヒメと黄龍の絡みを書いていたら気づけばこうなっていたのです。
『僕はわるくなry』
ではまた次回