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ラムダさんの話です



「勇者、天上院古里、そしてそのパーティメンバーが全員、()()()()になりました」


 ラムダさんの口から飛び出した、想像もしていない言葉に俺たちはしばし困惑した。


「わしもさっき聞かされたものじゃが、お主らと同じようになっていたのじゃ。自分の耳を疑うなんてそうそうあることではないと思うのじゃがな」


「ゆ、行方不明ってどういうことですか? しかもパーティメンバー全員って」


「メイさんは勇者とサラ・ファルシマーがミラの町から転移でどこかに移動したのを覚えていますか?」


「ええ。それはもちろん」


「門番などに話を聞いて回ったところ、どうやら天上院さんを連れた彼女は間違いなくこの町に戻ってきていることが判明しました。それに、天上院さんはともかくとして、彼女の方はそれなりに町中をうろついていたみたいですし、目撃情報もたくさん得られました」


「それがぱったりとなくなったってことですか?」


「それもあるのですが、私とシャーナルフィアで彼女らの借家に向かったところ、もぬけの殻になっていたのです」


「あの、シャーナルフィアさんって?」


「シャーナルフィアはこやつのパーティメンバーの一人じゃ。ランク試験の時にいたはずじゃから、見ておるはずなんじゃがのう」


「あいつは別の組を担当していましたから会ってはいないはずです。話を戻しますが、シャーナルフィアはバラーガ・グーテン、アイリーン・ミルシャの2人とともに試験監督をしていたそうなのですが、その2人も突如としていなくなったそうなのです」


「いなくなったって、サラって人の転移で移動したのでは?」


「馬車でグリムの町に戻ってくる道中で誰にも何も言わずに忽然と姿を消したそうです」


「書置きとかもなかったのですか?」


「いえ、なかったそうです。冒険者ギルドに報告に来た形跡もなく、不審に思いまして、他の試験監督を務めていたメンバーに尋ねたところ、『テルマ火山隊』を見ているソディアさんとビー兄弟の3人と、『トルネリア』を見ている広兼、ホーリー、ヴァルミネ・カクの計6人以外はすでに戻ってきているらしく、ティグレ様とともにいたエルフのマーサも行方不明。すぐに連絡を試みたところ、広兼とともにいたヴァルミネ・カクも行方がわからなくなったと確認が取れました」


「6人全員が突然いなくなったってことですか」


「はい。それで今朝方、借家の管理人に話を聞きに行ったところ、その借家の夜警のために雇っていた男から、気になる話を聞きました」


「気になる話、ですか?」


「天上院古里を除いた5人と、ローブで顔を隠した人物が借家の中に入って行って、その後、私とシャーナルフィアが行くまで誰も借家から出ていないそうです」


「ローブの人物は特定できてないんですか?」


「私が直接会ったわけではないですからね。それに、その男もじっくりと見たわけではないそうです。まあ夜ですし、暗かったというのもあると思います。それで、話の続きなんですが、つい先ほど、カシュマ国王より『レーザー』に対して指名依頼が入りました」


 カシュマ国王というと、バラーガに対して俺を殺すように指示してくれやがった人か。あまり定かではないけれど、たしかそんなことを言っていた気がする。しかし、よく考えれば俺その人に会ったことないな。会うつもりも関わるつもりもないけれど、一応注意しておこう。


「国王から指名依頼とはすごいですね」


 若干苦い顔をしている俺とマナとは対照的に、ヒツギは純粋に驚いていた。


「私も初めてのことでしたが、『レーザー』(私たち)とSランク以上の者全員に対して出されているようですのでそこまですごいというわけではないですよ」


「その話は初耳じゃな。わしもギルドに行けばその話がでそうじゃ」


「そうだと思います。それで、おそらくユウカ様が後から話してしまうだろうでしょうし、話しますが、他人に知られないようにお願いします。この話が一般人に広まってしまったら、その混乱は計り知れないので」


「わしは口を滑らすこと前提なのじゃな……こう見えてわしは秘密は守る女じゃぞ?」


 そこでちらっとこっちを見ないでくれ。マナとヒツギのセンサーが何かを察知したみたいで、真顔で俺をにらんでるから。


「そ、それは言葉の綾と言いますか……」


「冗談じゃ。厄介になっている以上、巻き込む可能性があるならメイたちには話すじゃろうしな」


「依頼内容ですが、『勇者、天上院古里とそのパーティメンバー、バラーガ・グーテン、マーサ、ヴァルミネ・カク、サラ・ファルシマー、アイリーン・ミルシャの6名の捜索またはその安否の確認』というものです」


「……国から逃げたということですかね?」


「勇者の居場所を王国が見失うというのはよほどのことでなければあり得ません。少なくとも、バラーガ・グーテンは随時王国に対して自分たちの状態を伝えていたでしょう」


「裏切った可能性は?」


「あの男が国を裏切るなど、それこそありえんの。そこらのゴブリンが1匹で火龍様を倒す方がよっぽど可能性があるくらいじゃ」


「いや、それはもう0%でしょうよ」


 あの火龍様だぞ? 相性の関係でダムドレアスだったら勝てるだろうけど、正直今の俺では『暴食の王』と『ベルゼブブ』を使用してどうにか戦えるかわからないレベルの相手だぞ? それをゴブリンが倒すなんか万が一、いやもう億が一にもありえないだろう。……あ、そういえば俺ゴブリンとは戦ったことなかったっけ。


「あの男は国王が死ねと言えばためらわずに自分の首を落とせるような男じゃ。わしが保証する」


「だからこそ国王も焦っているのでしょうね」


 ユウカとラムダさんはともに真剣な表情で考え込む。

 そして、無言の時間がゆっくりと過ぎていく中で、俺はある点に気が付いた。


「よく考えてみたんですけど……それって俺関係ありますか?」


「は?」


「いや、だって勇者パーティが行方不明で探さないといけないんですよね? でも、いなくなったと思われるときは、俺たち全員馬車に揺られていましたし、関係ないんじゃあ……」


「いえ、関係があるといえば関係がある話なのです。火龍様とあなたとの話はここからが本題ですので」


「あ、そうなんですか」


 少し砕けた空気が再び引き締まるのを感じた。前置きがすでにすごい話だったけど、ようやく本題らしい。


「ええ。結論から言いまして、国やギルドにあなたの例のことが伝わってる様子はありません。それどころか、あなた方の存在(・・)すら(・・)、伝わっている様子すらありませんでした」


「え、どういうことですか?」


「私も理由はわかりませんが、天上院古里とサラ・ファルシマーがあなたのことを報告していないみたいです。それどころか、あなた方の話が上に伝わっている様子もありません」


「それってわかるものですか?」


「これでも王都専属ですからね。あなた方のことを知っている有力貴族とも面識があります。今私がお世話になっている館の持ち主もその1人ですが、魔族の話していた『召喚の儀』のことを聞いたところ、あなたはすでに死んでいる(いなくなった)と完全に信じていました」


 死んでいると思われているのがいいことなのかどうかはさておき、どうなってるんだ?


「それはおそらくバラーガの仕業じゃろうな」


「あいつの仕業?」


「おそらく、じゃがな。少々話しづらいこともあるのでラムダが帰ってから話すのじゃ」


「はぁ。まあ、いろいろ秘密がありそうなことはわかってますから。それでは、そろそろ失礼します。準備もありますので」


「何の準備ですか?」


ここ(グリムの町)を発つ準備ですよ。依頼も大事ですがしばらく王都でゆっくりするつもりなので。あなたと火龍様とした約束は守りますので安心してください。仲間にも話すつもりはありません」


「そうなんですか……あ、約束と言えば、龍の素材はいつ渡せばいいですか? 今でもいいですが」


「それなら今いただきます」


 俺はアイテムボックスから旋風龍と炎龍の牙と爪を取り出す。ラムダさんは旋風龍の方を受け取ると、アイテムボックスにしまって帰って行った。


どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 LvMAX(99)

 薬剤師 Lv49/60

 聖???の勇者Lv15/??

 狙撃主 LvMAX(70)

 獣人  LvMAX(20)

 狂人  Lv49/50

 魔術師 LvMAX(60)

 ローグ Lv30/70

 重戦士 Lv37/70

 剣闘士 Lv28/60

 神官  Lv18/50

 龍人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70

 大鬼人 Lv1/40 

 死龍人 Lv1/20

 魔人  Lv1/20

 探究者 Lv1/99

 狙撃王 Lv1/90

 上級獣人Lv1/30

 魔導士 Lv1/90 』


活動報告では遅れると話してましたが、1日遅れでの更新です。

ちゃんと間に合ったよ!


あと、章分けやっときました。改めまして、前話から第8章スタートです。よく考えたら章タイトルつけてるけど第何章としか書いてなかった…感想返しで2つから決めかねてるとか書いたけどいらなかったな…感想くれた方すいません。


ではまた次回

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