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キャラビーの物語です6

前話がかなり変な時間に投稿していたので読んでいない方はぜひ。

初めの方は前話を読んでいないとわからないと思うので…

 翌日になり、私とユウカ様は、いつも通り朝ご飯を食べていました。


「どうじゃ? 腹の虫は収まったかの?」


「はい。昨日は私がむきになりすぎました。アンナがご主人様を害することはないとわかってはいたのですが……」


「感情が抑えられんかったか」


「はい……申し訳ありません」


「わしに謝る必要はない。謝るならアンナに謝るのじゃな」


「はい。機会があればすぐにでも」


「それがよいの。なるべくメイたちが戻ってくる前にしておくのじゃな。心配させることになりかねんぞ?」


「はい!」


「ところで、今日はどうするのじゃ? すでに2週間以上経っておるから、いつメイたちが帰ってくるかわからんぞ?」


「それなのですが、冒険者ギルドで向こうの町を出たかどうか情報を得られませんか?」


「無理じゃな。いくらわしがSランクと言えども、そう簡単には個人の情報を教えてくれるわけではない。それに、メイたちが向こうの町を出たかどうかなど冒険者ギルドにはわからんのじゃ。町から出る時に冒険者ギルドに伝えるわけでもないしの」


「ですが、ご主人様たちは今回はランク昇格試験として向かいましたし、冒険者ギルドも把握しているのでは?」


「そうそううまくいくわけではないのじゃ。今回のランク昇格試験は向こうで討伐依頼もこなさねばならんしの。ギルド側もいちいち把握しておらんはずじゃ。さらに言えば、今回はメイたちが向かったミラの町は非常事態に陥っておる。その状態で冒険者ギルドが冒険者の出入りを完全に把握しとるとは思えんのじゃ」


「そうですか……」


「力になれんですまんのう」


「そんな、ユウカ様が悪いわけじゃありませんから!」


「そう言ってくれると嬉しいのう。じゃが、どうするのじゃ?」


「ご主人様が帰ってきたときに留守にしているなんてことがあっては奴隷の名折れです。私はご主人様が帰ってくるまではしばらく出歩くのを館周辺だけにしたいと思います」


「それでよいのかの?」


「はい。ダンジョンにはいけませんが、鍛錬は館周辺でもできますし」


「なら必要なものはわしに言うがよい。町で買える物であればわしが用意するのじゃ」


「ありがとうございます。でしたら、買い物ではないのですが、ガンダさんにご主人様が帰ってくるまでは行けないと伝えていただけませんか? ダンジョンに潜っていた後に行った時も、何も言ってなかったのですごい心配されましたし」


「わかったのじゃ。ついでに家でもできることがないか聞いてくるのじゃ」


「ありがとうございます。ガンダさんのところでないと、今ある物に刻印をする練習しかできないのでそれでいいのかわからなくて……。よろしくお願いします」


「うむ。あといるものと言えば食料かの?」


「食料はご主人様から大量にいただいているのでまだまだ余裕があります」


「そういえば大量に渡しておったのう。あやつのアイテムボックスにはいったいどれくらいの量が入るのか少々気になる所じゃな」


「ご主人様なのでおそらく無限に入ると思います」


「……お主の期待は大きいのう。む?」


 私たちが話していると、突然館の呼び鈴が鳴りました。


「キャラビーはここで待っておれ。わしが出てこよう」


 ユウカ様が席を立とうとした私を手で制して玄関に向かいました。




「キャラビー、お主も来るのじゃ!」


 10分ほどリビングで待っていた私ですが、玄関からユウカ様の呼ぶ声が聞こえました。なんでしょうか?


「ユウカ様、どうかなさいましたか?」


 玄関まで来た私を待っていたのは、初めて見る男性でした。ユウカ様と親しげな様子ですし、王都で訓練所所長をしていた当時の知り合いでしょうか。


「おお、来たの。ラムダ、この子はメイの奴隷であるキャラビーじゃ。今はわしがあずかっておる」


「初めまして。私はラムダと申します。『レーザー』というパーティのリーダーをしております」


「キャラビー、この男はこう見えてもS-ランクの実力者じゃぞ?」


「こう見えてもってひどいですよユウカさん」


 ラムダさんはやれやれとでも言うように首を振りますが、私には少し恐怖が浮かびました。S-ランクの冒険者で、パーティ『レーザー』のリーダーと言ったら、王都専属冒険者のラムダ様のことでしょう。おそらく私の、ファントムの血のこともご存じだと思います。私は警戒の色を強めました。


「なにやら警戒されているようですが、あなたに何かするわけではありませんよ。いくらファントムの血族とはいえ、今はメイさんの奴隷なのでしょう? それに依頼を受けているわけでもありませんし、頼まれもしないのに面倒毎に首を突っ込んだりはしませんよ」


 やはりファントムの血を知っていましたか。手出しはしないと言っていますが、どこまで信用すべきでしょうか……。


「キャラビーを困らせるようなことを言うでない。ファントムの血のことはこの子の前では禁句じゃ禁句。キャラビーも安心してよいぞ。この男は嘘をつくような男ではない。それに、今日ここに来たのはメイの話をするためだそうじゃ」


「ご主人様のですか?」


「ええ。ミラの町で『マツノキ』のランク昇格試験の試験官を務めていたのですが、私だけ用事があって一足先に戻ってきたのです。その際にメイさんたちがこの館で暮らしていると聞きまして、ユウカ様と奴隷の女の子が館に残っているとのことだったので先に挨拶をと思った次第です。聞いてはいましたが、本当にユウカ様がいるんですね」


「ここは便利じゃぞ? 鍛錬をするのにわざわざ門をくぐる必要もないし、広いからのびのびと暮らせるのじゃ」


「町の施設を利用するには不便ですけどね。それで、メイさんなのですが、試験はすでに終わったのですが、火龍様のところで3日間手伝いをすると言っていました」


「そうか。となるとこっちに帰ってくるのも3日後になるかのう」


「いえ、おそらく4日後か5日後になると思います。こないだの雨で道がかなりぬかるんでいまして……。私は御者が機転を利かしてくれて、近道をしたので1週間で戻ってこれましたが、メイさんたちが乗る馬車は道を変えたりはできない定期便なので、どこかで立ち往生してしまうと思います」


「それほどひどかったのかの? わしらがダンジョンに潜っておる時に降ったらしくてあまり知らんのじゃ。このあたりの道は残っているメイの従魔の1体が整備してくれたからあまり感じなかったのじゃが」


「アンナはそんなこともしていたのですか?」


「そうらしいぞ? あやつは頑張りやじゃからな」


 気づかれずにそんなことまでやっているなんて……アンナに早く謝らないといけませんね。


「向こうはかなり激しい雨でした。視界が悪くて大変でしたよ」


「お疲れ様じゃのう。それで、話はまだあるのかの?」


「いえ、後はお願いなのですが、私が泊まっている宿を彼らに伝えていただけますか? メイさんたちが戻ってくる前に話を通すつもりではありますが、少々難航しているので、万が一に備えて」


「……ミラの町で何かあったのじゃな。わかったのじゃ。しっかりと伝えておく」


「助かります。それでは、私はこれで。『黒き翼』の本部にも連絡しに行かないといけませんし」


「苦労人じゃのう」


「この件が終わったら仲間と王都でゆっくりするつもりです。では失礼」


 ラムダさんは町の方に帰って行きました。


「さて、メイたちが帰ってくるのは4,5日後ということらしいし、今日は二人でガンダのところに行くかの?」


「はい!」


 私たちは準備をしに館に戻り、町に向かいました。


 そしてその5日後、ランク試験を終えたご主人様たちが戻ってきました。




どうもコクトーです


少し間に合いませんでした。11時台には投稿できる予定だったのですが…


今話で間章『キャラビーの物語です』は終了です。

次回からは本編に戻ります。

次の章は戦闘多めだよ!


ではまた次回

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