白虎戦です3
地面にうつぶせの状態で倒れる俺とそれを見下ろす白虎。白虎の体からは黒いオーラはすでに消えており、もとの白い毛並だった。
「ふふふ、この力は恐ろしいものよ。二度と使えんな」
倒れている俺に向かって白虎が淡々と話しかける。
「本来我は白虎。黒の力というのはいまいち合わん。さて、名前は何と言ったか?」
「……刈谷……鳴だ」
俺は顔を上げて名乗った。俺は別に死んでいなかった。疲労と痛みで体が動かないだけだ。
「ふふ、鳴か。お前に出会えてよかった」
その時、白虎の巨体が揺れたかと思うとそのまま横に倒れた。それとは対照的に俺はふらつきながら立ち上がる。
この勝負、勝ったのは俺だった。
「……白虎、お前いったいいつから食ってない?」
俺は純粋な気持ちでそれを聞いた。戦っていて思ったことだ。どうにも力が弱いように感じていた。白虎が言っていたがここのダンジョンはもともと100層を超えるレベルの巨大ダンジョンだったらしい。それを総べているこいつが本来俺を一撃で殺せないのがおかしいのだ。今俺がこの場で立っていて白虎が横たわっている状態もあり得てはいけないような状態だ。
そこで初めに考えたのは年齢による衰退だ。だがそれはすぐにないと判断した。だって年齢で死んでしまうような奴だったら後継者を育てるのとかも行っているはずだ。というか数百年でこれだけしか衰えないとか寿命何年なんだよ……。それで俺が思い立ったのは空腹だった。
「何の話だ……」
「とぼけるなよ。途中で目の色が変わった時のがお前の素だろ? あれこそがお前の本心。違うか?」
「……それもきづかれるとはな。800年だ。我は800年何も食べていない」
想像以上に長かった。そりゃ力も出ねえよ!
「つかお前オーガたちに食料とってこさせればよかったじゃねえか」
「やつらにもやつらの都合がある。そもそも自分たちを養うので精いっぱいだったはずだ。餌なんかないからな」
そこで俺は思い出した。俺がこのパイフーに入る羽目になったのはその上にあったダンジョンに入ってしまったからだ。その入り口は間違いなくあの谷底だ。そんなところに餌なんかあるはずがないじゃないか。
「なら一つ上の階のモンスターは?あそこの熊とかなら」
「我に我を守るものを喰らえと申すか?」
「……すまん」
「まぁよい。む? どうやら我もここまでのようだな…………刈谷鳴」
「ん?」
「お前は今後他の3つにも行くかもしれん。その時のために我から贈り物をしてやろう」
俺の体が光る。なんかが体の中に入ってくる感覚がある。
「我の加護だ。この世でこれを授けたものはお前を入れて二人。光栄に思うがいい」
「かなり力が上がった気がする……ありがとよ」
「これで我も逝ける。……オーガたちよ……今までありがとう。死んだあとも願わくは共……に……あら……ん……こと……を…………」
そして白虎は息絶えた。
「最後の最後で感動するようなこと言ってんじゃねぇよ。お前の力は俺がもらう。オーガたちもあらかた喰らってきたんだ。俺がお前らの墓になる。せめて安らかに眠れ」
俺は白虎のもとへいき、そっと瞳で喰らった。そして悪魔だとかオーガキングを食べたとき以上に全身に痛みが走った。意識を保つのも無理だ。あっという間に気を失った。
『ダンジョン『パイフー』を攻略しました。封印が解除されます
職業:冒険者がLv40になりました
格闘家がLv40になりました
狙撃手がLv32になりました
盗賊がLv30になりました
剣士がLv28になりました
武闘家がLv23になりました
戦士がLv23になりました
魔法使いがLv28になりました
薬剤師がLv30になりました
鬼人がlv5になりました
????の勇者がLv7になりました
スキル:小規模ワープLv2:近接格闘威力上昇Lv1:鷹の目Lv1:気配遮断Lv1:剣術Lv5:コンボ2:硬化:アクアボールLv1:調薬成功率上昇20%:鬼の一撃LvMAX:反動軽減LvMAX:怒りLvMAX:自動回復Lv1を習得しました
スキル:鬼の一撃:反動軽減がLvMAXになりました
武器への付与が可能になりました
スキル:反動半減Lv1:ブレイクショットを習得しました
職業:狙撃主Lv1になりました
獣人Lv1になりました
パラメータ:全ステータス上昇(大)
スキル:眷属召喚(白虎)を習得しました
不意打ち:ファングショットLv1を習得しました
加護:西方の神の加護』
薄れゆく意識の中、俺の頭の中をそれらの文字が流れていった。
それから1時間後、目を覚ました俺はやたら増えたスキルなどのステータスを確認していた。
「改めてみると職業多いな……」
現在の俺の職業
冒険者 格闘家 狙撃手 盗賊 剣士 武闘家 戦士 魔法使い 薬剤師 鬼人 ????の勇者 獣人 狙撃主
この感じから考えて今後もさらに増えるだろう。もはやよくわからなくなってきた。そもそも鬼人と獣人ってもはや人じゃねえよな? てか同時に存在できるもんなのか? それに????の勇者って何か隠れてるし。
ステータスを確認し終えた俺は部屋の奥へと目を向ける。目が覚めて気づいたらできていた扉。たぶん白虎を倒すことがあの扉を出現させる条件なのだろう。あの扉の奥に何があるのかはわからないがとりあえず他に行けそうなところもないから向かうことにした。
いざ扉の前に立ってみても特に威圧感とか全くなく、ほんとにただの扉って感じだった。手をかけてみると普通に何の抵抗もなく開いた。
中は割と殺風景で、奥に通じる扉が一つあるだけ。電気とかそういうのはないがぼんやりと部屋の様子はわかる。さっきまで戦っていた場所とは違い岩の凹凸もなくきれいに平らだ。壁にもへこみとかでっぱりはなさそうだった。そんな部屋の中を奥の扉に向かって歩いてい―――-カチッ-―――
「ん?」
部屋の中央を越えたあたりで何かを踏んだ感覚があった。足元を見ると地面がへこんでいる。というかスイッチを踏み抜いていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「なに? なんなのこれ?」
部屋全体が揺れる。俺は何があっても対応できるように周囲に目を向ける。
すると上から2つの何かが降ってきた。それは地面に刺さり土煙が上がる。唖然としながら見ていると土煙が晴れていった。そこにあったものは2つの棺桶だった。真っ黒で蓋の部分にそれぞれ『ME』と『I』と書いてある。両方『私』だがなんか意味がほかにあるのかもしれないな。英語じゃないかもしれないし。
「って観察してる場合じゃないか。棺桶ってことはゾンビとかか? 白虎より強いとはこれっぽっちも思わないが……」
と警戒していたら『I』と書いてある棺桶のふたが開く。俺はそこにいた人物を見て完全に動きが止まった。驚きすぎて頭が回らない。
腰くらいまである黒くて長い髪で、真那より少し小さめな身長の細身の女性。
その女性が棺桶の中で眠っていた。
俺にはその女性に見覚えがある。というか長い間見てきた女性の姿だ。なにかにつけて真那と俺を引っ張っていきなんだかんだで楽しませてくれた女性。俺たちを困らせることもたびたびあったが楽しかったからよしとしていた。
「なんであんたがここにいるんだよ……――――――姉さん」
9年前に行方不明になった俺の姉。刈谷柩がそこにいた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『冒険者 Lv40
格闘家 Lv40
狙撃手 Lv32
盗賊 Lv30
剣士 Lv28
武闘家 Lv23
戦士 Lv23
魔法使いLv28
薬剤師 Lv30
鬼人 Lv5
????の勇者Lv7
狙撃主 Lv1
獣人 Lv1 』
白虎戦終了しました!
ではまた次回




