死龍王の最期です
前回、あとがきで古里視点とか書いてたのですが、展開がおかしかったので先にこっちを入れました。
すいません。
後半は視点が変わります。
ダムドレアスの口からあふれるように叫び声が響き渡る。それは、さきほどまでとはまるで違う、余裕の欠片すら見られないような悲鳴だった。
「がえぜ! ぞれをがえぜ!」
ダムドレアスが、潰れて見えない右目さえも見開き、少しずつ崩壊し始めた身体を引きずってこちらに向かってくる。やっぱりこの角が核になっていたのか。
角は、俺を拒むかのように俺の手の中で暴れようとするが『ダークナックル・纏』で強化した手に、『ダークチェーン』でがっちりと固定してあるから動かない。表面にはよく分からない文字が書かれており、どうも俺の魔力をかなりのペースで吸いながら、少しずつ消えていっている。文字の部分を空白に上書きしているといった方がいいかもしれない。
「ぞれを、よごぜぇえ!!」
ダムドレアスはほぼ骨しか残っていない翼を広げ、半ば千切れている足に力を込め、必死の形相で力を全身から集める。けっこう無茶したから俺も身体がボロボロだし、ダムドレアスの最後の一撃だろうと、くらうつもりはない。
「死体は死体らしく、安らかに眠っていろ」
俺はステュラを取り出して半身で左手に構える。最後の最後でこれ以上血を浴びたくないんだよ。
「『一刀両断』」
俺は左手でステュラを振り下ろす。『武偽』の効果で無理やり片手で使っているが、本来ならばどっしりと構えた上で、両手でしっかりと握って使うスキルであるため、その反動はかなりきつい。右手の角に大量に魔力を持っていかれているから余計にきつい。
「が、え、ぜ」
完全に真っ二つになり、左右に割れていくダムドレアス。体がぼろぼろと崩れている影響か、これまでの強靭な鱗など見る影もなく、あっさりと切り裂くことができた。
完全に半分に割れて、地面に崩れてもなおダムドレアスは出ない声を張り上げようと口を動かし、半ば骨だけになりかけた腕で必死にこちらに向かって動こうとしている。しかし、その細い腕ではダムドレアスの体を動かすだけのパワーはなく、硬い地面をがりがりとむなしく削るだけだ。
それから30秒もすると、俺の魔力が削れていくのが止まった。角の表面に描かれていた文字もすべて消え去り、ただの角になった。
『職業:冒険者がLvMAXになりました。
薬剤師がLv49になりました。
聖???の勇者Lv15になりました。
狙撃主がLvMAXになりました。
獣人がLvMAXになりました。
狂人がLv49になりました。
魔術師がLvMAXになりました。
ローグがLv30になりました。
重戦士がLv37になりました。
剣闘士がLv28になりました。
神官がLv18になりました。 』
『職業:冒険者、狙撃主、獣人、魔術師がLvMAXになったので、魔人、精霊使い、舞踏家、大鬼人を有効化します。
職業:探究者、狙撃王、上級獣人、魔導士になりました。 』
『スキル:探知Lv1 薬草鑑定 聖拳突Lv1 魔拳突Lv1 魔なる構えLv1 武器強化(弓)Lv1 獣拳 呪い弱化Lv1 魔力感知Lv1 ヒール1 清浄空間(極小)Lv1 を習得しました。
魔宝刀Lv2 マルチロックオン30 魔力矢Lv4 狂化Lv4 全方位結界Lv3 気配察知(人)Lv7 気配察知(魔物)Lv7 堅硬防御Lv8 体術Lv5 ダメージ軽減・弱Lv9 真剣術Lv3 武器強化(剣)Lv2 ヘイトLv3 を習得しました。
スキル:聖拳突 呪い弱化 ヒール1 清浄空間(極小)が消失しました。
スキル:魔力感知が探知に吸収されました。
薬草鑑定が鑑定に吸収されました。 』
『スキル:空蹴りLv6 不死殺しLv4 ベルゼブブLv2 ハンドレッドナイフLvMAX を習得しました。 』
「がぁあああああああああああああああ!!」
さっきの毒やブレスなんかとでは、とても比べようがないほどの痛みが全身を襲った。外からの攻撃による痛みではなく、内側から体を作り変えるがごとく襲い来る痛みだ。もちろん『再生』などの回復系スキルはフル稼働で治そうとしてくれているが、そんなもの焼け石に水どころか、太陽に水1滴くらいの意味の無さだ。あの谷底で悪魔を喰らった時でもここまで痛くはなかったはずだ。
痛みによって全身が過敏になっているのか、激しく降り注ぐ雨がまた痛い。雨じゃなくてほんとは全部槍でした、とか言われてもおかしくないくらいだ。内側の痛みと外側の痛みにのたうち回りながら、俺はただひたすら耐える。痛みは引く気配がない。
そして数秒後、俺は痛みに負けて意識を手放した。
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「どうしたのかな? 大至急報告することがあるって連絡があって急いでダンジョン散歩から戻ってきたんだけど」
薄暗い玉座の間で、玉座に座るその少年が跪く霊体の女性に尋ねた。
その格好は普段の学生服ではなく、最低でもランクA+以上のモンスターの素材で作られた防具に包まれており、靴についた土などから、急いできた様子が見て取れた。
その隣に立つ女性もまた同じように全身を防具で包み、不機嫌そうな声色でその少年に同調した。
「そうですよ。せっかく魔王様が楽しんでいたというのに。それに、あなたは今ミラの町で作戦中ではありませんでした?」
「暴食を見つけました」
「「!!」」
前置きもなしに告げたその言葉で、2人の雰囲気は一変した。それまでの表情とは違い、きりっとした真剣な表情だ。
「ミラの町でかい?」
「はい。作戦を行うにあたり、死龍王ダムドレアスをゾンビ化し、使役していたのですが、それを一人で足止めしていた男がいまして、その男が使用していた魔法が間違いなく暴食の力でした」
「使用していたということは、その男は大罪の力を使いこなしていたということですの?」
「使いこなすという点では疑問が残りますが、間違いなく自身の意思で暴食の力を発動していました」
「へぇ。ガルアみたいに制御できていない感じではなさそうだったのかい?」
「そうですね。かなり疲弊はしているようでしたが、彼のように肉体を犠牲にしているわけでもなさそうでした」
「その男はどうしたのです? 捕まえるなり殺すなりしたのでしょうね?」
「いえ、すぐにこのことを伝えなければと思い、その場を離れたのでなんとも言えないです。ただ、ダムドレアスにはいろいろと細工をしてあったのであの疲弊した状態で生き残れるとは思えませんが、念のためにミラの町にいた連中にこっそりと様子を見てくるようには伝えてあります」
「たしかダムドレアスって憤怒が気にしてたモンスターだよね? 龍王に進化していたんだね。疲弊した状態でそんなののゾンビと戦うってのは厳しいだろうね。僕だったらやりたくない。もし生き残っていたら勧誘してみようかな?」
「さすがに厳しいかと」
「まあ死んだとしても、暴食の力はそのダムドレアスとかいう死龍王のゾンビに移るだけですし、問題はありませんわね」
「そうなれば、私が十分制御を……嘘!? そんな、なんで!?」
霊体の女性が、話している最中に突然先ほどまで自分がいた方角を見た。
「どうしたの?」
「……ダムドレアスが消失しました……。私の細工も消されてしまいました」
「へぇ……。よし、決めた。1か月くらい経ったらそいつ勧誘しに行こう。名前はわかる?」
「地球から召喚された3人の一人、刈谷鳴という男です」
「刈谷、鳴か。会うのが楽しみになってきた!」
少年は、わくわくを隠し切れないままそう声を上げた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 LvMAX(99)
薬剤師 Lv49/60
聖???の勇者Lv15/??
狙撃主 LvMAX(70)
獣人 LvMAX(20)
狂人 Lv49/50
魔術師 LvMAX(60)
ローグ Lv30/70
重戦士 Lv37/70
剣闘士 Lv28/60
神官 Lv18/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
龍人 Lv1/20
探究者 Lv1/99
狙撃王 Lv1/90
上級獣人Lv1/30
魔導士 Lv1/90 』
対ダムドレアス、決着です!
前書でも書きましたが、古里君視点を待っていた方、すいません。本編です。
ただ、安心してください。次回は古里君視点の予定です。
ではまた次回