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僕は真の勇者だ! その10

今回も天上院古里視点です


あとがきでちょっとした宣伝あります。

なお書籍化ではないです。

 僕達が見ることになった受験者のパーティは、出発して5日で不合格となった。討伐依頼の段階に入る以前の問題で、護衛依頼の途中でリタイアだ。思い出せば、グリムの町を出る時、すでにその兆候は表れていたような気もする。


 僕らが受け持ったパーティは『赤の団』所属の7人パーティだった。受験者はそのうちの5人で、残りの2人のうち片方はランクB、もう片方はランクD+で、護衛依頼の行先などを伝えた時の会話を聞いている限りどうも普段から組んでいるパーティが2つ合体してできたパーティのようだ。予選を合格した人がいる4人組のパーティと、予選に落ちた受験者のいる3人パーティ。Bランクの男は後者のパーティみたいだね。7人組のパーティとしてやってきていたけど、それほど仲は良くないみたいだ。


 依頼当日の朝、受験者のパーティで現場に表れたのは5人だった。残る二人はギルドに従魔を預けに行っていて遅れているとのこと。2人とも受験者で、4人組パーティの方のメンバーだ。昨日の説明で遅刻はダメだって言ってあったので普通に減点対象だと伝えた。わざわざ準備の時間として半日近くあったのにも関わらず、準備が終わっていないから遅刻だなんて言語道断だ。護衛依頼を出した商人の方がいい人だったからよかったものの、普通ならアウトだ。

 それから、7人全員がそろったのは20分後だった。しかも遅れてきた2人は悪びれる様子もなく、当たり前のように「じゃあ行きましょうよ」だなんて言ってきたから、さすがの商人さんもあきれ顔だ。まとめ役になっていたBランクのメンバーが商人さんに後で頭を下げていたけど、なんとなく苦労人の気配がした。仲間にいろいろしでかす奴がいると苦労するよね。ほんと僕を見習ってほしいよ。


 出発してすぐは特にこれといった問題は起こらなかった。まとめ役もしっかりと機能し、モンスターが現れたら即座に対応。長引いてしまった時は必要な分だけ回収してあとは燃やすことで時間を短縮して行程に遅れが出ていないか確認したりと商人さんからも高評価だった。

 夜間の見張りもきっちりこなし、3日目に起こったモンスターの夜襲もあっさりと撃退していた。

 しかし、問題は5日目の朝に起こった。


 4日目の夜警の当番は2人。例の2人組だった。

 なんと夜警の最中にこっそりと持ち込んでいたらしい酒を飲み、酔いが回ったからか、2人とも居眠りをしてしまい、大切な商品をウルフに荒らされていることに気づかなかったのだ。たまたま今後の予定を話すため僕達が起きていたから被害は最小限に抑えられたけど、依頼としては大失敗だ。

 積み荷の干し肉、そして、果実の箱が2つダメになってしまった。当然依頼主は激怒。酒のこともばれ、商人の怒りは最高潮になっていた。

 最終的には彼らが弁償し、今回の依頼料はなしということで話はついたが、その商人が務めている商会の上のほうまで話が上がることは当然のことだろう。『赤の団』としての評価もされるだろうし、自分たちが悪いとはいえ踏んだり蹴ったりだ。


 それから、残りの道中3日間は僕達3人が中心となって護衛をした。本来ならばこれは起こってはならない事態だ。僕達も若干油断していたことは否定できない。でもさ、ランクの昇格がかかった大事な試験の最中の夜警でまさか酒を飲みだして、あまつさえ寝てしまってモンスターに襲われるだなんて考えられないじゃない?

 そもそも、僕たちは受験者だけでは対処しきれない状況になるまで手出しは禁止なのだ。夜警中にウルフが1匹やってきたなんて状態を対処しきれないなんて信じられないよ。


 その後は特に問題が起きることもなく、僕たちは護衛依頼を終えた。当初の予定では、これから1週間から2週間ほどこの町に滞在して、この町の近くに生息しているランクB-のモンスター、ライトニングウルフの討伐依頼を受験者全員がクリア、もしくは失敗するのを確認する予定だったが、すでに彼らには試験としてその依頼を受ける資格はない。ただ単に討伐依頼を受けることはできるが、それを何度成功しても今回の試験で昇格することはない。

 一応結果などの報告もしなければならないし、向こうに戻るまでは3人で行動することにしたこともあり、僕たちは1週間、この町に滞在することにした。別に戻ろうと思えばサラの転移魔法で戻ることができる。しかし、サラの負担も大きいだろうし1週間後にはなるが、馬車を手配できたしゆっくり帰ればいいよね。

 それに、アーカイブさんは僕が最もよく使う魔法、光魔法のエキスパートだ。いろいろと話を聞けるかもしれないしね! 僕の光魔法は普通の人のものよりも威力が高い。その分制御も難しいんだけど、それをしっかりと制御できてる僕って流石だよね。


 町についてから3日目。僕達は冒険者ギルドにやってきていた。それというのも、僕たちはこの3日間、毎日ライトニングウルフの討伐依頼を受けているのだ。ダメもとで鍛えてくれとアーカイブさんに頼んでみたらあっさりと了承してくれてね。いやー、実に有意義な時間だった。

 普段のパーティでも、サラとヴァルミネは光魔法を使うことができる。しかし、二人とも光魔法はそれほど得意としているわけではない。ヴァルミネに関して言えば、むしろ苦手としている魔法の1つだ。なのでアーカイブさんの話はすごいためになるのだ。


「ランクS、ルーミ・アーカイブ様ですよね? 少しよろしいでしょうか?」


 僕達が依頼を受けようとしたとき、ギルドの職員さんがアーカイブさんを呼び止めた。何事だろうか?


「実は、お耳に入れておきたいお話が……」


「それは私だけでしょうか?」


「お連れの方もご一緒にどうぞ。お二人も高ランクの冒険者ですし、関係がないとは言い切れませんので」


 僕達は職員さんの後についてギルドの奥に入って行った。



 この町の冒険者ギルドのギルドマスターから聞かされた話はとんでもない内容だった。

 あの真那さんのいるパーティ『マツノキ』が向かったミラの町にランクエラー級の邪龍が現れたというのだ。その邪龍の能力は龍殺し。とてもじゃないがその町にいる冒険者、また龍では立ち向かえないため、一旦町を捨て、周辺にある町にSランクを数人集めてその邪龍を迎え撃つことにしたそうだ。町を捨てるだなんてそんな!?


「サラ、ミラの町って行ったことあるか?」


「ミラの町は一度行ったことがあります。って、古里さんまさか」


「つらいかもしれないけど、転移魔法で僕を連れて行ってくれないか?」


「何を言ってるのですか。私たちが行ったところで、できることは」


「いいんじゃないかしら?」


「アーカイブ大司教様、私たちがミラの町に行ったとしても、住民に淡い期待を抱かせるだけになってしまいます。それよりは続報を待った方がよろしいと考えます」


「ルーミア様が民を見捨てるようなことをするとお思いですか? ミラの町の民も神の子です。今頃不安と恐怖とで混乱しているでしょう」


 アーカイブさんの言葉を聞いて、サラは雷に打たれたような表情を浮かべた。あ、神の子モードになってる。

 いつからだったかは覚えていないけれど、サラは一定の条件下においてルーミア教の女神ルーミア様への信仰心が振り切れるようになった。主に神の試練、神の子、民、不安。そう言った言葉がきっかけになることが多い。今回はそれが全て入っているし、何よりもその言葉を発したのがルーミア教の大司教でもあるアーカイブさんだ。神の子モードになるのも仕方ないな。


「これは……これは神が私に与えた試練なのですね。わかりました。古里さん、すぐにでも行きましょう。あぁ、神よ、崇高なるあなた様の与えなさったこの試練、神の子たるサラ・ファルシマーが見事乗り越えて見せます!」


 それから、僕たちはすぐにミラの町に跳んだ。

 僕はたまたま見かけた、偵察に動こうとしていた冒険者3人と偵察に出ることにした。今はあの刈谷鳴が一人で足止めしているという。この3人もあいつを見たことがあるらしく、もしかして魔族(・・)なんじゃないかと疑っているそうだ。こっそりと話していたから聞こえていないつもりだったのだろうけど、バッチリと聞こえていた。


 そして僕は、あいつが魔族である決定的な証拠をつかみ、その場にやってきた。



どうもコクトーです


バイトのシフトは写し間違えると大変なことになりますね…



えーと、この度、藤宮藍 という名前で活動している、音楽作ったり写真撮ったりweb制作したりデザインしたり色々してる友人に、この小説のタイトルロゴをデザインしてもらいました。

プロローグの第一話の初めに載せてあります。個人的にすごい気に入ってます!

この小説初の挿絵がタイトルロゴというねw


活動報告にも書いてあります。そっちのが細かいかも?


ではまた次回

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