邪龍襲来です9
向かってくる俺に対して、ダムドレアスはまた魔法を撃って攻撃してきた。コピーの方は翼を大きく羽ばたかせて少し離れたところにある死体の下へ向かおうとしている。回復するとわかってて見逃すはずがないだろ。『紫炎槍』はもともとこいつらから得たスキルだし、おそらく効果はないだろうという考えから、『ダークネスランス』を10発、それぞれ1点集中でコピーに放つ。同時に向かってくる魔法の迎撃もかねてダムドレアスにも『アクア』を大量に放っておく。闇魔法と火魔法の混合魔法だし、多少は効果があるだろう。
コピーは、暗黒の槍にその翼を穴だらけにされて地面にたたきつけられた。ちっ、死体の山に手が届いてるじゃねえか。
コピーはその届く範囲にある死体をあらかた口元に引き寄せると、勢いよく食らいついた。遠目からも、コピーが咀嚼する度に邪龍たちのものと思われる血が歯の隙間から滴り落ちるのが見える。
ある程度噛み、コピーがそれを飲み込むと、少しずつ消し飛んでいた下半身が再生し始めた。食った量よりも明らかに少ないが、コピーが次々食べていくのであまりそんな感じがいない。
本来ならば回復しているコピーを止めに行きたいところだが、ダムドレアスがそれを許してくれなかった。魔法に紛れるようにしてあたりの岩を投げつけてきたのだ。俺は魔法は喰らえても岩は喰らえない。スピードを上げているし、『小規模ワープ』もあるからかわすことはできているが、コピーからは離されている。やむを得ずにダムドレアスの方に攻撃を仕掛けるも、コピーよりも動きも早く、何よりも堅い。少し離れた位置から『剣閃』を放ってみたが傷すらつかなかったし、血も当然でなかった。『鬼化』じゃないとパワーが足りてないっぽいな。しかし、『獣化』がないと『小規模ワープ』を減らした状態でよけるだけのスピードが足りない。どうもダムドレアスは俺の転移先をよんで攻撃している感じさえある。さっきのがまさにそうだったしな。
そんなことをしているうちに、大量の死体を消費してコピーの下半身は完全に再生した。翼にあけた穴もふさがってるみたいだ。厄介な……。
「終わったぞ。なんだ、まだ殺してなかったのか?」
「そう簡単には殺させてくれんのだ。手伝え」
「そうだな。俺の翼を穴だらけにした分はお返しせねばな」
そんな風に話しながらもダムドレアスコンビは魔法を撃ちまくってくる。コピーが戻ったことで弾数が増え、かわすのがきつくなってきた。攻勢に出ようにもかわすのに精一杯だ。何か攻めに転じるきっかけを作らないとな。
しかし、ゾンビ相手に有効そうな魔法というと、やはり光だろうか? そうなってくると俺には倒せないということになってくるんだが、ゾンビというと火も効果があるかもしれない。そうなると『バーストショット』のレベルを上げておいてよかったかもな。あるいは雷も雷光と考えたら有効か?
「『クエイク』」
俺は足場を『クエイク』で上に押し上げ、視界にダムドレアスコンビが映るようにする。作りだした壁もすぐに紫炎槍と紫炎球によって破壊されるが、一度高くジャンプするためだけのものだし問題はない。
ジャンプした瞬間にダムドレアスコンビも俺を狙って魔法を放とうとしてくるが、俺の攻撃の方が早い。
「『マジックエンチャント』『サンダーブレス』!」
俺の口から出た雷属性のブレスがダムドレアスコンビに降り注ぐ。なんか初めてブレス系のスキル使ったけど、すごい変な感じするな。
ブレスはもちろん魔力で構成されているのだが、吐息と言うだけあって、口以外から放つことはできないし、絶妙なバランス調整ができなければ同時に違う属性のブレスを使うことはできない。マナレベルで魔力操作ができるのならば行けるのかもしれないが、正直今の俺には無理だ。
『サンダーブレス』は放たれた魔法を貫いてダムドレアスコンビに直撃した。雷属性はそもそも風属性の上位属性だ。上位属性であるからこそ2つの属性が混ざった魔法とはいえ、下位属性2つでできた紫炎槍と紫炎球を貫けたのだろう。うれしい誤算だな。
しかし、攻撃が直撃したはずのダムドレアスコンビは、プスプスと軽く煙が上がっているものの、まるでダメージを受けていない様子だった。軽く肉が焦げてる部分もあるし、本当にノーダメージというわけではないんだろうが、ゾンビという点を考えるとダメージはないんだろうな。
本来、『不死殺し』、『対不死威力上昇』、『対龍威力上昇』の3つはダムドレアスコンビと戦うにあたってかなり有利なスキルだが、残念ながら魔法にはその効果がなかった。正確には、直接攻撃できるような『ダークナックル・纏』や『ダークソード』などの魔法には効果が及ぶみたいだ。また、剣や槍などの武器にも効果があるみたいだし、やっぱり直接攻撃しかないのか……。
俺は覚悟を決めて、『空蹴り』でダムドレアスのもとへと跳ぶ。いまだに煙をがあがってるが、ダムドレアスコンビは同時に俺へブレスをはいてきた。『小規模ワープ』でかわし、さらに距離を縮める。『空蹴り』を限度まで使って高スピードで突進して『獣の一撃・付与』をした状態で『剣閃』でコピーの腕を切り落とす。勢いが強かったこともあり、『一刀両断』でなくてもギリギリ切り裂くことができた。血を浴びないように断面を即『アイスロック』で固める。そして、ついでに視界を覆って死角を作りだしているとれた腕をつかんで瞳で喰らった。
『ステータス:腕力上昇(小)を習得しました。 』
視界は確保できたが、さっきまで腕で隠れていたところからコピーの腕が伸びてくる。かわし……きれないな。
「ぐっ」
爪になんとかステュラをあて、軌道をそらすも、相手が大きすぎて爪が脇腹をえぐる。血が勢いよく噴き出して力が抜けそうになるが、それを無視してお返しに『一刀両断』で爪を切り落として『エアロ』でその爪をダムドレアスに向けてはじく。細かく操作する余裕はないから数発同時に放って無理矢理だ。
ダムドレアスはその爪がのどに刺さるのも気にせず俺に噛みつこうとしてきた。『小規模ワープ』で跳ぼうにも距離が足りない。『空蹴り』もすでに使ってから地面についていないから使えず、発動の速い『エアロ』で体を突き飛ばしてステュラで受けるために時間を稼ぐしか手がなかった。
ダムドレアスは、ステュラで受けた俺をそのまま地面にたたきつけてブレスで追い打ちをかけてきた。その衝撃で大きなクレーターができる。もちろんその中心は俺だ。
「て、『テレポート』」
トドメと言わんばかりのダムドレアスの足裏が見えたため、慌てて『テレポート』で距離をとる。無理矢理だし、連続で使っていることもあり、魔力がごっそり持っていかれる。
しかし、転移で移動した先にいわが飛んできていた。体勢も悪く、とっさに右腕で受けたが、『再生』が間に合っておらず、勢いに負けて吹き飛ばされる。腕も折れた。
「決まったな」
「むぅ、また再生せねばならん……」
「よいではないか。俺もどうせ爪をなおさねばるぁっ!?」
突然ダムドレアスの口が爆発した。顎が吹き飛び、ダムドレアスは力が抜けたように後ろ向きに倒れる。
「どうし……」
ダムドレアスが倒れるのに合わせてコピーもその体が崩れていく。死体に戻っているのかな?
「げほっ、げほっ、成功、だな」
爆発した理由は簡単だ。俺がブレスを喰らう前に『バーストショット』をできる限り大量に放っていたのだ。遅効性にして、ブレスに巻き込まれないようにしていたのだが、今発動したようだ。
『スキル:再生Lv8を習得しました。 』
『再生』のレベルが上がり、何とか立ち上がれるようになり、ステュラを杖代わりにして立ち上がった。
「コピーは本体が倒れれば消えるのか。頭を壊せば倒せるってのがわかっただけでも儲けものかな?」
ダムドレアスとコピーはピクリとも動かない。コピーに至っては体がばらばらになっている。
改めて確認しようとそちらに向かおうとしたその時だった。
「「偉大なる魔王様のクソ野郎のため、全部ぶっ壊してやらぁああ! 待ってやがれクソ龍人ォオオオ! 全員ぶっ殺す。てめえだけは俺が殺してやる!」」
俺の背後から、3度目となるそのセリフが聞こえてきた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv98/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv13/??
狙撃主 Lv54/70
獣人 Lv19/20
狂人 Lv33/50
魔術師 Lv52/60
ローグ Lv22/70
重戦士 Lv23/70
剣闘士 Lv10/60
神官 Lv9/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40
死龍人 Lv1/20
龍人 Lv1/20 』
すいません、また遅れました。
区切りがつけられなかったんだよ……
ではまた次回