白虎戦です1
白虎とのバトルが始まった。
敵は堂々とたたずんでいる。まずは様子見かな。
「ダークラン」
あと少しで発動というその瞬間、俺は嫌な予感がして魔法を中止し、地面をけって右にとんだ。
そして俺の体があった部分を白虎の鋭い牙が噛んだ。
「む、『不意打ち』をかわすか。楽しませてくれそうだ。安心するがいい。不意打ちは一度の戦いで初手しか使えん。あとは普通にやろう」
白虎がなにかを言っていたがそんなもの耳に入ってこなかった。動いてなければ今ごろ終わってたという感覚が強く残る。
一度距離をとる。同時に魔法を使って牽制もする。ダークランスによって生まれた槍が白虎に襲いかかる。
「はっはっは! ぬるいわ!」
しかしそれは白虎の雄叫びにかき消される。俺の体までビリビリと震えるほどの叫びだったがそれで止まるわけでもなく俺はファイアバレットを放つ。雄叫びには消されなかったものの腕をふった風圧で消える。
「闇魔法に火魔法か。まだ力が弱いのが残念ではあるな。まあ遠慮はせんが」
少しくらい手加減とかしてくれないかなーとか思うのも無駄っぽいので戦いかたを変えるため剣を取り出す。魔法は基本やめた方がいい。やっても目眩ましか至近距離。でないと魔力を無駄にするだけだ。まあ再生あるからあんまり関係ないけど……。それでもいざってときに足りないとか困る。それを防ぐためにもこれでやる必要がある。
俺は剣を構える。距離は十分ある。なんとか対応はできるだろう。白虎は後ろ足で力強く地面をけって向かってきた。太くてでかい前足が振りぬかれる。それを受け流しを使ってなんとかいなし、剣の構えをかえる。狙いは現在無防備な胴。
「『一閃』!」
白虎の横腹を軽く切り裂く。だがそれも表面だけで肉まで届いた感覚はなかった。そこにしっぽによる薙ぎ払いがくる。とっさに結界で多少のダメージを防ごうとする。しかし軽々と結界を破り俺の体を捉える。壁際まで吹っ飛ばされ、なんとか空中で体勢を直して剣をブレーキ代わりにして止める。休む間もなく白虎が迫る。俺は剣を上段に構える。
「こいつなら一閃よりはいいだろ? 『一刀両断』」
迫りくる白虎の中心線を通るように刀を振り下ろす。白虎は突如として後ろ足で方向をかえよけた。が、尻尾を半ばから切り落とした。切られた先から血が噴き出す。
「ぐゎぁぁぁあああ!!」
「さすが俺の腕を落とした技だ。ボスと言えどこれはきついだろ?」
「我の尾が…………やはり楽しめそうだ」
少しも動じなかったんだけど……。でも今ので『一刀両断』なら大きなダメージを与えられることがわかった。ただ……
パキン
剣が耐えられなかった。反動軽減によって俺に来る反動は少なくなっているが剣自体には変わらず衝撃がくる。あの巨体の受け流しから一閃と続いてブレーキがわりにしてそこからの一刀両断にはさすがに耐えられなかったらしい。
「剣を失ったか。これでつまらなくなるということはないよな?」
「当然」
アイテムボックスから次の剣をだす。今度は二刀。剣がなくなっても最悪棍棒がある。使い捨てだろうけど。
ファイアバレットとダークランスを広範囲に放ち俺自身もその中に突っ込んだ。今度はむこうが待ち構える。前足を振り下ろしてくる白虎。俺は今度も受け流せばいいとばかりに剣を構える。
すごい勢いで振り下ろされる前足を爪の部分を弾きがてら流す。そのさい左手に握っていた剣が折れる。さっきは折れなかったんだが……。この剣はどうにもダメージが蓄積していたらしい。それで今はじいたのがとどめになったようだ。俺はすぐに折れた剣を捨て次を出す。あと合計3本しかない。これは剣で戦うのもあきらめたほうがいいかもしれないな。
はじいた後前足を切ろうとしたがすぐ反対の足が俺を狙っていたので距離をとる。振りぬかれた足は空をきった。再び正面を向き白虎とむきあう。
「そろそろ我もスキルをつかわせてもらおうか。お主相手ではちともてあますだろうからな」
そういや初めの『不意打ち』以外ただの攻撃だったなーと思いだす。こっちはスキル攻撃ばっかり使ってるのに。
白虎の雰囲気が変わったのを感じて俺は気を引き締めなおす。
白虎は口を大きく開いた。鋭い牙が見える。噛みついてくるかと思い剣を前に交差させて構えるが白虎はその場で口を閉じた。次の瞬間、俺の背中に牙が刺さった。正確に言えば刺さってすぐに消えたのだが体から血が噴き出す。剣は何かにあたったように折れたがそのおかげか体の前面からは血は出ていない。再生で傷はふさがっていくがかなり痛い。まあ痛いで済むだけましか。
「む、怪我が治っていく。自然回復か。人間にしては珍しいスキルを持っているな」
「自然回復じゃなくて再生だけどな。そのスキル厄介だな。攻撃の場所を変えるスキルか?」
「一度でそれに気づくか。まあ簡単だわな。気づいたところで防げるか?」
再び口を開く。そして再び空を噛む。俺は残りの1本の剣を出して白虎のほうへ突っ込む。その途中で牙が現れたがジャンプしてそれをかわした。この攻撃を防ぐ方法はいくつか浮かんだ。かわしてしまえば問題はない。不安だったのは牙が俺の動きに合わせて動くかどうかだったがそれは杞憂に終わった。ロックオンを使った状態ならたぶん変わるんだろうけどロックオンは持っていないらしい。それを見てにやりと笑った白虎は連続して噛みつく。それをひたすらかわしながら白虎に迫る。噛みつきと一緒に前足による攻撃まで来たがなんとか防ぐ。
「一閃!」
白虎の足をきる。しっかりと近づき、その勢いも利用したため今度は肉を切る感覚があった。さきほどの表面だけをきった時とはあきらかに違う量の血が出る。白虎も痛みに顔をしかめる。隙を逃さずファイアバレットで顔を狙う。白虎は地面をけってかわした。そのかわした先にもファイアバレットを放った。白虎は俺の周りを旋回するように回ってかわす。近づかれないように俺もそれに合わせて魔法を放つ。前足をけがしているはずなのだがなかなか当たらない。若干テンポをかえて相手の前方に撃ってもあたらずさらに前方にすると白虎もスピードをかえてくる。ロックオンした状態でもスピードに追い付けずにかわされる。これ以上やっても魔力の無駄遣いだと判断した俺は魔法をきりかえる。スピードが遅くても広範囲に攻撃できる魔法だ。
「すこし不安だけど……『バーストショット』」
白虎の少し前あたりを狙って爆発を起こす。スピードをだしていたために白虎は方向をかえようとしても間に合わずに爆発に巻き込まれる。けっこう威力の高い一撃だ。若干毛先が焦げた白虎が爆炎から飛び出してくる。あの威力でも焦げるくらいなのか。やっぱり魔法はやめておこう。
最後の1本となった剣をしっかりと両手で握る。一気に決める気で力強く地面をけって白虎を襲う。一刀両断を使い剣を振り下ろした。が、白虎はすでにそこにはいなかった。
「は?」
一刀両断の反動で体が重くなるのと同時に体の右側から衝撃が伝わってくる。白虎の前足がそこにあった。俺の体を確実にとらえており俺に抗うすべはなかった。
剣が手から離れ俺の体は吹っ飛ぶ。
「がはっ」
壁にたたきつけられて口から血を吐く。壁にひびを入れて俺の体は止まった。そのまま重力に従って地面に落ちる。再生によってけがが治っていく。ある程度動けそうなまでには再生すると俺は立ち上がって白虎のほうを見る。
目の色が変わっていた。
「お前の瞳って黒じゃなかったか?」
今の白虎の瞳は黒とは程遠い赤。その赤い瞳が俺を見ていた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX
冒険者 Lv20
格闘家 Lv31
狙撃手 Lv25
盗賊 Lv20
薬剤師 v20
剣士 Lv15
武闘家 Lv10
戦士 Lv10
魔法使いLv15
????の勇者Lv5
鬼人 Lv3 』
ではまた次回