ミラの町です2
部屋の中にいた4人は全員独特の格好をしていた。
1人目はおそらく先程見た水龍と思われる男性。
上が水色、下が濃い青色の袴姿で、腰まである長い鮮やかな水色の髪を三つ編みにしている男性。
2人目は火龍と思われる女性。
下は真っ赤なタイツにスカートで、上はなぜか豊満な胸をさらしを巻いて隠しているだけ。両肩から腕にかけて燃え盛る炎の刺青があり、短めな赤いウルフカットの髪と、鋭い目つきも相まって喧嘩っ早そうな感じがする。
3人目は風龍と思われる男性。
髪の色が白ではなくて淡い緑色であることと、右目にモノクルをしていることを除けばセバスさんとうり二つで、そこにいるのにまるでいないような雰囲気だ。
そして4人目はおそらく土龍であろう女性。
ほんとにあっているのか疑いたくなるのだが、だぶついたピンク色の水玉模様のパジャマを着て、『寝る子は育つ』と書かれた抱き枕をもって、『起きてます』と書かれたアイマスクをして横になっている。これ俺の見間違いじゃないよな?
「先ほど龍の姿を見たと思いますが、こちらが人の姿となった水龍様です。そして、火龍様、風龍様、土龍様です。水龍様、こちらがメイ、マナ、ヒツギです」
ラムダさんが1人ずつ紹介してくれる。やはり俺の勘違いではなく、土龍様で合ってたようだ。
「あまり長々としていても時間が無駄なのでな。率直に言わせてもらおう。お前から龍の気がする。心当たりはないか?」
水龍様が真剣な表情で俺に問いかけてきた。しかし、俺にはまるで心当たりはない。俺の従魔には少なくとも龍はいないし、スキルにも龍に関係するようなスキルはない。まさかアイテムボックスの中のワイバーンではないだろうし、本当に何だろう?
「ただの龍ってわけじゃねえな。そこらにいる竜でもねえ」
「私にはかすかにしか感じ取れませんが、二方がおっしゃるならそうなんでしょうね。いやはや、歳というものはとりたくないですな」
「……」
「そう言われましても、ほんとに思い当たらないんです。何か少しでもヒントがあればいいんですけど……」
「あたしにはそんな細かくはわかんねえからな。そういうのは無理だ」
「そうですね……土龍、あなたならわかるでしょう?」
「……くかー」
「おい水龍、こいつに水ぶっかけろ」
「嫌だ。火龍、お前がなんとかしろ」
「あたしだって寝てるこいつを起こすのは嫌だね! 風龍、頼んだ」
「結局私になるんですねぇ。土龍、起きてください。ここにアップルパイがありますよ」
風龍は、どこからともなく取り出した、土龍の顔ほどの大きさのアップルパイを土龍の目の前に置いた。すると、土龍の鼻がピクリと動き、くねくねと体を動かしてアップルパイに近づく。なんだか餌を前にした芋虫みたいだ。
アップルパイの乗った皿に到達した土龍は、寝ころんだ体勢のままアップルパイにかぶりつく。手はまったく使う気配がない。
それから1分ほどでぺろりと平らげた土龍は、頬についた汚れを風龍にぬぐってもらい、満足げにうなずいた。
「卵」
土龍の口からその単語が1つこぼれた。かなり抑えめな声量だったが、全員にかろうじて聞こえた。
「卵か。この場合、龍の卵を持っているということになるのであろうな」
「珍しいじゃん。お前さん龍の卵を盗み出したのか?」
火龍様が笑顔で言ったが、パチパチと真っ赤な髪の毛の先から小さな火花が飛び出ている。盗んだなんてとんだ濡れ衣だ。それに、俺は龍の卵なんて持ってな……ある。
「もしかして、この卵ですか?」
俺はアイテムボックスから、以前武闘大会で両部門優勝したときにもらった卵を取り出した。クラインさんが冒険者時代に知り合いから譲り受け、どんな生物の卵かはわからないと言っていた。しかも、自分では扱いきれないって言ってたし、もしこれが龍の卵なら無意識に何かしらの影響を受けていた可能性は十分あるだろう。
「……それだな。間違いない」
「驚いた。何の龍だ? そいつは」
「私も見るのははじめてですね。亀の甲より年の功と言うと聞きますが、役に立てませんなぁ」
全員の注目が俺の手の上の卵に向けられる。今はまだ鎖で雁字搦めにしてあるが、そういえばこれをとったらどうなるか確認したことはない。たしか封印してるとか言ってたよな?
「それをどうやって手に入れた? まさか火龍が言ったように盗んだというわけではあるまいな」
「人から譲り受けたんです。ちなみに、その人も昔人から譲り受けたみたいなんですが、自分では扱いきれないと感じて鎖で封印を施したそうです」
「そうか。嘘は言っておらんみたいだな」
「外して」
水龍様の剣呑な視線がなくなると同時くらいに、今度ははっきりと聞こえる声量で土龍がしゃべりだした。
「その鎖を外して。もう限界だから」
俺は土龍の指示に従って鎖を解いていく。中で時間が止まっているはずで、しかも別の空間というか別の次元っぽい感じであるアイテムボックスの中にあっても外に影響を与えるほどのものなのだ。限界と言われても納得できる。
何重にも重ねられている鎖を少しずつ外していくわけだが、一周外すごとに卵から圧力のようなものが発せられる。それはだんだんと強くなっているみたいだが、4人の龍たちにはまるで効いていない。
『スキル:堅硬防御Lv6を習得しました。
ダメージ軽減・弱Lv4を取得しました』
防御を上げるスキルとダメージを抑えるスキルの2つのレベルが上がった。そこまでつらいとも何とも思っていないけど体には結構ダメージが来てるのか?
そしてついに最後の一周になった。すでに卵から発せられる圧力は物理的に部屋の家具を壊すところまで来ていた。机なんかはただの廃材になっているし、棚についていたガラスも完全に割れている。中に入っていた食器も当然バキバキだ。これ俺が弁償とかにならないよな?
そんな状態でも、俺たちは全員無事でいる。スキルが上がっていき、『ダメージ軽減・弱』がLv8に、『堅硬防御』がLv7になったこともあり、俺はそのまま耐えていられるし、龍たちは多少真剣な表情をしているが、自然体のままだ。部屋の隅では、ラムダさんが途中から精神統一をすることで圧力を周りに逃がしていた。ヒツギはヒツギで棺桶の中に避難し、マナは結界を張っている。
最後の一周を解いた。その瞬間、卵から全員に向かって正確に雷が放たれる。さすがの龍たちも各々の能力で防御したようだ。俺自身は瞳が喰らってくれたのだが、スキルもステータス上昇もなかった。どういう扱いだったんだろうか?
「孵るぞ!」
雷がやみ、卵の表面にひびが入る。
そして卵が強く光り輝き、ついに卵が孵った。
『スキル:星獣使役が発動しました。
星獣、黄龍(龍王種)を使役しました』
光がやみ、俺の頭の上にそいつは現れた。
「わがなはこうりゅう。おうたるりゅうのまつえい、こうりゅうである!」
そしてその日、俺の従魔に黄龍が加わった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv94/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv51/70
獣人 Lv17/20
狂人 Lv31/50
魔術師 Lv47/60
ローグ Lv22/70
重戦士 Lv23/70
剣闘士 Lv10/60
神官 Lv3/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
最後の方で変換されてないのはわざとなのであしからず。
次は少し遅れるかもです
ではまた次回




