ミラの町です1
「龍の気がする。詳しく聞こうか」
俺たちがやってきた南口に館を構える龍、水龍が俺たちの前に姿を現した。
あまりに唐突なそいつの登場に俺たちはただただ口をぽかんと開けて見ていることしかできなかった。『気配察知(魔物)』にも、『気配察知(人)』にも一切反応せず、突如として上空に現れたのだ。
水龍は、その名にふさわしい鮮やかな水色の、10mはこえるであろう巨大な体躯と、それを浮かせるための大きな翼を持ち、瞳はアクアマリンのような輝きを放ち、青い水晶の鋭い牙が禍々しく、かつ神々しく生えそろっていた。頭は他のドラゴン系のモンスターと同様縦長で、額から後方に向かって伸びる3本の角は、互いが絡まり合いながらきれいなアーチを描いて腰のあたりまで伸びている。わずかにその周囲を水の帯がぐるぐるとまわっているのも見えた。
「水龍様、龍の気がするとはどういうことでしょうか? お聞かせいただきたいのですが」
最初に対応したのはラムダさんだった。ランクSというだけあって状況への対応能力も高いみたいだ。というか、ラムダさんはどうやら水龍に以前会ったことがあるのかもしれないな。迷うことなく水龍と言っていたし。
「お前はたしか『レーザー』のトップか。昨日から町の周囲で邪龍どもと飛竜が騒いでおる。飛竜が騒ぐのは珍しくもないが、邪龍が騒ぐというのは珍しい。その理由と思われる龍の気が私のもとへ近づいてきたから調べに出たのだ」
「龍の気とおっしゃられましても、今回の商隊には龍人どころか竜人すらおりません。道中襲ってきたのはワイバーン系でしたし、とてもとても龍に襲われたことなどはありません」
「そうではない。そもそも龍人などであればあやつほどの男でなければ騒ぎもしない。まあすでにあやつは死んでおるがな」
水龍が少し悲しそうに話す、あやつとやらが誰のことかは全くわからないけれど、ラムダさんはわかっているのだろう。
「それについてはまた後でお伝えしたいことがありますが、今はいいです。それより、いつまでもそのお姿でいられますと、商人たちがいずれ恐怖で倒れてしまいかねません。龍の気に関係がある者を指定していただければ私が責任をもって館まで連れていきますので、ここは一旦下がっていただけないでしょうか?」
「人というのはやはりもろいものだな。だが、それでいて我らにも届きかねない力を発揮するものだからおもしろい。よいだろう。そこのゴーグルの男だ。後の者はどちらでもかまわん」
ゴーグルの男か。眼鏡やサングラスをかけているような人は見るけれどゴーグルはまだ見ていないな。現にこのモンガさんの商隊にも、サングラスは1人、眼鏡は4人はいるが、ゴーグルの人はいない。もしかしてサングラスのことをゴーグルと呼んでいるんだろうか?
水龍はその場で体を翻すと、町の方に戻っていった。
「では、行きますよ」
ラムダさんがそう声をかける。これ試験はどうなるんだろうか? モンガさんから依頼終了の証書をもらって、マキシムさんとミレアムさんの2人とともに依頼終了の報告に行けばいいのかな?
「どうしたんですか? 行きますよ」
何やらごねてしまっているのか、ラムダさんが困惑気味に声をかけている。自分が連れていくと言ってしまった以上、何が何でも連れていかなきゃいけないから大変だな。まあついていったら間違いなくトラブルに巻き込まれるとわかっているのに行きたい奴なんかいないか。
「何を自分は関係ないみたいな顔をしているんですか。行きますよメイさん」
「いや、龍の気とか勘違いですって。俺テレポドラゴンくらいしかドラゴンとは戦ってませんし」
「知りませんよ。ゴーグルの男なんてメイさんしかいないんですから。マナさんとヒツギさんはどうなさいますか? 依頼終了の報告は申し訳ありませんが私が戻ってからになってしまうのですが」
「私たちも行きます。メイを一人にすると何をするやら……」
「何もしねえよ」
「すぐにトラブルに巻き込まれるよねメイ」
「俺だって好きで巻き込まれてないからな?」
「では4人で向かいましょう。2人は依頼終了の証書の受け取りと、宿の調達をお願いできますか? 期間は1週間で構いません。お金は後日ギルドから支払われるので、とりあえず払っておいてください」
「了解」
俺たちは重い足取りで水龍の待つ水の館へと向かった。
水の館は、名前の通り水でできているとかはないが、噴水や水路など、あちこちに水を使った設備があった。大きさは俺たちが買った屋敷の倍くらいで、他の火の館、土の館、風の館に関しても大きさと形は変わらないらしい。
館の敷地内にはいると、ザ執事といった格好のご老人が扉の前に立っているのが見えた。
「ようこそいらっしゃいました。この水の館で執事をさせていただいています、セバスと申します。ラムダ様はお久しぶりでございます」
「お久しぶりです」
「我が主様から話は伺っております。一先ず客間へ案内するようにと」
「それではお願いします」
セバスさんの案内で館に入った。
館の中は、外以上に個性的で、通路の端には細い水路、壁は水槽になっており、中を様々な魚が泳いでいる。所々に魚系のモンスターも混ざっているが、暴れる様子もなくおとなしいものだ。
「こちらが客間でごさいます。しばしお待ちください」
客間へとやってきたが、客間は通路に比べたら普通だった。テーブルとソファがあり、あとは棚などの最低限の家具しか置いていない。ただ色が全て水色だったり透明だったりするだけだ。これが普通だと感じるのがなんともな……。
飲み物は部屋の隅にある棚に入っているらしく、セバスさんが部屋から出た後でもらうために確認したら、水が入ったガラス瓶がぎっしりと詰まっていた。飲んでみたがすごいおいしかったな。どこかで売っているなら買いたいレベルだ。
それにしても、どうして俺から龍の気なんてものがするのだろうか? 戦ったことがあるドラゴンとしてはテレポデスドラゴンとワイバーン、それからダッシュワイバーンくらいだ。ワイバーンとダッシュワイバーンは喰らっていないけど、職業に龍人や竜人はない。獣の気とか、鬼の気、魔の気みたいな感じで言われてたらわかるんだけどな。
しかし、もしかしたら聖???の勇者が影響しているのかな?
以前、1文字目として『聖』の文字が解放されたときには、天上院の聖魔法による攻撃を喰らったことで解放された。竜の攻撃も龍の攻撃も一切受けてないからわからないが、もしかしたら龍の使う魔法を喰らったら2文字目に龍の字が解放されるとかあるかもしれない。個人的にはわざわざ攻撃を受けたくないけどね。
それから20分ほど経ったころ、再びセバスさんが現れた。
「お待たせいたしました。用意が整いましたのでこちらにお越しください」
水龍の準備が終わったらしい。水を飲みながらのんびりとしていたが、今更ながらに行くのが嫌になってきたな。
「帰っちゃダメですよね?」
「ダメに決まっているでしょう?」
「ですよね……腹をくくりますよ」
セバスさんの後をついていき、豪華な扉の部屋に来た。
「この中に主たちがいらっしゃいます」
セバスさんの言葉が若干気になったが、そこは聞き流して俺たちは扉の中に入った。
「ようこそ水の館へ。お前から発せられる龍の気の話を聞かせてもらうぞ」
そこでは、只者ではない雰囲気の4人が待っていた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv94/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv51/70
獣人 Lv17/20
狂人 Lv31/50
魔術師 Lv47/60
ローグ Lv22/70
重戦士 Lv23/70
剣闘士 Lv10/60
神官 Lv3/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
結局連続投稿は無理でした。
連続投稿やるって書いた段階では前話が2話分の内容だったんですけどね。書き直したら1話になっちゃいました…
また3日ごとの投稿に戻ります。
ではまた次回




