ランク試験です2
「説明、始める。私、ミレアム・ドリー。ミレアムでいい」
ミレアムさんの説明が始まった。
「じゃあ、説明、よろしく」
「え? 私がですか?」
「聞いてる、でしょ?」
「たしかになぜか私だけ細かい内容から注意点までしっかりと聞かされましたが……」
「そういうこと」
「なんで私だけなんだろうなーと思っていましたがこういうことでしたか……」
説明が始まった……かと思ったら、ミレアムさんはすぐに隣にいた神官に丸投げした。いや、いいのかそれ?
「私、口下手。説明、下手。受験者、困る」
なんだか単語の羅列みたいな感じで話すミレアムさんはたしかに説明はうまくできそうにない。そんな人をなぜ選んだのかと冒険者ギルドに問いただしてみたくなるが、やめておこう
「私とあなた、友達、原因」
ミレアムさんが諦めろとでも言うように告げた。その言葉で神官の彼女は、「はぁ~」と盛大にため息をつき、姿勢を正してこちらを見た。
「そうですよねー。今更ですよね、わかりました。では私から説明させていただきます。今から皆さんには、1対1の戦闘をしてもらいます。その上で、今から10分間、時間を差し上げます。こちらのミスとも言えますが、紙を渡すときに、ただ『代表者を決めてください』としか伝えていなかったものですから、パーティのリーダーだったり、実質的なまとめ役だったりと、戦闘力という面で見た時にパーティで一番というわけではない方もいるかもしれません。ですので、もし交代する方がいましたらお申し出ください。もしいらっしゃらなければこのまま説明に移らせていただきます」
「1つ質問良いか?」
そう言って手を挙げたのはランクC+のやつだ。
「戦闘と言ったが、武器はこのままでもよいのだろうか? 以前試験を受けた時に武器はギルドが用意した訓練用の物を使用するという試験があった。もし今回の戦闘でもそのルールが適用されるのであれば私よりうちのメンバーのナムの方が強い。しかし、そのままでよいのならば私の方が強いのだ。これでは交代すべきか判断できない」
「説明がまだでしたね、申し訳ありません。武器こちらで用意します。ご自身の武器を使って実力を測るのは最終的に行うモンスター討伐で見せてもらいます。今回は万が一、この戦闘で武器が壊れてしまった時に、この後の試験に全力で挑めないのではないかという意見が出まして、武器は壊れても問題のないものをこちらで用意するという形となりました」
「そうか。では、私はナムと交代する。私がギルドに行って呼んでくればよいのか?」
「入口のところにギルド職員が待機しているので、その者と一緒に呼びに行ってください。その際、紙は直接渡すのではなく、職員にお渡しください。職員が本人か確認して渡しますので」
「わかった。ではすぐに行ってこよう」
「お、俺も行く! 自分の武器じゃなきゃ戦えねえ」
そう言って、青くなっていた人ではない、もう1人のB-の人も出ていった。
よく入り口を見ると、20人近くが交代しに出ていこうとしていた。まあ『代表』と聞いてリーダーを選ぶのは当然と言えるよな。
リーダーが同時にエースであるとは限らない。筋肉バカだったり、戦闘狂だったりするかもしれない。他にも、交渉が得意な人がなる場合もあるし、事情があってリーダーをやる人もいるかもしれないのだ。それを考えると、このおよそ20人というのが多いのか少ないのかわからなくなるな。
それから5分後、交代で2人がやってきた。神官さんがそれを確認して、説明を再開した。
「では改めまして、説明に入らせていただきます。これから行う戦闘ですが、少し変わった総当り戦とさせていただきます」
「変わった総当り戦?」
「はい。と言っても、戦闘の内容ではなく、順番が少し変わっているという意味合いです。最初だけ適当に選びましてその戦闘に勝った人がまだ戦っていない人と戦います。もし3連勝した場合は、3戦目で戦わなかった2人が戦い、勝った方と戦い、勝利数をカウントします」
「連戦か」
「はい。なお、戦闘ごとに20秒ずつヒール2をかけさせていただきますのでご安心を。4名の中で、下位2名を脱落とさせていただきます」
「あれ? たしか6人まで減らすんじゃなかったか?」
「このままだと各組2名ずつで36名だな」
「ええ。ですので、そこで6名1組でまた戦っていただきます」
「一次予選ってところか」
「そうなりますね。説明に戻りますが、武器はこちらで用意した物を使用していただきます。訓練用に作られたものですので良い物とは言えませんが、壊しても問題ありません。買取とか、弁償とか一切ないので安心してください。降参するか、ミレアム様がそれまでと判断したら終了となります。禁止事項としては毒などの薬の使用と、殺人行為とこの後の試験に支障をきたすようなことです。何か質問はありませんか?」
神官さんの問いに対して、誰も質問はなかった。
「ではそろそろ始めましょうか。他のところでは始めているところもあるみたいですし」
そう言う神官さんの視線の先では、他の組がすでに戦いを始めていた。ぱっと目にとまったのは、両手剣を使う女と盾と片手剣を使う犬獣人の男の対決だ。今のところは女の方が押されているみたいだが、一撃当たれば逆転しかねないな。
「始める。初戦、メイ、ナム。武器、選ぶ」
ミレアムさんが再び仕切り始め、初戦の相手が決定した。なんというか、たまたまミレアムさんの近くにいた二人だ。
俺は棍棒と剣をもらい、ナムさんは剣と盾をもらった。魔剣を使わなければさっきの貴族風の人よりも強いということだがどの程度だろうか……。
こっそりと『鑑定』してみたが、そこまで強そうな感じではない。そのついでに剣と棍棒も鑑定してみたが、どうも木製の武器の表面に鉄をコーティングしているようだ。中に石を組み込んで重さを確保しているらしく、重心とかがうまく考えられてるなと感心するものの、それなら他に方法があるんじゃないかなーと思ったりしなくもない。
「準備、いい?」
「俺は構わねえぞ。すぐ終わらしてやろうぞ」
「俺も大丈夫だ」
2人が神官さんが魔道具で張った小さめのドーム状の結界から出て、俺とナムさんがある程度の距離を置いて構えた。
「はじめて」
戦闘が始まった。
「そこまで。メイ、タリア、勝ち抜け」
ミレアムさんが俺とタリアさんの勝ち抜けを告げた。タリアさんは後から交代しに行ったB-ランクの人のパーティメンバーで、1人目のナムさん、2人目のタリアさん、3人目のルイスさんと、俺が戦った中で一番ましな動きをしていた人だ。
ナムさんは盾の上から棍棒で殴ったらそのまま吹っ飛んでいき、その勢いでナムさんが両手を離してしまい、そのまま降参した。タリアさんは魔法使いで、木の杖を構えて戦闘開始と同時に詠唱を始めたが、棍棒を足元めがけて投げつけて、よけながらも詠唱はやめなかったので一気に近づいて剣を首筋にあてたら降参した。ルイスさんは片手剣のみだったが、剣をはじいて棍棒を振りかぶった時点で止められた。
俺の勝ち抜けが決まってからは、ナムさんがルイスさんに勝った後、タリアさんが2連勝して勝ち抜けが決まった。ナムさんって変わった人より強いんだよな? あれではB-級のモンスターに勝てないと思うんだが……。
「お疲れ様でした。それではメイさんとタリアさんはこのままお待ちください。ナムさんとルイスさんは残念ですが失格となります。次の機会に頑張ってください」
「悔しいぞ」
「格がちげーよ」
2人がぼそりと呟きながら冒険者ギルドのほうに戻っていった一方で、神官さんはミレアムさんを連れてソディアさんのところに報告に行った。すでにソディアさんのところは2人しか残っていないし、早く決着がついたのだろう。
あたりを見渡してみると、すでに俺らの他に7か所が勝負を終えており、3か所があと2試合、7か所が最終戦をやっていた。
「お二人とも、まずは勝ち抜けおめでとうございます」
「「ありがとうございます」」
報告を終えたのか、二人がそれぞれ50cmほどの箱を抱えて戻ってきた。上面に穴が開いているが、そこに布がついているため中は見えないようになっている。
「次の組を決めますのでくじをお引きください」
「あなたが勝ってるし先に引いていいわよ」
「そうか。じゃあお先に失礼」
中に腕を突っ込むと、いくつかの玉が入っており、そのうちの1つを引いた。
「4番だな」
「玉は次の組で回収しますので、お持ちください。くれぐれも交換などはしないようにお願いします」
「わかりました」
続いてタリアさんが3番の玉を引き、俺たちは他の組が終わるのをじっと待っていた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv94/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv51/70
獣人 Lv17/20
狂人 Lv31/50
魔術師 Lv47/60
ローグ Lv22/70
重戦士 Lv23/70
剣闘士 Lv10/60
神官 Lv3/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
なかなか進まない…
次も会話が多いかも
ではまた次回