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僕は真の勇者だ! その8

古里君視点です

ご注意ください

 

「本日は集まっていただいてありがとうございました。私は今回のランク試験を取り仕切ることとなりました、グリムの町冒険者ギルドのギルドマスター、ソディア・フルーです。以後、お見知りおきを」


 僕たちは今、いよいよ明日に迫ったランク試験の依頼の説明のため、冒険者ギルドの訓練場に集められていた。



 ユウカさんに鍛えてもらうためにあの屋敷に行って、僕が油断して、そう、油断しただけだが、気絶してしまった後、僕はみんなの手で宿屋に連れて帰ってもらったらしい。僕が目を覚ましたころにはすでに夕方だったが、バラーガから話を聞いて僕は1人で宿を飛び出した。

 バラーガの言葉によると、僕が気絶した後、館の方から女の子が一人やってきたらしい。その女の子がなんとキャラビーだったというのだ。あのシャドウという冒険者に奪われたはずのキャラビーがどうしているのか疑問に思ったけれど、どうも刈谷鳴がシャドウと名乗っていただけらしい。

 キャラビーが待っていると知ったら僕が動かないわけにはいかない。その思いで飛び出したんだ。


 しかし、その思いは叶わなかった。

 実際に町を出て、館に再び向かってみると、ある程度まで行ったところで僕はその足を止めざるをえなかった。焦っていても僕は優秀だから気づくことができたけど、半球状に風の結界が張ってあったのだ。そのまま突っ込んでいたら上空に跳ね飛ばされるか、後方に吹き飛ばされるだろう。いくら僕でも何もせずに突っ込んだら突破はできなかっただろうね。

 そこで、結界を切り裂いて中に入ろうとすると、上空から酸の塊が降ってきたり、逃がしてしまったが、見たことのない蟻型のモンスターに囲まれて邪魔をされたりとなかなかうまくいかなかった。結局、後からやってきたバラーガたちに止められて行くことはできなかった。

 翌日以降も何度も行ったが、結界を越えることができなかった。あのモンスターめ……絶対に許さないからな!




 今この場にいるのは、僕たちのパーティのほかに、ソディアさんを含めて12名。僕は知らなかったけど、普通であればこんなに集まることはまずないだろう面子だそうだ。

 A+のティグレ、B+のアールム、S-のジェット・ビー、Aーのブルー・ビー、Aのミレアム・ドリー、B+のマキシム・ドリー、Sのルーミ・アーカイブ、B+のホーリー、S-のラムダ、A+のシャーナルフィア、A+の広兼。全員が今回の試験の試験官の依頼を受けた面子だ。たまたま会議のために4大ギルドの幹部がこの町に来ており、せっかくだからということでギルドマスターが依頼してみたところ、各ギルドが2名ずつ試験官をよこしてきたと聞いた。

 もちろん、自分のギルドのメンバーだからとか、他のギルドのメンバーを上にあげたくないからとかそういった私情は一切挟まずに行うという条件が付いているみたいだ。

 自分のギルドの顔に泥を塗るような行為を、幹部が自らするわけがないと冒険者ギルドも考えているそうだが、もしも試験の合否に私情が挟まれたと判断された場合、その人が所属するギルドメンバーで合格した人がいても、合格取り消し。そして、本人のランクを最大でB-にまで降格させる処罰を下すらしい。念のためってことみたいだけど。

 さらに言えば、僕たちが本格的に見ることになる護衛依頼の同伴では、3人一組で動くことになるので1つのギルドメンバーだけしかいないということは起こらない。僕たちもその分バラけることになるけどね。


「えーそれでは、改めて今回の依頼について確認させていただきます。まず、今回の試験では、ランクC+とB-の合同試験という、過去に例のない方式をとらせていただきます」


 ソディアさんの説明が始まった。その内容は、本当に確認という程度で、依頼を受けたときに聞いたことを繰り返しているようだった。


「ここまでは依頼の説明と同じですが質問などよろしいですか?」


 ソディアさんが次に移る前に問いかけた。さすがに誰もなんの質問もなく、ソディアさんも次に移った。


「では続いて、今回の試験を行うにあたり、第2段階に挑むことができるかどうかを判断するという点が大きな点となります」


 第2段階とは、冒険者ギルドがランクB以上というランク制限をかけている『死の草原』『悪の洞穴』『暗の森』『賤の山』の4つのダンジョンのことだ。僕達はまだその前段階である第1段階にも挑んでいないから挑むことになるのは当分先になるけど、僕はAーだし、みんなもB以上はあるから問題ないね。


「そのことに関連しまして、今回の試験では、C+の者でも、基準さえ満たしていればBまであげることになります。これについて、参加者、特に現在のランクがB-の参加者から文句が出る恐れがありますが、皆さまは何も言わないでください。全て私が担当します。あ、でも、参加者が武力行使に出ようとした場合は取り押さえてくださいね。私は昔負った怪我の影響で動けませんから」


「そういった者がいた場合は我々が押さえます。それも我々が受けた依頼の一つですので」


 そう言って名乗りを上げたのは『レーザー』の3人だ。3人全員が僕よりもランクが高く、王都専属の冒険者ということで、実力は国が認めるほどだという。いずれは僕がそれを超えてしまうんだけどね。


「お願いします。では、試験に関してですが、今回の試験受験者は、C+が57名、B-が59名、そのうち推薦状所有者が26名の合計116名となりました。正直言って、これだけの数全員を見ることはできません。ですので、ここから6組になるように潰し合わせて人数を減らします」


「6組というのは?」


「6人にしてしまうと、同一パーティから数人合格した場合が困りますので、同一パーティの人がいた場合、代表を1人選んでもらい、その人に戦ってもらうということです。少なくとも、7人パーティが3組、6人パーティが2組、3人パーティが1組全員で参加していますし、パーティメンバーのうち2人、3人が一緒に出ている場合も数組確認が取れています」


「その方式では不平等になるのでは?」


「結局、護衛依頼に関してはパーティ単位で受けることを許可していますし、ランクB-モンスターの討伐は個人で行ってもらうので結局ランクを上げられるかは己の力次第ですので平等です……みたいな感じでそれっぽい御託を並べて納得してもらいます」


「納得するのか?」


「納得いかないなら勝ち上がればいい。自分たちが勝ち上がれば何の問題もないんですから」


 ソディアさんの言ってることは若干無茶苦茶だが、その通りでもある。たしかに、自分たちが勝てば何の問題もない。そこで負けているようでは、結局モンスターに負ける可能性だってあるのだ。言い方は悪いが、敗者は黙っていろというわけだ。


「一応5組程度で1グループにして総当たりにし、勝ち星の多いところを絞り込んでいく形にしますし、1敗で終わりというわけではないようにする予定です。そして、最終的に残った6組をあなた方に見てもらいます。3人の組と、どのパーティを見るのかは冒険者ギルドで決めさせていただきますがよろしいですか?」


 その問いかけに反対する者はいなかった。特に反対する理由もないしね。


「私からは以上になりますが、何か質問はございますか?」


「質問……というか、最終確認なんだが、護衛依頼をきちんとできていたかどうかの判断はその依頼人に任せていいんだよな? 対応可能かどうかの判断は我々がするとして」


「ええ。さすがにそこまで判断しろとは言いません」


「了解だ。失礼した」


 ソディアさんが他にはいないか見渡すも手を挙げる人はいなかった。


「それでは皆様、明日より3週間と長期間になりますが、よろしくお願いします」


 ソディアさんの言葉でしめられ、僕たちは訓練場を後にした。



どうもコクトーです


ついに200話になりました!

これも皆さまの誤字脱字報告と感想のおかげです!

ほんとに誤字脱字が多くすいません…訂正は少しずつ進めてます。追いついていないだけです、すいません。


これからもよろしくお願いします。

ではまた次回

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