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攻略の報告です

後半は天上院古里視点です。

ご注意ください

 奥の部屋まで案内してくれた職員さんは先に受付に戻っていった。いつまでも受付を1ヶ所空けておくわけにはいかないし当然だろう。

 ノックをして少し待つと、「どうぞー」と中から声がした。たぶん男性の声だな。


「失礼します」


 部屋のなかに入ると、そこには20代前半くらいの若い男性が一人待っていた。長机を囲むように置かれているソファの1つに座り、ほんわかとした雰囲気でこちらを見ている。


「さ、座って座って。立ち話は疲れるだろう?」


 俺たちは男性に促されて対面のソファに座った。


「とりあえず自己紹介をしておこうかな。僕は今ギルドマスター代理をやらされ……やっている、カラスという者だよ。第2段階のダンジョンの関係や、ランク試験の関係でギルドマスターが忙しくてね。上に許可をもらって僕が一部の仕事を請け負っているんだ。攻略者の証の確認もその1つだね。めったにない仕事だからやることはないと思ってたんだけど、来ちゃったんだから仕方ないよね」


 カラスさんが手を差し出してきたので握手に応じた。ユウカの前例があったから少し警戒していたのだが、何事もなく手が離された。


「じゃあさっそく確認していこうか。ギルドカードを出してくれるかな?」


 俺たちはギルドカードを机の上に出した。


「ありがとう。それじゃあ確認しようかね」


 カラスさんが持っていた魔法袋から、転移陣のあった部屋に置いてあった魔道具を小さくした感じの魔道具を取り出した。


「これはギルドカードに記録されている転移陣のデータを読み取る魔道具なんだ。転移陣自体は使用者自身の魔力を記録しているんだけど、50層の転移陣には少し細工をしてあってね。使用した場合にギルドカードにそのデータを書き込む仕組みになっているんだ」


 カラスさんはそれに自分のギルドカードを入れた。


「僕のいるパーティはここのダンジョンにはあんまり挑んでいない。だから、この通り何も表示されないんだ。でも、50層の転移陣を利用していたらここにダンジョンの名前が表示される」


 カラスさんが自分のカードを取り出して俺のカードに入れ替えた。すると、魔道具に『生の草原』と表示された。カラスさんがそれを手元の紙に記入すると、続いてマナとヒツギのも確認していく。2人のものもきちんと『生の草原』と表示された。


「……よし、確認は終了だね。攻略おめでとう!」


 カラスさんが手を叩いて祝ってくれた。なんだか若干驚いているが、何を驚いているのだろうか。


「これで君たちは生の草原の攻略者だと正式に認められることになった。でも、残念ながらすでに『生の草原』の攻略者への賞品は渡し切っているんだ。すまないね」


「いえ、それについてはすでに聞いていたので。北のダンジョン以外は全て出てしまっているんですよね?」


「正確に言えば、東と西と南の第1段階のダンジョンはすでに賞品を渡し切っているって言うのが正しいかな。『貴の山』のは7つ渡したから13個残っているし、第2段階のダンジョンは1つも攻略されていないから20個全て残っている。今の君たちだと挑戦できるのは『貴の山』だけになるけどね」


「ランクB以上にならないとダメなんですよね?」


「うん。君たちは3人とも今度のランク試験に登録しているし、第2段階に挑む気があるのなら、まずはその試験に合格することが大事だね。わかっているとは思うけど、パーティランクがB未満の時に挑んだら罰則があるから気をつけてね」


「そういえば、どうやって第2段階のダンジョンに入ったかどうかを調べるんですか?」


 実際に転移陣を見たけれど、そこに誰かがいたわけでもないし、結界などが張ってあったわけではなかった。特に何かやっているわけではないなら1度第2段階のダンジョンをこっそりとみてくるのもありだしな。


「転移陣自体に細工しているわけではないけれど、実は魔道具が設置してあって、利用する人を監視しているんだよ」


「それって言ってもいいんですか?」


「これくらいなら別に大丈夫じゃないかなぁ。特に言っちゃダメとは言われてないし、別に教えても困ることでもないからね。魔道具が設置してあるってわかっても、それを知って何かするわけでもないだろう? それとも、君たちはこのことを知って、何かするつもりなのかな?」


 カラスさんの迫力が増す。ほんわかした感じだけど、実際にはギルドマスターの代理を任されるほどの実力があるんだな。


「別に何かするつもりはありませんよ。いずれは第2段階にも挑む予定ですが、しばらくは実力を磨くために第1段階の他のダンジョンに挑もうと思ってますし」


「それならよかった。あ、ギルドカードはもうしまって構わないよ。あとは何かあったかな……あ、そうだ。君たちはどこかのギルドに入る予定はあるのかな?」


「ギルドですか?」


「そう、ギルド。強制ってわけではないけれど、もしどこか入りたいギルドがあれば、冒険者ギルドを通して紹介することもできるんだけど」


「どこかのギルドに入ろうとかはまったく考えてないですね。現状で入る意義を感じませんから」


「そうかい? 僕自身の経験で言えばギルドに入っていてよかったと感じるんだけどね」


「今の収入に満足していますから」


「そっか。まぁ人それぞれだよね。もし入りたいと思うなら冒険者ギルドに伝えてくれれば、そこに話を通してあげるから覚えておいてね。どこのギルドもダンジョンを攻略できるほどの実力のある人ならメンバーとしてほしいからね。規定で禁止されているけど、万が一強引な勧誘などがあったら冒険者ギルドに報告してね。もしもそんなことが起きて、実力のある人が冒険者ギルドに来なくなってしまったら大変だから。冒険者ギルドからそこのギルドには処罰が下されるから」


「わかりました」


「よろしい。じゃあこれくらいで話は終わりにしようかな。何か質問はあるかな?」


「ないです」


「そっか。これからも頑張ってね!」


「ありがとうございます。ではこれで失礼します」


 俺たちは部屋から出て、冒険者ギルドを後にすると、お祝いということでケーキを食べて、夕飯の食材を購入してから館に帰った。


---------------------------------

「ここがグリムの町か!」


 仲間になったアイリから、ユウカ・コトブキというSランクの冒険者のことを聞き、鍛えてもらうためにリアの町を出て数週間。僕達はようやくグリムの町に到着した。

 リアの町で購入した馬車でここまでやってきたが、道中いろいろとあったせいで予定よりもここにつくのが遅れてしまった。ユウカさんはまだグリムの町にいてくれるだろうか?


 門のところでギルドカードを見せて、馬車を僕のアイテムボックスにしまって中に入る。馬はしまうことができないから早く厩舎のある宿をとってしまわないと。


「町の中心に近いところに貴族たちがよく利用するような宿があるが、さすがにそこまで高価な宿にしなくてもいいだろう。だが警備のことを考えたらある程度はいい宿にしないといけないな」


「バラーガはどこか知ってる宿とかはないかな? できるなら伝手が効くところの方が都合がいいだろうし」


「あいにくこの町で宿屋をやっている奴はいないんだ。鍛冶屋をやっている奴なら今この町で活動していると聞いているんだがな」


「それなら私が以前利用していた宿にしません? 宿の施設はもちろん、警備の面でもきちんとしていますわ」


「それならそこにしようか。案内してくれる?」


「もちろんですわ!」


 僕たちはヴァルミネの案内で宿に向かった。




 宿をとった後、バラーガは知り合いの鍛冶屋のもとへ、僕たちは冒険者ギルドへユウカさんのことを聞きに行った。

 残念ながら、個人の情報をあまりもらすのはよくないということで教えてもらえなかったが、今もこの町を拠点に活動しているということは教えてもらえた。まあこの町にいることがわかっただけでも十分かな。


 ユウカさんに関する話が終わると、ギルドの職員から指名依頼の話を聞かされた。

 その依頼とは、今度行われるランク試験に関する依頼だ。今度のランク試験は例外的に2つのランク試験を同時に行うとのことで、受ける人がかなり多く、試験を実施するためにはそれなりの人数が必要だから、僕たち6人も試験監督として参加してくれないかと言われた。

 依頼を受けている間はほとんど見ているだけで、試験を受ける冒険者たちだけでは対応できなくなったときに手を貸す程度でよいらしい。そして最終的にその冒険者の依頼中の行動などを伝えるまでが依頼だそうだ。僕たちはバラーガとテレパシーで連絡を取り合って、結局全員で依頼を受けることにした。


 僕たちが宿に戻ると、すでにバラーガが部屋で休んでいた。鍛冶屋の人からユウカさんが今泊まっている場所を聞くことができたらしい。

 その場所は宿ではなく、町の外にある館なんだとか。ある冒険者が購入して、その冒険者の鍛錬に付き合うことを条件にそこに居候しているらしい。その冒険者については詳しく聞けなかったらしいけど、館を購入できるくらいだから貴族の子供か、高ランクの冒険者なのだろう。高ランクの冒険者なら僕たちも一緒に鍛錬できれば、さらにレベルアップできると思う。もし貴族の子供であれば僕たちの中に知り合いがいるかもしれないし、うまくいけば僕たちも居候を許可してもらえるかもしれない。


 ユウカさんは毎朝必ず鍛錬を行うそうなので、僕たちもそれに合わせて明日の朝に向かうことにした。鍛錬にも参加できるようにしっかりと準備してから行く予定だ。


 そして次の日の朝、僕たちはユウカさんの住む館に向かった。


どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 Lv94/99

 薬剤師 Lv42/60

 聖???の勇者Lv12/??

 狙撃主 Lv51/70

 獣人  Lv17/20

 狂人  Lv31/50

 魔術師 Lv47/60

 ローグ Lv22/70

 重戦士 Lv23/70

 剣闘士 Lv10/60

 神官  Lv3/50

 魔人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70 

 大鬼人 Lv1/40 』

古里たちの話が少しだけ入りました。

近いうちにもう一回古里視点がある予定です。


ではまた次回


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