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夜の来訪者です

 ギルドから出た俺たちは、刀を受け取りにガンダさんのところに向かっていたユウカを見つけ、試験を受ける日程と、受付の時に推薦状を渡してしまおうと思ってることを伝えておいた。時間がうまいことあってくれて助かったな。

 ユウカはわかったとだけ言ってそのまま行ってしまった。館で伝えればよかったかな。




 その後は、服を買ったり、ケーキを食べたりとのんびりと過ごした。

 ケーキは四つで銀貨2枚と結構高かったが、値段相応においしかった。持ち帰りできないのが残念だな……。作り方はなんとなくわかるけど材料が集められないからなぁ……。




 その日の夜、寝る前に部屋で剣の手入れをしていると、ユウカが部屋を尋ねてきた。


「どうした? こんな時間に」


「なに、推薦状が用意できたからの。渡しておこうと思ったのじゃ」


「もうできたのか? 伝えたのって今日の昼だぞ?」


「帰りにギルドに寄って用意してきたのじゃ。ただ、どうも今回の試験では役に立ちそうにない」


 ユウカはそう言いながら扉を閉め、3枚の推薦状をひらひらと揺らしながら残念そうな顔を浮かべた。


「どういうことだ?」


「今回は推薦状を持っておる者が現時点で既にお主ら以外に12人もおる。ただ推薦状があるというだけじゃと、15人おる中の一人としか見てもらえんのじゃ」


 なんとなく、そうなる予感はあった。

 今回行われる試験は、ランクC+とランクB-の試験をまとめてやるという、普通なら考えられないことだ。

 ランクC+からB-になるための試験と、ランクB-からBになるための試験は内容が全く違う。

 ランクBになるための試験では、護衛依頼は行わない。そもそも、ランクB-になるときとは状況が違うのだ。護衛依頼をこなすことができなければランクB-にはなれない。つまり、ランクBを目指す者は皆、護衛依頼をこなせると判断される。それなのにもう一度試験でやる必要はない。

 その分というわけではないが、ランクBになるための試験では、護衛依頼の代わりに討伐依頼をこなすという試験がある。

 ダンジョンのモンスターだったり、周辺地域に住まうモンスターだったりと、対象は様々だが、その危険度、あるいはランクがB-であるという点には違いはない。ランクB-のモンスターを一人で倒すことができるという証明をすることで、ランクBだと認めると言い換えてもいいかもしれない。


 そんな風に、本来ならは内容の違う2つの試験を同時にやるとなると、ちょっと考えれば、次回の試験は当分先になるということはすぐに想像できるだろう。今回を逃せば次は大分先になる。それがわかっていれば、なんとしてでも合格しようとして、推薦状を求めるのは当たり前と言えるだろう。


「わかった。わざわざありがとな」


「気にせんでよい。わしもただでやるわけではないからの」


 ユウカの口角が上がったように見えた。俺はその様子になんとなく嫌な感じがして、ユウカとの距離を広げた。


「何を渡せばいいんだ?」


「そんな怖い顔をせんでも、何かを盗ったりはせんよ。わしはただお主らのことが聞きたくなっただけじゃ」


「俺たちのこと?」


「いや、言い換える。お主のことが聞きたくなった。わしなりに色々と調べてみても、お主のことは少ししかわからんかった」


「何が言いたい」


「その若さでそれほどの実力があり、あれほどの従魔を従えられるような存在をわしは生まれてこのかた一度しか聞いたことがない」


「探せばいくらでもいるだろうに」


 俺の言葉を無視するようにユウカは続けた。


「しかし、その一度を聞いておったからこそ、わしにはある心当たりがあった。その方法とは、『召喚の儀(・・・・)』」


「っ!」


「異世界より『力』を持った人間を召喚する特別な儀式魔法。半年ほど前にも行われた、悪魔の業」


 ユウカの蒼く光る瞳(・・・・・)がかっと開かれた。


「わしの死んだ祖母の名は寿(ことぶき)(しずか)。この、『見透かす瞳』の『力』を持った女性じゃ。刈谷鳴、元の世界へ帰る方法を知らんか? わしは一度でいいから祖母の世界を見て、感じてみたい」


「……」


「……」


 沈黙の時間が流れる。俺は目の前で起こっていることを整理するのに精一杯だった。


「……知らない。俺は、元の世界に帰る方法を知らない」


 なんとか絞り出したその言葉を聞いて、ユウカの瞳の色がゆっくりと消えていく。


「……そうか。突然すまんかったな。ほれ、推薦状じゃ」


 3枚の推薦状がすっと差し出され、俺もそれを受け取った。


「心配せんでも、わしはお主のことを外に漏らすような真似はせん」


「その言葉を信用していいのか?」


「安心してくれてよいぞ。約束は守る。他の二人に聞きに行ったりもせん。お主が知らなければあの二人はなおのこと知らんじゃろうしの。それじゃ、おやすみじゃ」


 ユウカが、一目でわかる作り笑いを浮かべて、部屋を出ようとノブに手をかけた時、気づけば俺はユウカの手を握って口を開いていた。


「俺は方法を知らないが、それを知っているやつを知っている。そのために俺は『チューチエ』を攻略する。ユウカも一緒にやらないか?」


「……かっかっか。そういうことは、第2段階に入れるようになってから言うがよい」


 ユウカは自分の部屋に戻っていった。

 俺は一人、手入れの続きを再開した。








 次の日、お互い何事もなかったかのように振る舞いながら、朝食をとって、俺たちは冒険者ギルドに向かった。

 一方でユウカは、呼び出しを受けているらしく、先に行ってしまった。




 冒険者ギルドで試験の受付を済ますと、いつものように依頼を探して、ダンジョンに向かった。

 今日受けた依頼は、『生の草原』の42層から46層にかけて出現する、フールドンキー3体の討伐だ。45層に行くときに一度だけ戦ったからどんなモンスターかわかっているし、問題なさそうだな。



 45層に転移すると、早速遠目にフールドンキーの姿が見えた。30層で戦ったワイズドンキーを一回り小さくした体つきで、色が僅かに薄いのが特徴だ。

 肉体を強化して突進するのが主な攻撃方法だが、『不動明王』を使わなくても受け止められる程度だ。


「早速一匹目発見だな。できるだけ他の戦闘は避けていくか。逃げられたり、他の冒険者に先に攻撃されると面倒だし」


「そうだね。向こうに二組いるみたいだし」


「キャラビー、ペース早めでも罠は大丈夫?」


「見つけるだけなら問題はありません。ですが、罠の種類によっては解除に時間がかかると思います」


「そのときは避けて通ろう。いつもみたいに回収したりしない予定だからわざと発動させなくていいよ」


「なら大丈夫です」


「じゃあ決まりだな。行くぞ!」


 俺たちはワイズドンキーに向かってゆっくり走り出した。




 結局他の冒険者に先を越されてしまったり、なかなか見つけられなかったこともあり、2日かけて依頼はこなした。まぁ期限内だし大丈夫だよな。


 そんな風に、依頼をこなしながら3日が経ち、ついに50層へ挑戦する日がきた。


どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 Lv90/99

 薬剤師 Lv42/60

 聖???の勇者Lv12/??

 狙撃主 Lv45/70

 獣人  Lv16/20

 狂人  Lv25/50

 魔術師 Lv40/60

 ローグ Lv21/70

 重戦士 Lv21/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50

 魔人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70 

 大鬼人 Lv1/40 』

風邪をひいて1日遅れました。

寒暖の差が激しいので皆さんも気を付けましょう。


次はボス戦になると思います。

ではまた次回

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