ランク会議です
「お帰りメイ。ご飯はもうできてるよ」
俺たちが帰ってくると、ユウカを含めた3人が料理をテーブルに並べて準備をしていた。もう少しで終わりそうで、手伝えるところはなさそうだ。
「ありがと。素材は全部で銀貨12枚銅貨40枚だった。ツインホーンウルフの角だけ傷ついてて少し値段が下がってたよ」
「りょーかい」
「ギルドでちょっと相談したいことがあったから、飯の後に話し合いしたいんだけど大丈夫か?」
「む、それはわしは聞かぬ方がよいかの? そうであればしばし外で体を動かすのにゼルセを貸してくれるとうれしいのじゃが」
「いや、別に大丈夫だ。今朝あったっていう通達に関することだからな」
「む、冒険者ギルドで何か通達があったのかの?」
「ユウカも見てなかったのか。依頼掲示板のところにでかでかと貼ってあったぞ」
「今日は部屋でしておったからのう……。わしも聞かせてもらおうかの」
「冷める前にご飯食べちゃおうよ。せっかく私たちが腕によりをかけて作ったんだから」
マナが催促するように椅子に座って声をかけてきた。買い食いした俺が言えることじゃないけど、お腹がすいているんだろう。
「そうだな、先に食べようか。おいしそうだ」
「後から私を食べ――」
「ヒツギ、それ以上言ったら明日以降ヒツギさんと呼んで敬語にする」
「いただきまーす」
脅しが効いたのかヒツギは静かになった。この方法はあと何回使えるかな。
何気ないおしゃべりを楽しみながらおいしい料理をいただいた。
夕飯が終わり、俺とキャラビーで後片付けをして飲み物を用意すると、全員で机を囲んで話し合いが始まった。
「えっと、さっき俺とキャラビーがギルドで見てきたことなんだが、今朝、冒険者ギルドから冒険者に対して通達があったんだ。で、その内容が今の俺たちからするとちょっと問題でな」
「どんな内容なんじゃ?」
「『昨日、新たに誕生した第2段階と呼ばれる4つのダンジョン『死の草原』『悪の洞穴』『暗の森』『賤の山』に関して、パーティランクB以上の制限をかけることとする』というものでした。ご主人様が職員に尋ねたら教えてくれたんです」
「ランク制限じゃと? ……そうか、『レーザー』を呼んでいた理由はこれじゃったか……。ぬかったのう」
ランク制限のことを聞いて、ユウカが何かぶつぶつとつぶやき始めたが、何となく聞こえる範囲で考えれば、今朝考えていたことが今つながったのだと思う。『レーザー』というのが誰のことなのかはわからないが、このランク制限に関係のある人なのだろう。
「で、相談ってランクをどうするかってこと?」
「ああ。今の俺たちのランクはC+だから、このままだと50層を攻略しても第2段階のダンジョンに挑戦できない」
「ならランクを上げればよいのではないかの? お主らの実力であればランク試験なんぞあっさりとクリアできると思うが」
「ランクを上げるって言っても、試験を受けたら次はB-だろ? その後で今度はBになるための試験を受けなくちゃいけないし、そもそも俺たちは依頼を全然受けてこなかったから、ランクを上げられるかもわからないし」
この町に来てからはそれなりの数を受けたが、その数で試験を受けられるかがわからないのだ。もし、『特定の種類の依頼を規定回数』とか、そんな感じの条件があったとしたら相当厳しい。ダンジョン内のモンスターから素材を剥ぎ取ってくる依頼とダンジョン内にあるアイテムを回収してくる依頼しか受けてないし。
「それに試験も問題だよね。B-になるためには護衛依頼をやらないといけないんでしょ?」
「そうじゃな。試験官が数人依頼に同行する形になるの。基本的には見てるだけで、受験者だけでは対処しきれないような状態になった時のみ手助けをすることになっておる。わしも以前、一度だけ指名依頼でやったことがある」
「はっきり言うと、俺たち護衛依頼は苦手……というか嫌いなんだよ」
「む、そうなのかの? 従魔による先行もできるし、魔法で空中の魔物への対応も可能。夜間の警備もキャラビーなら夜目が利くじゃろうし問題なかろうて」
「戦闘とか索敵とかは問題ないんだ。それよりも他のところに問題があってな」
「他のところというと?」
「以前成り行きで一度だけ馬車の護衛をしたことがあったんだが、夜警に従魔を呼んだら怖いから帰してくれって言われるし、普段してるようにハウステントを使うわけにもいかない。それに、依頼主が干し肉とか保存食を食べているのに、俺たちだけアイテムボックスの中の食料を食べるわけにもいかないから、依頼主にも分けることになって余計に食料を消費したりといろいろとな」
一般的には、夜警で従魔を呼ぶことは何も問題はない。モンスターには夜目が利くものも多いし、索敵範囲も人間より広いものも多い。俺の従魔を考えてみても、ゼルセは夜目が利くし、アンナは索敵能力が高い。しかし、それらを呼び出すことができないというのはもどかしい。
「貴族連中だとちょっとしたことで気を悪くするような輩もおるからの。そのあたりは我慢しろとしか言えん。下手に目をつけられて、指名依頼を悪用する輩がいないとは言わんし、どうしようもないかのう……。それを避ける方法として、わしが考えられることは3つかのう」
「どんな方法?」
「1つは大きなギルドの傘下に入ること。もう1つはどこかの町の専属冒険者になること。もう1つはランクを上げることじゃ。貴族連中が手を出せないレベルまでランクをあげればよい。まあどれも簡単ではないがの」
「傘下とか専属は却下。でも、そうなるとやっぱりランクを上げるしかないのか……」
「ランクを上げて、指名依頼も全部断るとしても2回護衛依頼を受けないといけないんだよね」
「いや、ランクにも飛び級の制度くらいはあるからの。試験で際だった実力があると示せば1度でC+からBまで上がることもある」
ランクC+まではギルドマスター権限で上げられるとは聞いていたけどそれ以上のランクでも飛び級はあるのか。ただ、あまり目立ちすぎるとそれはそれでいらないトラブルを起こしそうだよな……。
「お主らの実力はわしが十分認めておるし、試験を受けるならわしが推薦状を書いても良いぞ?」
「推薦状?」
「ランクSまで至るといろいろと便利なのじゃ。飛び級にも多少は影響してくれると思う」
「うーん、受けてもいいんじゃない? 何かあったらその時はその時として、ランクさえ上げちゃえばダンジョン攻略に影響はなくなるんでしょう?」
「わたしも受けてもいいと思うな。試験って言うくらいだから護衛依頼もそんなに期間が長いものではないだろうし、それくらいなら我慢できるから」
マナもヒツギも受けてもいいって考えのようだし、それならいいかな。呼び出せないというなら、ヒメ達には館に残ってもらうという手もある。その時にはブラウニーたちにお世話を頼もう。
「キャラビーは問題ないか?」
「私なら大丈夫です! 護衛依頼も問題ありません」
「そっか。じゃあ受けるとするか。ユウカ、悪いけどその推薦状ってのを頼めるか? 受けるのは50層を攻略してからになると思うから急がなくてもいいけど」
「心得た。お主らが試験を受けられるとわかったら教えるのじゃ。その次の日には用意できる。試験当日に言われるのはさすがに厳しいからの?」
「わかってる。明日は休みの予定だし、確認してくるよ」
こうして次の方針が決まった。
まずは『生の草原』の攻略。それからランク試験だ。
そして俺たちはそれぞれの部屋に戻っていった。今日は朱雀はでてこない……よな?
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv90/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv45/70
獣人 Lv16/20
狂人 Lv25/50
魔術師 Lv40/60
ローグ Lv21/70
重戦士 Lv21/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
今回はほぼ会話でした。
次回もそうなるかもしれません
ではまた次回