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朝の来訪者です2

 ユウカさんを先頭にして館から200mほど離れて、マナたちを少し手前でとどまらせると、ユウカさんはアイテムボックスから刀を1本取りだして、こちらを向いた。


「わしが使うのはこの刀じゃ。いい刀じゃが妖刀の類ではないから安心するのじゃ」


『ヤマト上刀:ヤマトの地にのみ存在する鉱石で作られた切れ味のよい刀』


 『上級鑑定』で調べてみると、たしかに妖刀ではないな。というか普通の刀だ。


「お主も武器を出すのじゃ。どんなものでもかまわんぞ?」


「どんなものでもって……」


「魔剣でもよいし、魔槍でも、杖でもなんでもよい」


「じゃあこいつで」


 俺は右手にステュラを構え、左手に鋼の剣を構えた。この鋼の剣はたまたま見かけた武器屋で買ったものだ。

 箱の中のものはどれでも1本銀貨1枚という値段で売られていて、良さそうなので購入した次第だ。普段使っているような使い捨てではないのできちんと手入れもしている。切れ味はそれなりにいいはずだ


「二刀流か。じゃあさっそくかかってくるのじゃ」


「は?」


「だから、どこからでもかまわん。かかってくるのじゃ」


「かかってこいって……模擬戦か?」


「そんなところじゃな。どこからでも、どんな方法でもいいから、かかってくるのじゃ。遠慮はいらん。魔法でも全然かまわんぞ? ただ、わしも思いっきりやるからの」


 ユウカさんは常に笑顔だ。しかし、俺はその笑顔になぜか恐怖を感じた。


「……行くぞ」


 地面を強く蹴り、鋼の剣でまっすぐ彼女を突きに行った。


「っ!」


 彼女の刀の間合いに入った瞬間、俺は『小規模ワープ』で後ろに跳んだ。


「むぅ……なんじゃ、こんのか」


 彼女は残念そうな顔で両手を腰に当てている。一見すると完全に隙だらけのように見える。しかし、今のだけで相当やばいということは理解できた。

 俺は攻撃に使った鋼の剣をちらっと確認した。剣はその半ばから折られていた。というか、完全に切られていた。その断面は非常に滑らかで、もしあのまま突っ込んでいたら俺の腕がこうなっていたのだろう。まぁ切られてもすぐにくっつけて『再生』で治せばいいのだが、その間攻める手が減るのはつらい。


 彼女の使っているのは間違いなくただの刀だ。鋼をあっさりと両断する辺りやはりSランクというのは伊達じゃないだろう。

 いくらギルドランクがギルドへの貢献度も多く関わるとはいえ、Sランクはなろうと思ってなれるものではないということは理解している。

 実力もそれ相応だってことは知ってるはずだった。しかし、どうも甘く見ていたかもしれんな。気持ちを切り替えないと。


「かかってこんと鍛錬としては意味がないのじゃがのう」


「さっき突っ込んだら腕が真っ二つだっただろうが」


「どうかのう?」


 彼女は俺の言葉に対してすごいにやにやしながら答えた。その笑顔がなんだか腹が立つ。

 よし、魔法を使いまくろう。使ってもいいって言ってたし問題ないよね。


「『ファイア』30連」


 俺の周囲に30個の火の玉が浮かぶ。これくらいなら全部操れる。

 すべての火の玉が違う軌道を描きながら彼女に向けて飛んでいく。俺もそれに隠れるようにして走り出した。


 真っ先に接近した火の玉が細切れになり消えた。そして次々と火の玉が消えていく。なんで刀1本で同時に来た3つの火の玉が同時に消えるんだよ。火の玉の消えていく様子を見ながら、勢いを落とさず切られた鋼の剣を足元めがけて投げつける。

 『小規模ワープ』で彼女の後ろに回り、『一刀両断』で上から剣を振り下ろした。しかし、それは彼女の刀に押さえられてしまった。鋼の剣も、ジャンプすることでよけられた。腕をうまくまげて俺の剣を押さえたまま跳んでいる。それでもステュラを押さえる力が変わらないのはすごいな。

 しかし、そのかわりというわけではないが、火の玉が1発足をかすめることに成功した。顔がわずかに歪むのが見える。追撃をかけるべく、ステュラを中心にしたまま『空蹴り』で半回転して彼女に向けて剣を突き出した。

 顔をひねってかわされたので、そのまま剣を振って首を狙ったが、その前に腕を刀で狙われたために『小規模ワープ』で距離をとった。そのついでに地面に刺さっている鋼の剣を回収しておいた。


「いやー、今のは少し焦ったのう」


 そう言う彼女だが、すでに『ファイア』でついたはずのけがは消えていた。ヒールとかは使ってないだろうから自己回復系のスキルがあるのだろう。


「その調子じゃ。どんどんくるがよい!」


 鋼の剣を投げつけ、彼女に向けて走る。

 対して彼女はジャンプしてよけたりせず、鋼の剣の腹を蹴り、向かってくる俺に向かって刀を構える。俺は地面を強く蹴って下からステュラを跳ね上げる。刀で受けられたが、すぐに引いて次の攻撃を叩き込む。それも受けられるが、どんどん攻撃のペースを上げていく。両手で思い切り打ちこんでいるが、片手の刀に完全にしのがれている。自己強化系のスキルは使っていないとはいえ、筋力にはかなり自信がある。彼女の技術がそれだけ優れている証拠だ。

 力をうまく流したり、衝撃を分散させる、俺にはない技術だ。『受流し』のスキルはあるが、全然使えない。スキルを使っても全然うまくできないんだよな。それを考えるとベルセルのすごさがよくわかる。


 打ち合いの途中でも、『ファイア』や『アクア』や『エアロ』を彼女に放つが、手刀でかき消されてしまう。『ファイア』を消すときは失敗することもあるのか、若干の火傷を負うときもある。しかし、それもすぐに消えてしまう。

 ちょっとした隙ができると逆に切りかかってくることもあるが、なんとかしのげている。攻め込むきっかけがない……。


 そしてその後もしばらく攻防が続き、ついにその時が来た。

 いくらうまく衝撃を逃がしたりしていても、オリハルコン以上の硬度でなければ一切かけたりしない硬度をもつ魔剣を受けきるには彼女の使っている刀はもろかったのだ。

 俺の次の打ちこみで刀が折れた。彼女の顔にもどことなく焦りが見える。ここで決める!


 『一刀両断』で彼女に切りかかる。折れた刀では受けきれないだろう。

 しかし、そう思ったのもつかの間、彼女は受けるのではなく、ステュラを握る手を狙ってきた。スキルの『一刀両断』を使っているので止められない。

 結局、途中で止められてバックステップで距離をとられたため、彼女の髪先を少し切るだけで終わってしまった。


「やるのう。刀がだめになってしもうた」


 彼女は刀をポイッと放り捨てた。俺の勝ちかな?

 俺はステュラは持ったままだが、構えを解いてすっと姿勢を正した。しかしそれは間違いだった。


「がっ!?」


 彼女の拳が俺の腹に突き刺さった。後ろに吹っ飛ぶが、なんとかステュラは離さずにいられた。飛ばされる際になんとか地面が蹴れたのでダメージは大きくないが、攻撃を受けたという事実はかわらない。

 空中で体勢を立て直して、地面を滑るようにして勢いを殺す。着地と同時に『ダークランス』を彼女に放つ。50本の黒い槍が彼女を襲うが、全て手刀と蹴りで流されている。そして最後の1本が流された。


「おしまいじゃ。わしの負けじゃな」


「は?」


「わしの負けじゃ。あれ以上やっても最後にはわしが押し切られるじゃろう」


「……」


 勝ったはずなのになんだか納得がいかない。


「それで、どうじゃ? わしは合格かの?」


 戦いが始まって完全に忘れていたが、これはユウカさんが館に住む条件としてだした、鍛錬相手にふさわしいかどうかを決めるためにやったものだ。いや、これはもう決まってるだろ。


「問題なく合格だよ。よろしく頼む」


「頼まれたのじゃ」


 ステュラをしまって握手を求めた。彼女も普通に握手に応じてくれた。

 そして、次の瞬間、俺の視界が反転した。


「へ?」


 わけのわからないまま、気づけば地面に寝ていた。


「きれいに投げられたのう。いたずら成功じゃ」


「……」





 この後第2ラウンドが始まったのはもはや言う必要はないだろう。

 そうしてその日の予定は完全に狂ったが、非常にためになる1日だった。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 Lv90/99

 薬剤師 Lv42/60

 聖???の勇者Lv12/??

 狙撃主 Lv45/70

 獣人  Lv16/20

 狂人  Lv25/50

 魔術師 Lv40/60

 ローグ Lv21/70

 重戦士 Lv21/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50

 魔人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70 

大鬼人 Lv1/40 』

前回の続きですね


次は少し早くなるか遅れるかもです。

ではまた次回

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