帰宅です
家に帰り、夕飯の時にテレポドラゴンを仕留めてまた『テレポート』のレベルが上がった時のことを話すと、キャラビーがこう言ってきた。
「その方法は昔試したパーティがいるそうですよ?」
「そうなのか? まあ転移系の魔法かスキルがあればできそうだからな」
「いえ、そうではなくて、2パーティが一緒になってやったそうなのですが、1つのパーティが最初に見かけたところで待機し、もう一つのパーティがダンジョン内を探して回り、転移させたそうです」
「へぇ。で、そのパーティも狩ることができたの?」
「数ヶ月かけて20回以上やって一度だけ狩れたそうです」
「確率5%以下かよ」
「ギルドでその資料を見たんですが、テレポドラゴンは少ない個体でも3ヶ所は転移ができるそうです。ただ、そんな個体は滅多にいないそうですが、ご主人様が狩った個体はおそらくそういう個体だったのでしょう」
「そっか。じゃあ運がよかったんだな……。そういえばみんなは今日どうしてたんだ?」
俺が何気なくそう聞くと、3人の雰囲気ががらりと変わった気がした。あれ?
「……朝起きてさ、朝ごはんの用意をしながらメイが起きてくるのを待ってたんだ」
あ、これあかんやつだ。
「準備も終わってさ、それでもメイが降りてこないから、キャラビーに起こしてもらいに行ったんだ」
「はい。今日は休みの日の予定だったので、ガンダさんの鍛冶屋に向かうはずでしたし、起こしに行きました。でも、ご主人様は部屋の中にはいませんでした」
たぶんすでにダンジョンに向かってる時だろうな。なんか、すごい申し訳ない。
「慌てて家の外に出て、庭で作業をしていたアンナを見かけてメイの居場所を問い詰めるとダンジョンに向かったって話じゃない? 私たちを置いて、休みの日に、一人で」
言葉のナイフがグサグサ刺さってくる。
「しかも、書置きとかも伝言を頼んだわけでもなく、私たちがどれだけ心配したと思ってるの?」
「申し訳ございません」
深々と頭を下げる。物理的に押さえつけられているわけではないが、頭が上がらない。いや、上げられない。
「本当に反省してるの?」
「反省しています」
「本当に?」
「本当に」
「もう勝手に一人でダンジョンには行かない?」
「勝手には行きません」
「今日はお風呂一緒に入る?」
「入りま、せん」
ちゃっかりと自分の願望を混ぜてきやがった。入りますって言いかけたじゃねえか。
「……本当に?」
「本当に」
「反省してるのに?」
「反省してても入りません」
「じゃあ一緒に寝るので妥協してあげるよ」
「それ妥協じゃないと思うぞ」
「決定事項だから。今日はみんなメイの部屋で寝るよー」
「「よし!」」
「いや、よしじゃないから」
「この話はおしまいにしよっか」
「話を聞――」
「そうだね。私たちは今日はギルドに行って残りの階層の情報と、他のダンジョンの情報を調べてたんだよ」
このまま終わらせるわけにはいかないとは感じているが、ダンジョンに関する情報は聞き流すことは絶対にできないので涙を呑んで話を聞くことにした。今日の夜はハウステントの家で寝るしかないな。
「50層までだから残りは20層分だよな? また森と草原だってことくらいしか覚えてないが、これまで出てきたモンスターの上位種が出てくるんだっけか?」
「うん。変異種もいるけど、主にホーンウルフ系のモンスターが増えるみたいだよ」
「これまでも出てきたモンスターに、ダークホーンウルフやレッドホーンウルフみたいな魔法を使ってくるウルフ系モンスター、レッドベアの変異上位種の、ダークベア、ブルーベアなんかもいるらしいね」
「新しく出てくる種類としては木に擬態しているツリーウォーカーとツリーワーカー。ワイズドンキーと同等種であるノーマルドンキー、フールドンキー。49層まで行くと上位種のエルダードンキーなどもいるそうです」
「残りの20層で一気に増えるんだな」
「魔法を使うモンスターがかなり増えるんだよ。属性別に種族が分かれたりしてるから数も多いんだと思うよ。『生の草原』には火魔法、闇魔法、水魔法、時空魔法を使えるモンスターが出てくるみたい」
「他のダンジョンだとまた別の属性ってことか」
「そうだね。『善の洞穴』だと土魔法、闇魔法、風魔法、火魔法。『明の森』だと風魔法、水魔法、光魔法、氷魔法。『貴の山』だと土魔法、光魔法、氷魔法、時空魔法って感じでそれぞれ分かれてるみたい」
「『貴の山』にもテレポドラゴンがいるのか?」
「いや、スペースフロッグっていう、どんなに大きなものだろうと丸のみにできるカエルのモンスターがいるんだって」
「なんじゃそりゃ」
「ギルドの資料だと、生物と魔法以外ならなんでも飲み込んじゃうんだって。もし飲み込まれても倒せばあたりに飲み込んだものをばらまくそうだからおそらくアイテムボックスだろうって書いてあった。今も研究中らしいよ」
「アイテムボックスか……俺はこれ以上大きくなってもな……」
「メイのはバグみたいな大きさだからね。それ以上大きくなっても意味ないじゃん」
「そうだな。特に狙いに行く必要はないかな?」
「キャラビーには魔法袋があるし、私たちにはアイテムボックスもあるもんね」
「そういえば魔法袋は容量大丈夫なのか? いろいろといれてもらっているだろう?」
「はい、大丈夫です。いろいろと言っても、受けた依頼の達成に必要な品だけですし、依頼さえ達成してしまえばすぐに空きもできますので大丈夫です!」
「そうか」
元気よく告げてくるキャラビーの頭を軽く撫でた。目を細めて気持ちよさそうだ。
そんな時、ヒツギが思い出したように言った。
「一応目的にしてた洞窟エリアに来たけど、この後はどうするの?」
「どうするって……具体的には?」
「攻略して他のダンジョンに挑むかどうかってこと」
ヒツギの言葉でどこか空気が引き締まった感じがした。
そもそも、このグリムの町に来てテレポドラゴンの情報を得たのはたまたまだった。この情報を得たことで今日行ってきた30層のテレポドラゴンとフライガエルを目標としていたが、すでに『テレポート』のスキルは得たし、フライガエルから『空蹴り』のスキルも得ている。スキルレベルを上げることを次の目標にするということも考えてはいるが、いつまでもここに行くわけではない。
俺がここでスキルを得るためにダンジョンに行っている間、俺の稼ぎはほぼ0だ。一応鱗とかを回収してはいるが、倒せる数が少ないので回収できる量もすくない。爪や牙は俺の投擲武器にするためにも使うし、肉はヒメたちのご飯になるので売れない。そうなると売れる量もほとんどないのだ。
一方で、マナたちは俺という戦力が減ることで狩る量も多少は少なくなる。戦力が減っていることで、前衛となるヒツギの負担も増えるし、俺もスキルのことがなければできるだけ一緒にダンジョンに潜るべきだと思ってる。
しかし、俺が合流すると、自分で言うのもなんだが、前衛が安定するのでモンスターを倒すのがだいぶ楽になる。そうなると、もっと上の層に行った方が絶対に稼げるし、その方がいいというのもわかる。多くのダンジョンで先の方まで進めていれば、なにかあったときに戦いやすいほうへということもできる。ヒメたちも新しい肉を食べたいのかな?
「私としては全部攻略してみたい気持ちはあるよ」
「私も攻略されていないところもいずれは行ってみたいっていうのはあるかな。アントホームを攻略したときにゲットしたハウステントみたいにいいものをもらえるかもしれないし」
「私はご主人様の判断に従います」
2人は攻略賛成、キャラビーはある意味中立か。俺が反対すれば2対2になるって感じだな。
「……じゃあとりあえず今潜っている『生の草原』は攻略しよう。ペースもこれまで通り、1週間で5層進んで転移陣を使えるようにしていって、50層のボスはまたその時に話し合うってことで」
考えた結果、俺もとりあえず賛成ということにしておいた。テレポドラゴンを直接狩ってスキルレベルを上げるのは一旦やめにして、『空蹴り』のように使いまくってレベルが上がることを祈ろう。
そうして話が終わった俺たちは部屋に戻っていった。
寝るときになってやってきた3人にハウステントを回収されてしまって一緒に寝ることになったが何もなかった。今日よりも4時間くらい早く外で鍛錬を始めた気がするけど気のせいだな。あたりが暗い気もするけどまあそういう時期なんだろう。
こうして俺の朝の鍛錬は続いたのだった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv90/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv45/70
獣人 Lv16/20
狂人 Lv25/50
魔術師 Lv40/60
ローグ Lv21/70
重戦士 Lv21/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
ちょっと遅れてしまいました。
前の方の話を確認してまして……
ではまた次回