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アールムの報告書

今回はアールムの報告書です。

メイの視点ではありません。

メイ及びそのパーティーメンバーに関する報告書


筆 アールム、ランクB+

協力者 メランドール、ランクC-

    ナミア、ランクC+

    他、部下複数名。



1、対象に関して

 今回の報告書の対象となるのは、冒険者パーティ『マツノキ』のメンバー

 リーダー、メイ、ランクC+

 マナ、ランクC+

 ヒツギ、ランクC+

 キャラビー、ランクD-(奴隷)

 以上の4名。しかし、キャラビーに関する情報は入手困難と判断したため、一部のみの報告となります。



2、調査方法

 今回、彼らについて調査を行うにあたり、私の『ダークゲート』による尾行。メランドールとナミアの協力による、従魔を使った監視。部下を複数の町に派遣し、そこでの聞き取りの3種を利用。聞き取りに関しては、書類による提出をさせていますので、それはまた別途提出します。



3、調査報告

 ここからは実際に行った調査の報告をします。

 まず、私の『ダークゲート』による尾行の結果です。

 調査対象メイは、闇魔法に精通しており、『ダークゲート』に対抗できる魔法を使用してきました。まず、影の中にいる対象に攻撃を加えられる、『ハンドオブシャドウ』。それから、影に入れないように障壁を張る、『ゲートオブシャドウ』。また、これらを常に使用しており、この方法での尾行は困難であると判断しました。

 また、気配察知系統の能力もあるようで、私が一定の距離まで近づくとすぐに気づかれてしまい、一定の距離をとったままの尾行は続けましたが、なかなか思うようにいかず、尾行は町中のみとしました。


 続いて、従魔を使った監視の報告です。

 上述の結果から、人力での尾行は厳しいと判断したため、ギルドのメンバーである、メランドールとナミアに協力をあおぎました。

 今回の調査のため、2人と私、そして部下3名での臨時パーティで南の『善の洞穴』の20階層にて、レーダーバット10匹、マッドバット3匹、西の『明の森』の15階層にてレーダーオウル5匹、バールグラーオウル2匹の合計20体を従魔として使役し、彼らの住む、門の外にある館を監視させることにしました。


 対象が全員ダンジョンに向かっている日を狙い、館から1km離れた森の中の4地点から従魔をバラバラに放って、監視を開始。

 しかし、200mほど進んだとき、先頭のマッドバットが突然突風にみまわれ、地面に激突。そのまま死亡しました。それとほぼ同時に、レーダーバット6匹とマッドバット2匹が同じように死亡。残った従魔は一旦下がらせようとしました。しかし、それは叶わず、突如飛来した酸性の液体に当たり、全滅しました。尚、液体が酸性であったことは死体の様子から判断しました。


 その後、いくら警戒してもこちらまでは飛んでこないと見て、使い捨てとも言える盾を構えながら館に近づき、『解析』を用いて確認したところ、プラチナタイガーと解析不能のモンスターが2体いました。1体はおそらくクイーンアントの上位変異種、もう1体はガルーダ系の変異種の幼体と思われます。メランドールによれば、その2体はおそらくランクエラー。

 また、少しではありますが、結界について学んでいた部下の言葉だと、酸は前者が、突風は後者のモンスターの張った結界である可能性が高いとのことです。しかし、館を中心として、半径800mの結界を常に張り続けていると考えると、魔力の量が測りきれず、恐ろしい限りです。そのことに目がいき、隠れてしまいがちですが、800m先の動いている獲物の狙撃も十分に脅威であると考えられます。


 最後に、部下からの報告のまとめです。

 コロイド、イリアス、アライエ、キーンの4つの町で情報を得ることができましたが、それまでの情報はパーティメンバーであるマナのものしか得られませんでした。また、キャラビーに関してはキーンの町のオークションで購入されたため、その前の情報を確保しようとしましたが、キャラビーは元勇者パーティのメンバーという情報が入り、情報を得るのは厳しいと判断したため、その時点で打ち切らせました。


 部下からの報告によると、メイ、ヒツギの2名はコロイドの町でギルドに登録し、その日のうちに600体近いキャタピラーの群れを殲滅。そしてその翌日に現れたオークの大群を相手にマナとメイで2か所の門を担当し、ともに残さず殲滅。オークの殲滅は騎士団長の権限で秘匿とされていたそうですが、最近騎士団に入った、とある貴族の3男に伝手のある部下がおり、その者に金を握らせたらペラペラと話してくれたそうです。名前は伏せさせていただきます。別紙の報告書でも名前は伏せてあります。

 続いて、イリアスの町で『アントホーム』に挑み、確定情報ではありませんが、そこでキングアントを討伐、そして、当時最下層と思われていた15層を突破し、18層を攻略してダンジョンコアを回収したのは彼らではないかという噂もあるそうです。現に、彼らが来てからキングアント系の素材が複数出回っていたことが確認できました。

 同時にこの町にて3人ともギルドマスター権限でランクがC+になっています。ギルドマスターがあげられる最高ランクまで上がっており、実力はそれ以上であるでしょう。


 アライエの町ではメイがシャドウという名前で大会に出場。準決勝で前回大会優勝者のベルセル・ファング、決勝で今代勇者、天上院古里を下して優勝しています。

 同時に、従魔の部にヒメというホワイトタイガーの亜種を出場させ、そちらでも優勝しています。その際にオーガエンペラー、ゴールデンオーガコングロードの2種のランクエラーの従魔をホワイトタイガー亜種が召喚しており、準決勝では対戦相手のプラチナタイガーを屈させて自身の従魔としました。


 キーンの町ではオークションでキャラビーを購入という情報しか得られませんでした。しかし、キャラビーを購入してからそれほど時間が経っていないことを考えると、あれほど慕われているのは若干の疑問が生じたと報告がありました。


 他には、噂として報告が上がってきたものがいくつかあります。

 武器や防具の呪いを解く手段を持っている。

 まだ未確認の従魔を従えている。

 鬼族である。

 常識がない。

 盗賊を組織ごと壊滅させた。

 武器を使うより拳のほうが強い。

 無詠唱で50以上の魔法を同時に発動する。

 どこかの貴族の隠し子である。

 魔物を生きたまま喰らう。

 女子メンバーはメイが脅して従わせている。

 マナは勇者の恋人だが、メイが攫って洗脳している。


 など、事実かどうかの確認はこれからまた部下を通じて調べさせる予定ではありますが、現在、未確認の従魔以外は噂の域をでるものはありません。



4、結論

 最後に、今回の調査を通じて、私の結論を述べさせていただきます。


 正直、私はもう彼らに手を出すべきではないと思います。


 メイ個人でも、巨人族の戦士を殴り飛ばすほどのパワーを持ち、現在は過去5度の優勝という功績を称えられてクライン・アライエ様に仕える、過去にはランクAクラスの冒険者をも倒しているベルセル・ファングを下す実力があり、その従魔は名前のわからない者を含め、最低でもランクエラーが4体。この情報だけでもすでに脅威であると言えます。

 また、ヒツギは情報が極端に少なく、彼女の情報はどこか意図的に出されている感じもしました。調べようとしたことは一部はわかりましたが、それ以外が全く不明です。3人に共通することですが、出身も、親も、家族構成も一切が不明。メイとヒツギはコロイドの町以前の情報は完全に0で、まるでコロイドの町の近くにふっと湧いて出たかのようなありさまで、私は気味が悪いと感じました。

 もし戦うとなっても、私の戦闘スタイルではメイ相手には通じず、集団戦となったとしても、あの館が舞台となると、弓矢や魔法を遠距離から飛ばしてもおそらく風の結界で防がれてしまい意味がなく、森の中を進まないといけないために罠を仕掛けられることも考えないといけません。そういった意味でも、手を出すべきではないと考えます。


 以上で報告を終わります。

 細かい報告の内容は別紙に全てまとめてありますので、そちらをご確認ください。




どうもコクトーです


今回はステータスはなしです。

次回はまたメイ視点に戻ります。


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒険者ギルド、商業ギルド、農業、鍛冶、錬金以外のギルドがあるならクランみたいなものかね
2019/11/13 16:06 退会済み
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