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生の草原です6

 ワイズドンキーだが、視線を向けた先ではすでにゼルセが肉をむさぼっていた。

 ゼルセとワイズドンキーの戦いだが、実は一撃で勝負が終わっていた。

 そもそも、俺はワイズドンキーを押さえておいてくれとしか言っていなかったのだが、ゼルセは、地面を蹴って威嚇しているワイズドンキーに向かって、右手に構えた大剣を叩き込んだ。

 その一撃でワイズドンキーは大ダメージを負ったが、まだ死んだわけではなく、かろうじて生きていた。ボスモンスターは、死んでしまえばドロップアイテムになって消えてしまうが、生きているならば消えることはない。

 ゼルセは、自分が倒した巨大な獲物を自分が食べてはいけない理由はないという考えにいたり、まだ戦っていた俺たちをよそにワイズドンキーの肉を食べていたのだ。よく見るとその足元でカルアも肉をつついている。あれ? 俺お前召喚してないんだけど。


 取り巻きたちが消えていくのを見て、3人と合流して、ヒメにアイテムボックスから出したホーンウルフの肉をあげて、雑談をしながら少し待つと、ワイズドンキーの死体も消え始めた。ゼルセはたくさん食べて満足したのか、自分で帰っていった。一方で、カルアはドロップアイテムをくわえてこちらにやってきた。


「くわぁー」


 カルアは、「見てみてー」とでも言うようにこちらに短い羽をパタパタさせて飛んできた。

 俺はそんなカルアをそっと両手で捕まえた。


「くすぐり開始」


「くわ!?」


 俺はそのままカルアをくすぐり始めた。

 危ないことをするなと言い聞かせるつもりで5分くらいくすぐっておいた。





「くわぁ……くわ、ぁ……」


 笑いつかれたカルアを帰還させて、キャラビーが持っておいてくれたドロップアイテムを『鑑定』してみる。


『魔石(大):魔力のこもった大きな石』


 そういえば魔石を拾ったのは初めてだな。

 そもそも魔石は、自然に発生する鉱石としての魔石と、モンスターの体内に極稀に生成される魔石の2種類がある。すべてのモンスターに魔石があるわけではなく、100体のモンスターがいて、その中に1匹いるかいないかとかそれくらいのレベルでしかないが、魔石を持っているモンスターは死ぬときに死体が消えるため、倒してみれば判断できるとマナが言っていた。

 ただ、ボスの場合は持っていようが持っていなかろうが死体が消えてしまうため、判断は何がドロップしたのかということでしかわからないらしい。


 魔石の使い道は、主に2つに限られる。

 1つは魔道具の燃料にすること。魔道具の多くは、直接魔力を流すことでも使用することができるが、世の中には魔力が極端に少ない人もいる。そういった人は、この魔石を燃料として使うのだ。基本的に魔力が尽きたらただの石と変わらないが、1cmほどの小さな魔石でも、家にあった、ごみを焼却する魔道具が30回は使えるほど魔力が込められており、需要はかなり高いのでそれなりの値段で売れるらしい。


 もう1つの使い道は、魔剣の強化だ。

 魔石にこめられた魔力、質、それから、魔剣そのものの強度や質や能力、耐久力などの様々な要素がうまくかみ合った時のみ、特殊な技法を用いることで魔剣を強化できるそうだ。

 現在、その条件を満たしているかどうか調べる手段は確立されておらず、運が良ければ強化できるが、運が悪ければ魔石だけが消えるという、ハイリスクハイリターンな行為だとか。別にそんなリスクを負って強化を試さなくても、魔石をいくつか売って、それで稼いだお金でより強力な魔剣や聖剣をオークションなどで手に入れる方が安定しているため、貴族の道楽と言われることもあるらしい。


「どうする? これ」


「どうするって言われても、私たちだと使う場所なんてあるの?」


「全員魔力は十分にあるから魔道具に使うってのはなしだし、俺の魔剣は強化する必要ないしな」


「じゃあ売る?」


「ボスが落とすくらいの魔石ですから、結構高額になると思います」


「ボスが魔石を落とすのは珍しいんだったか?」


「そもそも普通のモンスターでも魔石を落とすのは珍しいことです。ボスならもっと珍しいですね」


「そっか……」


 結局、話し合った結果、売るという方向で決まった。持っててもアイテムボックスの隅に入ったままになっちゃうしな。もらった卵みたいに。


 その後、のんびりと歩いて階層をぬけた俺たちは、25層の先にある転移陣を有効化してすぐに帰ることにした。そしてその足で、冒険者ギルドに向かった。





 冒険者ギルドは、そこそこ人がいた。時間的には夕方には少し早く、依頼の達成報告のために受付でアイテムを渡す人が数組と、早くも酒場で騒いでいる人が十数人いるくらいだ。

 そのため、特に並ぶことなく受付に行けた。


「いらっしゃい。今日はどんな用事かな?」


 このギルドでは珍しく、受付が男性だった。服に隠れてはいるが、隙間から傷が見えており、おそらく元冒険者なのだろう。怪我をして引退したってところかな?


「ダンジョンで魔石を手に入れたのでそれを売却したいんですが、買い取りカウンターでいいか確認をしたくて」


「そうですか、運がいいですね。魔石はなかなか落ちませんし。ええ、買い取りカウンターで問題ありませんよ。ただ、よいものになるとお支払いできるのが後日になってしまうこととありますのでご了承ください」


「わかりました。じゃあ行ってみます」


 俺たちは買い取りカウンターに向かった。




 買い取りカウンターには三組のパーティーが並んでおり、少し待つことになった。それでも10分も待たずに済んだのは幸運だろう。


「こんにちは。こちらは買い取りカウンターですが間違いありませんか? 依頼の報告でしたらあちらの受付になりますが」


 買い取りカウンターの女性から確認を受ける。たぶんだけど、よく依頼の達成をこちらに報告に来る人がいるんだろうな。


「はい。運よく魔石が手に入ったので売却しようかなと思いまして」


「おめでとうございます。こちらに買い取る物をお出しください」


「わかりました。キャラビー」


「はい、です!」


 キャラビーが魔法の袋から魔石を取り出す。気配が変わった人が数人いるな。帰りは少し注意しておこう。


「これは……大きいですね。計測用の道具を持ってきますので少しお待ちください」


 女性は一旦奥に戻り、すぐに戻ってきた。手に持っているのはメジャーかな?


「では測りますので確認をお願いします」


 メジャーのようなもので魔石を一周回すと、魔石の情報が浮かび上がる。


『円周:14cm

 サイズ:大

 魔力量:多量

 質:普通』


「なかなかよいものですね。こちらなら……この規格になりますので、銀貨97枚になります」


 カウンターの下から取り出した紙には、普通の質の買い取り金額対応表が書いてあり、サイズと魔力量でそれぞれ金額が決められていた。

 表は左上から、円周1cmの、魔力量少量、普通、多量という風になっている。一番安い、1cmの魔力量が少量の物で銀貨5枚。そこから右下に行くにつれて金額が上がっていき、円周15cmで魔力量が多量ならば金貨1枚となっている。後1cmで銀貨3枚分上がったのか……惜しいな。

 ちなみに、一番下は30cm以上と括られており、そこから先になると、相談案件と書いてあった。隣に注釈として、過去の最大サイズが書いてあるが、円周80cmの物が一度だけ持ってこられたらしい。そこまでいくともう隕石か何かじゃないの?


「念のため枚数の確認をお願いします」


 女性の言葉に従うようにマナが1枚1枚数を数えていく。間違いなく97枚あるようだ。


「メイ、『アイテムボックス』で持っといて」


「わかった」


 マナがわざとアイテムボックスの名前を出して俺に銀貨を差し出す。今ので何人かあきらめてたらいいな。


 その後、後は売る物も特になかったので俺たちは家に帰ることにした。






「じゃ、俺はちょっと寄る所があるから」


「え? ご主人様?」


「わかった。じゃあ私たちは先に家に戻ってるね」


「あんまり遅くならないでよ?」


「わかってるって。じゃあまたあとで」


 帰り道、俺は1人で人混みの少ない通りに向かっていった。キャラビーはいまいち理解できていないようだったが、マナとヒツギは察してくれたようだ。

 俺は周囲に気を配りながら、歩くペースを速めた。



どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 Lv88/99

 薬剤師 Lv42/60

 聖???の勇者Lv12/??

 狙撃主 Lv45/70

 獣人  Lv16/20

 狂人  Lv21/50

 魔術師 Lv37/60

 ローグ Lv21/70

 重戦士 Lv21/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50

 魔人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40

 舞闘家 Lv1/70 

 大鬼人 Lv1/40 』

テストも終わったので更新です

最近は改稿作業も順次進めていますが、追いつく気がしない…


ではまた次回

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔石が稀少って事は魔道具関連はあまりな異世界なんですね。 運用コストかかりすぎて普及しないでしょうし、発展もし辛い。
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