生の草原です5
レッドベアからあのスキルを手にいれてから10日が経った。
あれからもう一度話し合い、6日で5層というペースで30層までむかうということになり、今日は25層のボスに挑む予定だ。
25層のボスは、ギルドの資料によると、ワイズドンキーという大きなロバのモンスターらしい。とりまきとしてホーンウルフとその上位種のツインホーンウルフ、ベアツールとその上位種のベアマシン、レッドベア。そして22層から新しく出てくるようになる、ドグリューという人間サイズの卵に、ドリルの手足と頭がついた変なモンスターが一体ずつでてくるが、どれも能力が高く、普通に出てきた時より手強いと書いてあった。
資料には、ワイズドンキーが常時強化魔法をかけているのではないかと考察もあったが、ボスを先に倒しても、いつまでも弱体化することがなかったことで違うとされており、純粋にレベルが普通より高いのだと結論がでていた。
15層の時でさえ、1層と比べてかなり少なくなったと感じていた冒険者の数は、21層になるとさらに減ることになる。
レッドベアに苦戦しているということもあるが、ここの突破にはボスを倒す必要があり、相当な準備がいるはずなのだ。5層分先に進み、それからボスを倒すとなると、通常は3日ほどで層を進み、半日ほど休んで体力を回復し、万全の状態にしてからボスに挑むくらいだ。
しかし、俺たちは特にそんなことをするわけでもなく、朝からダンジョンに入り、昼過ぎには25層に到着していた。
「1時間くらい休んでから挑むか。ここの層にはボスエリア以外はモンスターはでないんだよな?」
「はい。向こうに色が変わった草が並んで生えているのがわかりますか?」
「ああ。あの内側がボスエリアなんだな」
「入るとすぐにモンスターが出てきます」
キャラビーに説明してもらったが、この25層は基本的には安全とされている。
24層につながる階段のそばに帰還のみできる転移陣があり、あとは草原のみ。モンスターは、冒険者がボスエリアと呼んでいるエリアに行かない限りは出現しない。取り巻きたちの中に、極稀に出現する、変異種がいたりすると襲ってくることはあるらしいが、基本的にはない。だからこそ25層で休憩ができるのだ。
見ている感じ、今ボスに挑むパーティーはいない。むしろこの階層には俺たちと、俺たちより後に来たパーティーが2組しかいない。彼らもかなり疲労しているのが見てとれるし、先に俺たちが挑むことになるだろう。挑む前には声をかけておかないと。
「そろそろ挑めるか? それとももう少し休むか?」
俺はこの1時間の間に召喚して撫でたりして遊んでいたヒメを頭の上に置いて三人に尋ねた。
「私は大丈夫だよ。装備の点検も済んでるし」
「私も大丈夫かな。まぁメイが添い寝で一緒に休んでくれるならまだまだ休みたいけど」
「しねぇよ」
「残念」
「私も大丈夫です! 足を引っ張らないようにがんばります!」
「基本は俺とヒツギが前衛で取り巻きを押さえる。マナは一体ずつ確実に削ってくれ。キャラビーは今回は下位種を中心に狙ってくれ。ヒメのフォローをする形で頼む」
「わかりました。頑張ろうねヒメちゃん」
「かう!」
前足を上げて答えるヒメ。今気づいたけど少し重くなったか? 成長したのかもしれんが、違ってたら肉の量を減らした方がいいかな……。
「で、肝心のボスだが、取り巻きの殲滅が終わるまではゼルセに担当してもらう。大きさもいい感じだろうし、たぶんしっかりやってくれる」
そう表向きは言いながらも、俺は心の中で、「俺以外のやつとも戦いたいだろうから」と、呟いていた。ゼルセに限ったことではないが、俺の従魔たちは普段暴れ……もとい体を動かす機会がない。
定期的に俺と対戦をしてはいるが、俺以外と戦うことはほぼないし、今のところ8割くらい俺が勝っているからストレスも溜まるだろう。どこかで発散させてやらないといけない。
ボスエリアに行く前に、休憩しているパーティーに、変異種が出てしまったら気を付けてくれと伝えてから、俺たちは、ヒメとゼルセを含めた全員にパワー、スピード、ガードエンチャントをかけて、武器をしっかりと構えるとボスエリアに踏みいった。
ボスエリアに踏みいったとたん、俺たちの視線の先にワイズドンキーとその取り巻きが現れた。
俺は攻撃に入る前に、変異種がいないか調べるために『鑑定』を使った。
しかし、心配は杞憂に終わり、通常種しかいなかった。ちょっと残念だと思ったのは内緒だ。
「俺は右から、ヒツギは左からだ! ヒメとキャラビーも左でマナは両方のフォローを!」
「了解! 先に防御を固めるから少し待ってね。『物理結界』」
マナが自身の周りに結界を張っていき、防御を固めている最中、俺たちはそれぞれ戦闘に入っていた。
俺のほうにいるのはホーンウルフ、ツインホーンウルフ、ドグリューの3体だ。向こうには熊3体がいることになるが、俺は真っ先にドグリューに狙いをつけた。
「『ダークナックル・纏』」
あえて何も持たなかった左手に、2周りほど大きな黒い拳がまとわりつく。
これは『やわらか熱毛』を参考にして最近始めた実験の1つだ。
『やわらか熱毛』は、毛をふわふわにする効果を持つと同時に、物理防御、魔法防御をともに上昇させる。さらに、その毛は熱を帯び、近接戦闘の際にカウンターのような働きをしてくれるスキルだった。
この表面に熱を帯びる原理は火魔法を毛に纏わせているものだという風に考えた時、俺はこれを他のスキルに応用できないかと考えたのだ。
そして、まず真っ先に考え付いたのがこの『ダークナックル・纏』だった。自分の握り拳に『ダークナックル』の魔力の拳をまとわせることで、普通に使うときのように飛ばすことができないのでリーチは減るけれど、ただでさえ筋力が上がりまくっているために威力の高くなっていた攻撃力をさらに上げることができるのだ。
普通に魔力を手に集めてやるよりも効率も良かったし、威力も上だったが、慣れるまでは暴発が怖かった……。
『小規模ワープ』で地面に潜ろうとしていたドグリューの目の前にとび、左手で思い切り殴りつける。その一撃で体の卵が割れ、戦闘不能になった。
ドグリューをへたに後回しにすると地面の下から襲われるからな。潜らせないのに限る。
「『一閃』、『ダークランス』」
殴った後の隙をつこうとしていたのか、左右から同時に噛みつこうとしてきたウルフコンビを両方一撃で下す。胴ががら空きだ。
地面にウルフコンビが落ちるのを確認すると同時に視線を左にずらす。左側もマナの魔法で最後の熊を仕留めたところだった。レッドベアとベアツールが棺桶で潰されている光景なんか知らない。
そして肝心のワイズドンキーだが、視線を向けた先ではすでにゼルセが肉をむさぼっていた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv88/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv45/70
獣人 Lv16/20
狂人 Lv21/50
魔術師 Lv37/60
ローグ Lv21/70
重戦士 Lv21/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
投稿作業中に日付が変わるというね……
少しだけ日が飛びました。
次回はボス戦の続きですね
ではまた次回