表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/592

深夜の呼び出しです

 夜中、ぐっすりと眠っているときにヒメにたたき起こされた俺は、ヒメに連れられて屋敷から少し離れた森の中にいた。


「このあたりでいいのか?」


「かう!」


 距離的には森の中を700mくらい進んだところだろうか。今いる場所の周辺は家の周りと比べて木が離れて生えており、割と周囲がよく見える感じになっていた。


「で、俺を起こした理由はコルクを呼び出せるようになったからということでいいのか?」


「かう」


 ヒメはコクリとうなずいた。ようやくか。


「俺が呼び出したほうがいいか?」


 ヒメは、というかヒメを含めた俺の従魔たちは、皆俺の意思とは無関係に出てくることができる。ヒメに召喚されることもあれば、自分で出てくることもある。主にでてくるのはヒメとガルーダロードだけどな。前回呼び出したときから、ガルーダロードはみぃちゃんを召喚するとだいたい背中に引っ付いてくるようになった。なんなんだこいつ……。


「かうかう」


 俺の問いかけに、ヒメは頭を横に振って否定した。なら待つしかないな。


「かぁああああああああうう!」


 俺、ゼルセ、ヒメ、みぃちゃん、アンナ、ガルーダロードがそれぞれ六角形の頂点になるように召喚される。どうも意図的にこの配置にしているようで、みんなその場から動かずにじっとしている。


『主殿、ヒメ様によりますと、コルクの強化は成功したとのことです』


「そうか。それはこうやって全員が出てきていることと関係があるんだよな?」


『はい。いざというときは我々全員で取り押さえます。ヒメ様は召喚にかなりの魔力を消費してしまいますので、こうして我々が出てきた次第です』


「暴れるかもしれないということか」


『はい。姿を現したらまず『上級鑑定』してくださいませ。自然と使()()()()()()()がわかると思いますので』


「それはいったいどういう――」


「がぁあああああう!!」


 その時、ヒメがあの白虎を彷彿とさせるような叫び声をあげた。体の芯からビリビリとしびれる感覚だ。そしてその叫びに合わせるように中心に三重の魔法陣が浮かび上がる。これまでの召喚とは何かが違うようだ。


 魔法陣からコルクが姿を現した。

 体長は2.5mくらいで、コング種の特徴とも言える全身を覆う毛は生えていないが、肘から先と膝から先には残っており、色はかつてのような銀色になっていた。また、腕や足はより太くなっており、ゴールデンオーガコングロードの時のような角は生えていないが、牙はより鋭くなっていて、頭には金色の短い髪が生えている。

 そして、これまでと一番の違いはその背中だ。

 髑髏の模様のついた、向こうが軽く透けて見えるような羽が生えているのだ。見た目的には、その体を飛ばすには頼りなく、弱々しく見える。


 俺はアンナに言われた通りに『上級鑑定』を発動した。


『バアルコング(王猿種):

 備考:暴食の王の力を備える』


 備考の表示でいったい何を発動させようとしているのかがすぐにわかった。そしてヒメがいったい()を使って強化を施したのかも。


「……力を見せよ」


「ああ。お前の望みはこれだろ? 『暴食の王』『ベルゼブブ』」


 俺はその2つのスキルを発動させた。












 その後、特に戦闘もなく、コルクは俺に従ってくれた。スキルを発動すること自体が条件だったようだ。


「改めてよろしく頼むぞコルク」


「了解した」


 コルクはそれだけ告げて戻っていった。それを見たみぃちゃんとゼルセも後を追うように帰っていった。

 しかし、ヒメとガルーダロード、それから、ガルーダロードにしがみつかれているアンナは残っていた。アンナはガルーダロードに無理やり残されてる感じだな。


『主殿、ガルーダロードからお話があると……』


「くわぁ!」


 アンナがガルーダロードをはがそうと引っ張りながら話した。ガルーダロードは意地でも離れないとばかりに腕だけでなく全身でアンナの腕にしがみついている。通訳がいなくなると思っているのかな?


「どうした? 飯ならまだやらんぞ。ヒメだって今日1日は肉を我慢するんだからお前も我慢しなさい」


「かうぅ!?」


 聞いてないよ! とでも言いたげにこちらを見て、頭の上に駆け上がると少し強めにポンポンと頭を叩いてくる。そりゃ聞いてないだろ。言ってないもの。


「深夜にたたき起こした罰だ。俺が起きるまで待ってくれれば終わり次第肉を食べられたものを……」


「かぁあう、かうかぁあう!」


 頭を叩くスピードを上げてもあげないからな! 何が起こるかわからなかったから変に緊張したり、いろいろとしたせいですっかり眠気が取れてしまったから、この後もう一度すぐに眠れるとは思えない。しかし、現在の時刻はおそらく1時とか2時とかそのあたり。いろいろと確認をしていて遅くなってしまい、0時くらいに寝たから全然寝足りないのだ。明日集中力が持つかな? あ、俺休みって言ってたっけ。まあ朝飯の後に予定は決めるだろう。


『主殿、そろそろ本題に入ってもよろしいですか?』


「あ、すまんな。ガルーダロードは何て言ってるんだ?」


「くわぁあ」


『自分も名前がほしいそうです。他の者は名前をもらっているのに自分だけないのは不公平だと』


「くわぁ!」


 ガルーダロードはコクコクとうなずきながら鳴いた。


「名前は前から考えてはいたんだがお前に伝える機会がなくてな。ちょうどいいか。お前の名前はカルアだ」


「くぅわ?」


「カルアな。そろそろお前らも一旦戻れ。俺も寝たい」


『それでは失礼します』


 アンナがしがみついているカルアごと帰っていった。蟻だから表情はないのだが、その顔はなんとなく「ようやく戻れる」と言いたげな感じがした。

 2体が戻っていったことで残るは頭をいまだにポンポンと叩き続けるヒメだけだ。


「ヒメ、お前も戻れ。明日になったらお肉は食べさせてやるから。ハニーベアでもハニーウルフでもホーンウルフでも何でもいいぞ。その時に好きなものを選べ」


「かう!」


 ヒメは慌てて頭から跳び下りて戻っていった。わかりやすいな。


「……眠れるかな……」


 俺は不自然なほどに周囲100mほど()()()()()()()森から家に向かって歩き始めた。




どうもコクトーです


今回は以前に要望のあった従魔の一覧です。

全員の名前と種族名が出そろいましたしちょうどいいかと思いました。


『ヒメ

 種族名:白虎

 ゼルセ

 種族名:オーガエンペラー

 コルク

 種族名:バアルコング

 アンナ

 種族名:アンセスタークイーンアント

 みぃちゃん

 種族名:プラチナタイガー

 カルア

 種族名:がるーだろーど 』


カルアの種族名は誤字にあらず。本文で出てるのはこの名前ですしね。


ではまた次回

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ