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『クロウ』の話です

最後だけ視点が違います。ご注意ください

 2人に引きずられて俺は人があまりいなかった壁際まで来た。


「メイ、さっき『赤の団』って何? って聞こうとしたでしょ」


「思い出せなくて……」


「コロイドの町で聞いた名前だよ。あの3人組が所属してるって言ってたギルド」


「有名なのか?」


「……メイ、大手のギルドの名前くらいは知っておこうね……」


「私も知らなーい」


「ヒツギもだったの?」


「『赤の団』は名前だけ知ってたけどそれだけだね。それもちょっと印象的だったから覚えてただけだし」


「キャラビー、今日のダンジョン探索は中止して二人に常識を少し叩き込むわよ」


「ご主人様……」


 キャラビーがものすごい憐れむような視線でこちらを見てくる。そんな目で見ないでくれ。


「別に知ってなくてもよくないか? コロイドの町と聞いて思い出したけどあの『クロウ』とかいうパーティが、「俺たちは『赤の団』所属だぞー」とか言ってただけだろ? 別に誰がどこに所属してようが関係ないと思うんだが」


「大手ギルドは名前だけでもかなり影響力があるのよ。ヘレンさんが愚痴をこぼしてたじゃない。あの元領主が媚を売ってたって。貴族ですら媚を売るほど影響力があるのよ」


「そう言われてもな。あの3人組のいるとこだぞ? そんなに強いとは思えないんだが」


「ほう、そこまで言われてはこちらも口を出させてもらいたいな」


 周りには俺たちしかいないはずなのにすぐ近くから違う声が聞こえた。声の出どころは……下か?


「コロイドの町で連絡の途絶えた3人組パーティ『クロウ』のことを知っているようだ。話を聞かせてもらいたいものだな」


 俺の影が濃くなったかと思うと、そこからつま先から頭の先まで、目元以外を真っ黒な衣服に身を包んだ細身の男が浮かんできた。190cmくらいありそうだ。


「誰だ?」


「私の名はアールム。『赤の団』に所属している」


 また『赤の団』か。この町には『赤の団』の関係者が多いのか?

 アールムが現れた途端に人だかりが若干騒がしくなった。少し意識して聞いていると、このアールムが結構な使い手らしいという言葉が聞こえる。断片的だが、ランクB+で『影の使い手』という異名があるということはわかった。

 彼が使っているのは闇魔法の『ダークゲート』というやつのようだ。闇魔法のスキルがマックスになっているためか闇魔法に関する知識だけはやたらとあるようになってしまった。今の魔法も使えるようになったし、それに対抗する手段もできた。俺のって『喰らう瞳』じゃなかったっけ? 喰らわなくてもいいとか進化しすぎだろ。


「今しがた『クロウ』という冒険者パーティの話をしていたようだが、彼らについて何か知っているのか?」


「やたらとコロイドの町で絡まれたんだよ」


「ほう。それはすまなかったな。私たちのギルドの者が失礼をしたようだ。それでは、質問を変えさせてほしい。彼らの連絡が途絶えたことと関係があるのかな?」


 少しだけアールムの圧力が増した。


「彼らは仮にも同じギルドのメンバーだ。『赤の団』は連絡だけは徹底させていて、彼らもこれまで定時連絡を怠ったことはなかった」


 そこはまじめだったのか。信じられない。


「しかし、ここ2か月ほど彼らからの定時連絡が途絶えているのだ。時期としては例の魔物の大氾濫の後だから彼らもその戦いで命を落としたのかとも考えた。しかし、町に確認に行かせても彼らの行方を知る者はどこにもいない。騎士団の方々に尋ねてみても、彼らのパーティは戦闘にも参加していなかったそうだ」


 そりゃあ俺たちとヘレンさんたちで倒し切ったから他の冒険者は戦いには参加していないだろうよ。でも、俺のところには誰もやってきてはいなかった。マナに視線を向けてみても、マナも首を振った。マナのところにも来ていないようだ。


「彼らなら死んだよ」


「……ほう、何か知っているようだね、お嬢さん」


「ええ。だって死ぬ瞬間を見てたもの。その後でいろいろとごたごたしてたし、聞かれなかったから報告はしてなかったけど」


「貴様が殺したのか?」


 死ぬ瞬間を見たというヒツギに、アールムが鋭い視線を向ける。その手は腰にある小さなナイフに添えられており、いつでも抜けると言わんばかりだ。抜いた瞬間にぶん殴るけど。


「違うわよ。この場で語ってもいいけどかなりの失態の話よ?」


「ほう。彼らがどんな失態をしたと?」


「大氾濫を裏で操ってた魔族と通じてていろいろな情報を流していて、最終的にその魔族の剣で真っ二つ。あなたたちのギルドの情報も流れてるんじゃないかしら?」


「……それを信じろと?」


「私は聞かれた通り答えただけよ。たまたま私がいた門のすぐそばでの出来事だったし、その魔族がペラペラとしゃべっていたから間違いないと思う」


「……一応礼を言っておく。彼らの最期を伝えてくれてありがとう。しかし、少し調べなければいけないことができた。これで失礼する。『己が身は、光届かぬ、闇の中』ダークゲート」


 アールムは俺の影の中に消えていこうとする。


「後をつけられるのも嫌だし影からは出てってくれよ。『ハンドオブシャドウ』」


 影から腕が生えて、沈みかけていたアールムの首根っこをつかむとポイッと影から放り出した。アールムは何が起こったのかわかっていないようだ。

 そもそも、『ダークゲート』は対象の影に潜み、隣接する影を移動することができるという魔法だ。周りにある、どの影とも隣接していない俺の影に入ろうとしている時点で怪しすぎる。一方で、俺がその対抗手段として使った『ハンドオブシャドウ』も影を使った魔法だが、これは影の中にいる者に対してしか効果を発揮しない。念のために無詠唱で4人の影に『ゲートオブシャドウ』という魔法を使っておき、他の影と隣接しても入ってこられないようにするのも忘れずにやっておいた。ベルゼブブとの戦闘の時と違って対抗策がわかるって素晴らしいな。


「話もすんだみたいだし2人はこれから勉強会だよ。家に戻ろう」


「別にマナとキャラビーがわかってるんだし問題な」


「問題だからするの! あんまりグダグダ言うようなら押し倒すからね」


「勉強タノシミダナー」


 茫然とするアールムとやり取りを見てぽかんとしている周りの連中を置いて、俺たちは家に帰っていった。







-------------------------------


「……ほう、面白い冗談だな」


 グリムの町にある建物の中でも領主の館を除いてトップクラスの大きさをほこる建物の大きな1室で、アールムが椅子に座るその獣人の男に報告をしていた。


「あいつらが死んだのは理解できる。だが、その後が問題だ。コロイドの町でその件について調査させろ。あと、その4人のことも調べ上げるんだ」


「了解です。引き込みますか?」


「お前の魔法に対抗できるやつらだろ? できればほしいものだ。他のところが手を出す前に手早くな。まあ()の場合だけだが」


()なら?」


「うちの連中に手を出したんだ。落とし前はつけさせるさ」


 男が獰猛な笑みを浮かべる。その様子はどこか野性味を感じさせた。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 鬼人  LvMAX(20)

 武闘家 LvMAX(60)

 冒険者 Lv88/99

 薬剤師 Lv42/60

 聖???の勇者Lv12/??

 狙撃主 Lv45/70

 獣人  Lv16/20

 狂人  Lv21/50

 魔術師 Lv37/60

 ローグ Lv21/70

 重戦士 Lv21/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50

 魔人  Lv1/20

 精霊使いLv1/40 

 舞闘家 Lv1/70

 大鬼人 Lv1/40 』


普通に日付を間違えてました。

何度間違えればいいのか……

次回は説明回(?)になりそう……


ではまた次回

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