家を買います
入り口に戻ってくると、みぃちゃんにもたれかかるようにしてボレアさんがぐったりしていた。結界は維持してあったみたいだけどそれでも結構きつかったのかな?
「あ、メイ戻ってきたね。途中できつくなったからちょっと焦ったけど、大丈夫だった?」
「ああ。ちょっと意外なことはあったけど、大丈夫だ。結構風呂も大きかったし、部屋もしっかりしてた。ここ買おうと思うんだがいいか?」
「借りるんじゃなくて買うの?」
「詳しくは後で話すけど、ちょっとあってな。それより、ボレアさんは大丈夫なのか?」
「わ、私なら、大丈夫……です。い、いかがでした? もういいですよね?」
「買い取ります。金貨数枚でいいんでしたよね?」
「え? 買うんですか? 呪われてるんですよ?」
「手続きは商業ギルドでやればいいですよね?」
「実は呪われてるとかないですよね? 私逃げなくて大丈夫ですよね?」
「大丈夫ですって。呪いもどうにかなりましたし」
「え? 解けたんですか? ほんとですか? あ、そういえばさっきより楽になってる気が……」
「ええ。解いたんで使うのには問題なさそうですしここ買いますよ」
「えっと、呪いの原因はなんだったんですか?」
「教える必要がありますか?」
「え?」
「へ?」
「教えてくれるんじゃないんですか?」
「なんで教えないといけないんですか?」
さすがにドン・ガルーダのことは言えない。もしその死体がこの呪いの原因だっただなんて言ったら、その死体はどうしたんだとか言われかねない。それを言われたら困るし、下手にアイテムボックスにしまったとか言ってごまかしても、『この家はまだ商業ギルドの物だから家の中の物は商業ギルドにのものだから渡すように』とかはもっと困る。ごまかす気ではあるが教えなくていいならそっちのほうがいい。
「できれば教えてほしいのですが……。今後同じようなことが起こらないとも限りませんし」
まずありえないと思うけどな。
「教えていただけたら購入の際に多少はお安くできるかと」
「金貨数枚からさらに安くなるんですか?」
「今後同じようなことが起こらなくなるかもしれないですからね。多少はできると思います。」
「具体的にはどれくらいになりますかね? 実際お金に余裕があるわけではないのでできるだけ安いほうがいいんですけど……」
「そうですね……本来この大きさの建物になりますと、購入金額は金貨700枚程度が最低金額になるんですが、呪いの影響と、町の外にあるということも考慮に入れて、金貨9枚まで下がっております。呪いを解決、そしてその方法もとなりますと、金貨6枚まで下げられると思います。というか、私がなんとかします」
「わかりました。じゃあその値段で買います。呪いなんですが、『威圧』というスキルを知ってますか?」
「聞いたことはあります。獣型のモンスターが使う『威嚇』と似て非なるスキルですね」
「そのスキルを常に放ち続けるっていう魔道具が置いてありました。どうも魔法かなにかで扉が開くまでは発動しないようになっていたみたいです。距離が縮まるにつれて圧力は強くなっているようで、さすがに近くはきつかったですね。それを破壊したら圧力もなくなったのでそれがもとになっていたのは間違いじゃないと思います」
「そうでしたか。それにしても、魔道具ですか……。呪いがあると言われていた年月から考えて発動していない間に自動で少しずつ魔力を回復するタイプの物のようですね。しかし、そのような効果のある魔道具ならばどこかの国に管理されていてもおかしくないはずなのですが。あ、失礼しました。それではギルドのほうに戻りましょうか。商談も改めてそちらでしましょう」
俺たちは再び馬車に乗り込んで町に向かうことになった。その際、ちらりと館のほうを見た。これからここが俺らの家になるんだなと少し感慨深くなったのだ。
「え?」
「どうかしたのメイ?」
「い、いや、何でもない。ほら、早くいこうぜ」
そう言いながら慌てて入り口のカーテンみたいなやつをおろして館が見えないようにした。
馬車は町に向かってガタゴトと進み始めた。
そんな様子を、館の入り口の門の前で、半透明な少女が手を振りながら眺めていた。それを知るのはメイ一人だった。
若干の不安を残しながら商業ギルドに戻ると、ボレアさんは俺たちを2階の個室に通して、報告に行ってくると言い残して出ていった。
残された俺たちが何気ない話をしながら待っていると、書類を抱えたボレアさんと杖をつく老人が入ってきた。
「お待たせしました。紹介しますね、こちらが家の売買を担当しているロロさんです」
「うむ。私がロロです。腰が悪くてね、このような格好で失礼するよ」
「回復魔法をかけましょうか?」
「いいや、大丈夫ですよ。お客様のお手を煩わせるわけにはいきませんよ。腰痛に効く薬を使ってますんでね、あとは自然と治るのを待ちますよ。年を取って待つのが苦にならなくなったんですよ」
「そうですか。さしでがましいことをしました」
「いえいえ。それでは商談を始めましょうか。本日は例の館を買い取りたいとか」
「ええ。そちらのボレアさんから買い取るなら金貨6枚まで下げられると聞いたので」
「そうなのかボレア」
「ええ。以前からあの館は様々な要因から相場が金貨9枚ほどにまで暴落といっても間違いないほど下がっていました。たしかに、『呪い』という条件さえ外れてしまえばかなり相場に近づきはするでしょうが、呪われていた館で、なおかつ城壁の外にあるという点を考えますとそこまでは上がらないと考えました」
「続けて」
「おそらくこれまでは『呪い』のおかげで周囲のモンスターが中に入って暴れたりといったことはなかったんだと思います。しかし、呪いがなくなったことで周囲のモンスターが館の中に入ることが可能になりました。そのため、我々も普段は傭兵を雇うなり、常注で冒険者に依頼を出すなりしなければなりませんし、これまで以上に維持費もかかると思います。今後、冒険者がこの町で家を借りるということになりましても、あの館は門の外ですのでいちいち中に入るたびに身分証明が必要になりますし、ダンジョンに行っている間も家を守るための人員も必要になるのでわざわざあの館を借りようとする方は少ないと思います」
「だから?」
「ならばここで安めでも彼らに売っておけばそういった費用を節約できます。ですのでここで売っておくのがよいと思いました」
「それでも金貨6枚は減らしすぎではないか? 金貨9枚ならまだしも、そこからさらに3枚も減らして利益になるのかな? そもそも呪いがなくなったならばあそこを貸しだすのにも、日ごとの金額は大きく上げられる。大きさだけでいえば1日でこれまでの一ヶ月分でもいいほどに。それでも減らしてまで彼らに売るというのかね?」
「ええ。実は私、彼らから呪いの原因と、その呪いがどんなものだったのか、そしてそれを解いた方法を聞き出しました。その情報料も考慮に入れまして、金貨6枚まで減らすと約束しました。商業ギルドの職員ではなく、商人として売買に関する約束を違えることはできません。もしこの約束を違えるのならば私は商業ギルドに受け取った情報は全て黙秘します」
「ほう」
「私がこの情報を彼らから聞いたのは今後同様のことが起こった時にそれを即座に解決するためです。この情報がなければあの館のように放置するだけになり、邪魔な物件になります。それは困りませんか?」
「別にお前から無理にでも聞き出せばいいのだがな。まあいい。他にもあるだろ?」
「ええ。私の商人としての勘ですが、彼らは今後商業ギルドに多くの益をもたらしてくれると思います。冒険者ギルド経由になるでしょうが、それでも十分なほどに」
「はっはっは。そこまで言うか。まあいい。金貨6枚、売った! 一括で払うことはできますかな?」
「はい。今だします」
ロロさんの視線がこちらに向いたのでアイテムボックスから金貨を6枚取り出した。それを見てロロさんは1つうなずいてボレアさんから受け取った書類にサインを書き始めた。
「これでよい。ここにサインを頼めますかな? それで商談成立になります」
俺は念のために書類の内容を確認してからサインをした。
その書類を確認してもらい、ボレアさんから注意点などが書かれた紙と鍵をもらった。
こうして俺たちは家を手に入れた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
鬼人 LvMAX(20)
武闘家 LvMAX(60)
冒険者 Lv88/99
薬剤師 Lv42/60
聖???の勇者Lv12/??
狙撃主 Lv45/70
獣人 Lv16/20
狂人 Lv21/50
魔術師 Lv37/60
ローグ Lv21/70
重戦士 Lv21/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40
舞闘家 Lv1/70
大鬼人 Lv1/40 』
完全に風邪をひきました
その影響で1日遅れてしまいました。すいません
ではまた次回