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とある魔王のお話

「……あー、わかってるよ。暴食とのリンクが切れた。やっぱイレギュラーでもなんでもないようなのを選んだのは失敗だったかなー」


 とある地にあるとある城の、玉座の間で魔王は配下の女性からの報告を聞いていた。


「警告は行ったのですが聞き入れてもらえず……申し訳ありません」


「カミラが悪いわけじゃないよ。『大罪召喚』を使うならそれなりのリスクがあるってことはしっかりと伝えてあったはずだし、直前に止めようとしたのに使ったなら完全にガルアの失態だよね。僕の人選ミスもあるけど」


「魔王様は悪くありません!」


「ありがとう。ガルアの願いは『自由』。でもそれをはき違えたらだめだよね、ほんとに。まぁ『大罪』は適合者を探すのが大変だし、『暴食』はなかなか人には適合しないからミスするのも仕方ないかな。ガルアを見つけてからも一応色々探したけど結局適合したのってオークキングとキングスライム、ブラックオーガ、レッドオクトパスって感じだったから一応ガルアが一番よかったんだよね」


「『憤怒』や『色欲』は時折見つかるんですけどね」


「まぁそこまででもないのばかりだったけどね。それは置いとくとして、1つ問題があるんだよね」


「ベルゼブブがこの世に顕現してしまったことですよね?」


「うん。大罪の悪魔たちは個性が強いのばかりだし、なかなか帰ろうとしないから顕現は面倒なんだ。『怠惰』『嫉妬』『強欲』みたいに『大罪憑依』が使えるか、『憤怒』みたいに悪魔を斬り殺せるなら別だけど『暴食』と『傲慢』『色欲』は召喚だけしかないからカミラも注意してね」


「もちろんです。それで、ベルゼブブはどうなさいますか?」


「今は場所の特定ができないんだよね。一応ベルゼブブの向かいそうな、近くで人の多いカーミアにはあいつを送っておいたから情報待ちだね」


「私が直接向かうか、送ればいいのでは?」


「ベルゼブブが現れたんだ。人族も警戒しているはず。そこにカミラを送るのは避けたいからね。これまで通り攻めたりはするけど本格的に動くのは彼女を待ってから。あいつは使いやすいから失いたくはないんだけど影響は少ないからね」


「かしこまりました」


「僕もたまには動いておかないといけないなー。ベルゼブブは肉弾戦には弱いけど魔法は相当な腕だからね。僕みたいに極端に相性の悪い相手がいない限り有利だし、力を振るうのを躊躇ったりしないでとにかく食い荒らすタイプだからたちが悪い」


「なんとか居場所を探ったりはできないのですか?」


「普通ならできるはずなんだけどね。悪魔ってベルゼブブくらいしか顕現していないはずだし気配も魔力も特徴的だからすぐ見つかると思ってたんだけど……ダメか」


「魔力を断っているのでしょうか?」


「たぶんそうだろうね。上位魔法ってのはまだまだ奥が深い。闇魔法にはもともと魔力を隠したりする魔法もあるからその上位魔法には当然より効果が高いものがあるだろう。それを思えばなかなか見つからないだろうね」


「私も配下のモンスターに探させてみます」


「よろしく。そういえばガルアを追い込んでいた冒険者はどうだった?」


「すいません。ガルアの『大罪召喚』を止めるのに必死で、あまり詳しく見ていなかったのです。しかし、4人のうち2人は確認できました。1人はコロイドの町を襲った際にガルアを止めていた女で、もう1人は『怠惰』が出場した大会で優勝していた男でした」


「そいつなら適合したかもしれないね。ちょっと惜しいことをしたかな? 適合するかどうかはその人物の死に際にならないとわからないからね。悪魔に喰われてしまっては適合も何もないだろうけど」


「適合していたところで体がありませんし、意味がないと思います」


「まあね。さて、僕は次の『暴食』を探すことにするよ。カミラはどうする?」


「お供します」


 そうして魔王は女性を連れて玉座の間を後にした。







 それから数日後、カミラのもとにある報告が届いた。それはカミラの配下のモンスターからのもので、その連絡を受けてすぐにカミラは魔王のもとへと走っていった。




「どうしたのさ、カミラ。僕は今新しく生まれたゴブリンたちを進化するまで鍛える作業で忙しいんだけど」


 カミラがやってきたのは城の裏庭だった。その一角が柵で区切られ、その中では100匹を超えるゴブリンが互いに殺し合いをしており、それを監督しているのが魔王だった。


「魔王様、ベルゼブブの行方が判明しました」


「なんだって? それは本当かい?」


「はい。ベルゼブブは、カーミアの町とバルの町の間にて戦闘を行っており、少し離れた場所からスキルでその様子を見ていた魔物とコンタクトをとることに成功したと配下から連絡がありました」


「ベルゼブブとまともにやり合ったやつらがいたの?」


「はい。信じられないことではありますが、その魔物によりますと、人族の男1人と人族の女が2人、それから、猫獣人の女が1人の合計4人の冒険者パーティがベルゼブブを討伐、そしてその死体も回収したとのことです」


「ベルゼブブを……討伐? 何かの間違いじゃないの?」


「その魔物は間違いないと言っているようで、私の配下のモンスターも若干の混乱状態にあります」


「ベルゼブブは僕の『力』の結晶の1つなんだよ? 悪魔たちの中でも暗黒魔法に限った話ならばトップレベルの実力をほこるあいつがそこらの人族に負けたなんて信じられるわけがないじゃないか。たしかに近接戦闘は相当弱いけど……」


「しかし、報告が事実であれば気配も、魔力も探知できない理由も納得できますし、未だにベルゼブブがどこかに現れたといった報告が上がってこないのも納得できます。にわかには信じがたいのも事実ですが、認めると疑問が晴れるのも事実ですので」


「しかし、しかしだよ。ガルアが喰われたことで僕の渡した大罪スキル『暴食(グラトニー)』がベルゼブブに移るというのはわかる。だけど、ベルゼブブが死んだならなんで僕にスキルが()()()()()()()()んだい? これまでは全て返ってきていたというのに、今回に限って戻ってこない理由がわからない。まさか倒した冒険者の中にたまたま『暴食(グラトニー)』の適合者がいて、そいつに移ったとでもいうのかい?」


「おそらくそうではないかと」


「……今からベルゼブブを倒した冒険者を探せるかな?」


「すでに一部の者にはその指示を出しております。残りの者にもすぐに指示変更を伝えます」


「よろしく。……少しの間一人にしてくれないかな?」


「かしこまりました」


 カミラは一礼すると空間に渦を創り出し、その渦の中に入っていった。



 それから裏庭では、ゴブリンたちの悲鳴と断末魔が響くことになった……。




どうもコクトーです


普通に1日日付を間違えてました

遅れて申し訳ない…


今回は魔王のお話でした

次はメイのほうに戻ると思います


ではまた次回

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