魔族です1
俺たちがのんびりと歩いていると、向こうのほうから1人の男が歩いてきた。
狼獣人と思わしき顔つきの男で、その背には6mくらいの大剣が背負われている。剣の握る部分で背に固定しているようで、刃はむき出しになっていた。なんかゼルセみたいな武器を使う人だな。
特に何事もなくすれ違った。
「後ろです!」
その直後、キャラビーが声を張り上げる。しかし、その声を聴く前にすでに全員が動いていた。マナとヒツギはキャラビーをつかんで前に跳び、すぐに杖と棺桶を構えた。俺は頭上にステュラを掲げて後ろを向く。すると、すぐそばまで先ほどの男が振り下ろした大剣が迫っていた。
キィイン!
ステュラで大剣を受け止める。衝撃が激しいが、なんとか受け止められた。
「……なんのつもりだ?」
「なに、見た顔があったからな。前に仕留めきれなかったから仕留めとこうと思っただけだ」
「そうか、よ!」
大剣を押し返し、マナたちのところまで一旦引いた。少なくとも俺ははじめて会う相手だが狙いは誰だ?
「メイ、マナ、キャラビー、気をつけて。こいつコロイドを襲った魔族だよ」
「よう、元気そうじゃねえか。そっちのは初めましてだな。俺の名は暴食のガルアだ。覚えとけとは言わねえ」
ガルアと名乗る魔族はまるで野球のバッターのように構えた。
「ここで死ぬからな」
そのまま大剣をふるった。ガルアとの距離は10mは離れている。しかし、ヒツギが俺の前に出て棺桶を地面に突き立てた。すると、ガァン! っと何かが当たる音がした。『剣閃』のような攻撃か。
「こいつは剣に魔力を集めてとばしたりしてくるから注意して! 間合いもはかりにくい!」
「間合いがはかりにくいのはそっちだろうが!」
ガルアがヒツギに文句を言いながらも俺に大剣を振り下ろしてくる。俺の持つ剣ごと叩き斬ろうという意思が透けて見えるようだ。俺はガードエンチャントを使ったうえで奴の大剣を受け、同時に周囲にダークランスを10個展開して放った。呪いを喰った影響からか、ダークランスはかなりパワーアップしており、1発1発の槍の数は50本に達していた。数が増えすぎな感じもするがその辺は俺の知ったことではない。
奴はダークランスをかわすために大剣を引いて横凪に振るった。一度ふるっただけなのにすべてのダークランスが撃ち落とされた。あきらかに大剣の届いていないところにあった槍さえも消されていたのはおそらく先ほどヒツギが言っていた魔力を飛ばす攻撃なのだろう。
「闇魔法の使い手か。なかなかの練度だな」
「そりゃどうも」
「俺も得意なんだわ。『我が敵を射抜かん』ダークアロー!」
俺たち全員に向けて数百本の黒い矢が降り注ぐ。シャレになってねえぞ! 俺も闇魔法を覚えたことでダークアローなら使えるが、この数はさすがに無理だ。とっさに放てる限りのファイアで相殺しようとするが圧倒的にカバーしきれていなかった。
「任せて! 『マジックシールド』」
マナの創り出した結界が相殺しきれなかった部分を防ぎきった。しかし結界にはひびが入っていた。威力も高いみたいだ。
ダークアローだけでは終わらず、上から大剣が振り下ろされる。本来であれば、マジックシールドは普通の猛撃には意味はないが、奴が魔力をまとった攻撃をしたため、結界は壊され、そのまま俺のところまで来た。ステュラで受けるものの、あまりの重さに片手は刃の部分をつかんで止める羽目になった。多少手に刃が食い込み血が流れるが、これまでと同じように止めようとしたら腕ごと持っていかれただろう。
「どうやら不壊属性のついた剣みたいだな。なかなかよさそうだ。それが刀だったらラースあたりが使ってたかもしれん」
「やらねえよ」
地面を蹴って奴に切りかかった。しかし、間合いという点で圧倒的に不利であるために俺の剣が届くようなところまで近づけなかった。
俺の横からヒツギの棺桶が奴めがけて飛んでいった。また違う方向からはマナの魔法も飛ぶ。しかし、奴はそれらの対処もしながら俺の攻撃をさばきだした。やつは軽々とやっているが、誰も手を抜いてはいない。どれくらい動けるのかわからないキャラビーは、まだ戦いに参加させられないからヒツギにはあまり動かないでもらっているが、時々奴の意識がキャラビーにも向いているのは現状一番奴に近づいている俺には理解できた。もし俺がミスをすればキャラビーに攻撃がいきかねないのだ。
何度も斬り合っているうちに少しずつではあるが、奴に近づき始めた。数回打ち合うごとに1歩とかその程度ではあるが、少しずつ押し返してきている。
そして奴が距離をとろうと後ろに跳んだ。俺はこの時を待っていた!
「『スピードエンチャント』『パワーエンチャント』『鬼化』『鬼の一撃・付与』『コンボ』『剣閃』」
思い切り地面を蹴り、剣を振り上げた。
「『一刀両断』!」
空中にいる奴目がけて巨大な『剣閃』による一撃が飛ぶ。対して奴は大剣でそれを受け止めようとした。しかし、空中にいるために踏ん張りが利かず、どんどん押されていき、そしてその大剣にひびが入った。押し切れるか?
「きついな……。『全てを飲み込む漆黒の闇よ、何一つ逃さぬ深淵なる闇よ、光もまた逃げられぬと知れ。代償は我が左腕。その力をもって我を守らん』闇呑み」
奴の左腕の肩口から先が消えた。そして奴の前に真っ黒い渦ができ、俺の放った攻撃がそれを受け止めていた大剣とともにその渦に飲み込まれた。どうなってるんだ?
渦が消えた時に見えた奴は相当消耗していた。今の魔法の影響だろう。
「あー……これ使うとかなりきついんだよな……」
「今のは闇魔法か?」
「違うみたいだよメイ。今の魔法は私も見たけど使えないもん」
「暗黒魔法だね」
ヒツギが答えた。呪いを喰った時に俺が得た耐性系のスキルにあったやつだな。
「かっ、お前さん何者だ? 魔族についても知ってるみたいだし、あまりにも知識がある」
「私? 私はただのヒツギだよ。ちょっと生きてた時代が古いだけ」
「……なるほどな。お前さんがそうだったってことか。なら知ってて当然だな。そうだ、さっきのは暗黒魔法。雷を除いて、今の時代には存在しねえ、上位属性の魔法だ」
「上位属性?」
「闇、光、火、風、土、水、氷、時空、この8つそれぞれの属性の上位に位置する属性。それが上位属性だ。風属性の上位属性である雷光属性はどうにか残っているが、それ以外の属性はすでに人の使い手がいなくなっちまった属性だ。俺が使うこの暗黒属性もその1つ。聖、聖炎、獄炎、溶岩、雷光、分解、大地、還元、聖水、毒水、氷河、聖氷、時空間、亜空間。そのどれもがあまりに強大すぎる力ゆえに使い手がいなくなった属性だ」
突如として奴が体にまとっていた魔力が一気に跳ね上がった。もっと言えば奴の体から魔力が漏れ出している。
「俺も暗黒魔法を扱い切れてるわけじゃない。でもまあ……扱えるやつを呼ぶことはできる」
何が起こるかはわからなかった。しかし、それを止めなければいけないということだけは理解できた。それはマナとヒツギも同じようで、それぞれの武器を持つ手に力がこもる。
「やめなさい」
突然ガルアの横に渦が現れ、女性が現れた。ガルアの仲間みたいだが彼女も魔族なのか?
「ラストか。何しに来た?」
「グラトニー、それはダメです」
「なんでお前の言うことを聞く必要がある? 俺は俺のやり方で敵を倒すだけだ。その方法を止める権限はお前にはないはずだ。俺の願いは認められているだろ?」
「たしかにそうです。ですが、それだけはやってはいけません」
「うっせえな。お前の言葉を聞く気はねえんだよ!」
「きゃっ!」
ガルアが魔力を飛ばして女性を吹き飛ばす。仲間割れか?
「こいつを使えば確実に仕留められる相手なんだから使わない手はない。お前ら光栄に思えよ。まあ思ったところで死ぬが」
「やめなさい!」
「『我が願いを叶え給え。我が名はガルア・ステュアード。七つの大罪、暴食を司る存在。今、その封を解き明かす』大罪召喚! 暴食を司る大悪魔!」
ガルアからあふれ出していた大量の魔力が解き放たれ、ガルアの頭上に集まって巨大な魔法陣と化していく。
そして、そこから決して呼びだしてはならない存在がこの世界に顕現した。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40 』
1日遅れですいません
昨日はもうダウンしてました
ではまた次回