行き先決めです
「じゃあこれからどうするか話すとしようか」
ここの宿をとっているのは今日まで。つまり、明日からは新しい宿を探すか、延長できるように交渉するか、ここを出て他の町に向かわなければならない。もし他の町に向かうなら馬車をとるか歩いていくか決めないといけないが、野宿するにしても俺たちにはハウステントがあるから問題ない。食料もかなりの量買ってあるし、他に必要なものはマナが買っておいてくれたから買い足す必要はない。
要するにいつでも出られるというわけなのだ。
「この町からはもう出るの?」
「それを悩んでるんだけどな。物資的には問題ないが行先がな。生活しなくちゃいけないって考えるとやっぱダンジョンがある町を目指すべきなんだろうな」
「ここのダンジョンはダメなのですか?」
「オークションの前に行っては見たんだがな。なんというか……稼げる気がしない」
「1層しか行ってないけどね」
「俺はかなり食べるし、俺の従魔たちの飯も考えたら食費だけでもかなりかかるからな」
現状はダンジョンで狩った獣型のモンスターの肉をあげているが、それもそのうちに尽きる。こないだはたまたま大量の魔物を狩ることができたが、フォレストビーの巣がそうそう何回も簡単に見つかるとは到底思えないし、そうでなければあの森は稼ぐには敵との遭遇率も低いし、何よりも罠が危険すぎる。これならばアントホームの16層以降でキングアントを狩り続けたほうが稼げる。肉は買うしかなくなるけどな。
ジャングルのハニー種の獣型モンスターの肉はうまいが売れないというギルドに問いただしたくなるような状態だが、個人的にはうれしい。売れるところさえ残せばアイテムボックスにしまっても2人とも何も言わないんだもん。
「迷宮都市はあちこちにあるらしいけどね。このあたりのものとなると何があるかな?」
「たしか、ここから東へ馬車で10日ほどいったところにあるレトンの町が一番近かったはず、です」
「他には、西のほうにもたしか1か所あったよね? リアの町って言ったっけ?」
「リアの町ってダンジョンの名前タートリアって名前?」
「そうだって聞いてるけどヒツギどうかしたの?」
「そこたぶん昔に私が見つけたとこだね。敵が面倒だったから攻略せずにギルドに届け出たんだけど……」
「何気にすごいこと言ってるよね!?」
「あのころはダンジョンがあちこちで見つかってたからね。すごい人になるとたしか12か所発見した人もいたよ」
つまりそれくらいダンジョンが生まれてたということか……。白虎のダンジョンがすごい短かったことにも関係あるのかな?
「そういやキャラビーはあいつらはどこに向かうとかって聞いてるか?」
「私の代わりの人を入れるとしか聞いてないです……ごめんなさい」
「謝る必要はないって。できればあいつらの行かないほうに行きたいんだが……。どっちだと思う?」
「私はレトンの町のほうだと思うな。タートリアのモンスターって結構面倒なやつが多いって聞いてるし」
「私がいたころは亀しかいなかったね。今も亀だらけなのかな?」
「たしかタートリアは巨大な亀のボスがいるダンジョンです。すでに攻略されたダンジョンで、出現モンスターはタートル種のモンスター。トラップも大半がモンスターを呼ぶアラームタイプのトラップだったはずです」
「キャラビー詳しいな」
「ご主人様にほめられました!」
「これくらいでいちいち喜ばなくても……」
「そもそも奴隷をほめるなんてほとんどしないんですよ!」
「……そうなのか?」
「はい」
「あーよくわからんからその辺もなんかあったら教えてくれ」
「かしこまりました!」
「タートリアって攻略されたんだね」
「はい。たしかジルビダという方が3年ほど前に解放していたはずです」
「ジルビダ?」
「従魔の部に出られていた方です。覚えていませんか?」
「あの人か」
タートル種のモンスターを見ていないから何とも言えないが、おそらく防御が高かったり、甲羅にこもることでさらに頑丈になったりするのだろう。しかし、スライムなら甲羅の中に入っていったり、頭を完全に覆って窒息させたりできそうな気がする。
もし俺ならどうするかな? 無理矢理甲羅を割って倒すか、ステュラ使っての『一刀両断』で斬れるか試してみるか、ファイアとかの火系統の魔法で焼くか、いろいろ考えられるけど有効なものはあるかな?
「ご主人様?」
「あーすまん、ちょっと考え事してた。でもそっちはすでに攻略されてて、しかも敵が厄介なんだろ? ならあいつらそっちにはいかないんじゃないか?」
「でも私たちがいくのもつらいと思うよ? なかなか倒しにくいモンスターだし」
「タートル種は魔法が効かない種類も多くいます。それでいて非常に硬い甲羅を持っているので倒すのはかなり厳しいと思います。でもご主人様ならきっと……」
「その変な期待はなんなんだ。俺だってできることとできないことがあるぞ」
なんでもできるとか思ってないよな? すごい驚いたみたいな顔してるけど。マナとヒツギも苦笑いだ。
「ともかく、タートリアのダンジョンに行くのは厳しいだろうし、行く先をほんとどうしようか? いっそのこと少し離れたところのほうがいいかもしれないよな」
「ならここから3つ町を経由しないといけないけど、グリムの町はどう?」
「グリムの町……4つのダンジョンをもつ町ですね」
「4つもあるのか」
「この国で2番目に大きな迷宮都市だよ。ここからだと、カーミア、フルーレ、バルの町を経由していくのが一番近いかな。東西南北にそれぞれタイプの違うダンジョンがあってそこなら結構稼げると思うよ」
「そこよさそうだな。3つ町を経由してって言ってたけど行き方ってわかるか?」
「わかるけど、1つ目の町までは歩いていかないといけないね。馬車が出るの明後日だから」
「道もわかってる?」
「道なら私がわかります。ある程度の地図は教え込まれましたから」
「頼りにしてるよキャラビー」
「はい!」
「じゃあさっさと行くか。カーミアの町まではどれくらいかかるんだ?」
「えっと、馬車で20日だったはずです」
「けっこうかかるな……。まあのんびり行くか」
次の行先の決まった俺たちは、宿を出てカーミアの町に向かった。
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「ラース、ダンジョンコアはどうしましたか? 魔王様がせっかくだからどこかに新しいダンジョンを作るとおっしゃられているので使おうと思うのですが」
うす暗い城の、ある部屋で2人の男女が話し合っていた。
「む? ラストか。あれならすでにおいてきたぞ」
「……へ?」
「我らの王が偽物だと言われたからな。競売が行われるという町があったからそこに出しておいた」
「なにをしてるんですか!? あれはダンジョンコアなのですよ!?」
「ダンジョンコアであろうと例の物でなかったのだから偽物であろう? 返しても問題はあるまい」
「ああもう……いいです。あきらめてもらいますから。あれはなかなか手に入らないものなのですよ? グラトニーにでも持ってきてもらいますか……」
「ダンジョンを狙うのか?」
男が腰にさげた刀に手をかける。
「冗談ですよ。そのあたりはわかっています」
「ならよい」
両手を上げて言う女に、男は刀から手を離した。
「今はまだおとなしくしているべき時だ。私が動いたのも場合が場合だったからだしな。スロースの行動も本当ならば避けておきたかったとお主も言っておったではないか」
「確かにそうですが、彼の願いでもありましたからしょうがなかったのですよ。あなたの願いは特別でしたが」
「その代りに縛られているがな。解放されぬものか……」
「魔王様が負けることはあり得ませんからまずないでしょうね。そういえばグラトニーはどこへ行きました? ここ最近姿が見えないのですが」
「たしかフルーレに向かったはずだ。ほしい剣がそこにあると言っていたからな」
「そうですか。……様子を見に行かないといけないかもしれませんね」
女のつぶやきを聞いた男は、何も言わずにしっかりとうなずいた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50
魔人 Lv1/20
精霊使いLv1/40 』
今回は話し合いだけでした
次回はちょっととびます。時間が、ですよ? 飛蝗みたいに飛び跳ねたりはしないですよ?
もしかしたら飛ばずに閑話が入るかもしれませんがそれは未定です。
予定は未定、あくまで予定ですから。
ではまた次回