オークションです3
連続投稿4日目です
係員がキャラビーを連れて入ってきた。正確には、キャラビーの入った檻を押しながら入ってきた。
「先ほど一度鑑定しておりますが、もう一度行います。これは万が一にも商品の取り間違いがないようにするためですのでお待ちください」
「わかりました」
係員が先ほどと同じように『鑑定の宝珠』でキャラビーを鑑定する。結果は変わらない。変わってたら管理問題になってたところだけどな。
「では奴隷契約を行います。契約者は98番様でよろしかったですか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました。それでは始めます」
係員が檻の中のキャラビーと俺に両手を向けてぶつぶつと呪文を唱え始めた。奴隷契約の呪文らしい。
唱え始めてから30秒ほどで係員の両手が軽く光り、手のひらから光る糸のようなものが俺たちに向かって伸びてきて、それが俺たちの体にぴったりとはりつくと、係員が手を閉じるのに合わせたように俺とキャラビーだけをつなぐ糸になった。その瞬間、キャラビーに関する情報が一気に頭に入ってきた。情報といっても、名前、年齢、性別、職業、レベル、状態といった、『鑑定』でもわかるような情報しかない。しかも隠蔽が効いているようで、呪いのことも名前のファントムの部分も表示されていない。これ意味あるのか?
それから1分くらいじっとしていると、光の糸がキャラビーから離れ、俺の体に入ってきた。瞳が反応してないんだがこれ魔法じゃないのか?
そして、完全に糸が俺の体に入ると係員も閉じていた手を開いた。
「これで奴隷契約は終了となります。今回は平均的な時間で済みましたが、もしまた行うことがあったとしても、同じ時間で済むとは限りませんので、今後も奴隷を購入される予定がおありでしたらそのあたりを頭に入れておいてください。時折前の時より遅いと怒りだす方もいらっしゃって対応に困りますので」
なんだか遠い目をしている。深く追及することはやめておこう。
「これで商品の受け渡しは終了です。会場には戻られないとのことですので札を返却願います」
俺たちはそれぞれの持っていた札を渡した。
「はい。確かに受け取りました。それではまたのお越しをお待ちしております」
俺たちはキャラビーを連れて小部屋を出た。
会場を出た俺たちは、入り口にもなっている店で大きめのローブを一枚購入してキャラビーに着せた。
オークションで販売された奴隷は、衣服は最低限の物しか着けていないことが多い。もちろん、目玉商品として販売されているような奴隷はその美貌をアピールするために着飾っていたり、屈強さをアピールするために多少の装備をしていることもある。むしろそれがほとんどだ。
しかし、一般的な奴隷にわざわざそこまでするようなことはめったにない。そもそも、奴隷の持ち物は主の物だ。本来ならば販売するときに着ているようなぼろぼろの服も所有者、つまり販売者の物なのだ。わざわざそんなぼろぼろの物を売る直前になって回収するようなやつはそうそういないし、売った後だとすでに所有者は購入者に変わっているので衣服の回収はできない。
キャラビーはもともとが奴隷ということもあり、そもそもあまりいいものを着ていなかった。しかし、多少は防御力も上がるものだったそうで、回収されて今は貫頭衣のようなものを着ていた。衣服のない奴隷のためにオークション側が用意する衣服だそうだが、捨てられる布の再利用品だそうで、破れやすいと係員の人から説明があった。そのため、とりあえず町を問題なく出歩けるようにローブを購入したのだ。この後で服屋に行く必要があるな。今の俺たちの格好は俺はゴーグル、マナはフードをかぶってるからなんか不審者っぽいし。でもその前に宿に1人増えることを伝えに行かなきゃ。
宿に戻り、受付にはガザさんがいた。ちょうどいいや。
「おや、メイさん方でしたか。お目当ての商品は落札できましたか?」
「ええ。それで、今夜から1人増えるんですが部屋って余ってないですか?」
「1人というのはそちらの奴隷ですか?」
「はい」
「奴隷は原則として所有者と同じ部屋となりますのでメイさんと同室ということになります」
「なら2人部屋に変更してもらえませんか?」
「お食事などは1人分の料金をいただければご用意できますが、申し訳ありません。部屋に関しましては現在空室がないということもありまして……。手狭になってしまいますがご了承ください」
多少納得はいかないがこれはしょうがないか。ここで無理を通そうとしてもいいことなんて絶対にない。キャラビーにはテントハウスのほうで寝てもらうことにしよう。向こうなら部屋も余ってるし、手も出せないしな。
「わかりました。いくらになりますか?」
「今日明日の2日分ですし、銅貨40枚で構いません。材料費などの関係もありますので無料というわけにはいきませんが、部屋を用意できていない落ち度がありますので格安にて提供させていただきます」
昼ご飯3回分より安い。俺は即決で今日の昼ご飯の代金も合わせて銀貨1枚で支払った。今はだいたい12時前だからついでに食べていこう。
俺たちは食堂に向かった。
食堂にはあまり人はおらず、俺たち以外には2組しかいなかった。もともと机が7つしかないけど。
適当な場所を選んで席に着く。1つの丸机に対して椅子が4つなのでちょうどいい。
「……なんでそこに座る。椅子に座ってくれよ」
キャラビーは生気の感じられない顔をしたまま無言で地面に座った。その様子を見てマナとヒツギに視線を向けるが、2人は何も言う気はないらしい。宿に向かうときにこっそりと夜までは自分たちは何も言わないと言っていたが、ここでもそれを貫くのかよ……。夜に呪いを解くつもりだから、その後でいろいろと話をするつもりなんだそうだ。今の彼女に何を言ってもおそらく頭に入らないから、と。
「……?」
「とりあえず椅子に座って食べろ。命令だ」
あえて命令という言葉を使ったことも影響しているのか、コクリとうなずくと席に座る。
その後も、料理を食べろと言ってもなかなか食べようとしなかったり、1口食べるたびにこちらをちらりと確認したりと大変だった。律儀に俺が食べるペースに合わせてるし。なんで食事だけでこんなに疲れるのだろう……。
服屋に向かい、キャラビー用に安めの服を3枚購入した。この辺の加減はマナに任せる。奴隷の立場は弱いし、俺たちの冒険者ランクは高いとは言えない。オークションで俺と彼女を買うのに争っていたのは貴族だった。何か仕掛けてこないとも限らない。あまり高いものを買っていちゃもんをつけられたらいやだし、なにより何をされるかわからない。用心に用心を重ねるなら買わないのが一番なのだが、おれは個人的に気に入らない。
もともと、彼女はパーティメンバーとして扱うと3人で話して決めてある。奴隷扱いは基本しないつもりだ。解放は奴隷というシステムの都合上今はできないが、仕方がない場合を除いて扱いはパーティメンバーだ。俺たちと変わらない生活をさせるつもりでいる。多少家事を頼むかもしれないけど。
その後、今後のための食料品だとかを一通り買い、日が暮れてきたころ宿に戻った。さて、キャラビーに生気は戻るかな。
不安を抱えながら、俺たちは部屋に入った。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
ついに連続投稿も折り返し!
ではまた次回