表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/592

会場下見です1

 次の日、俺たちは朝からクレリア商会に向かっていた。

 昨日寄った時についでにいつごろ行けばいいか聞いておいたが、午前中ならいつでもとのことだったので、9時半過ぎという早くも遅くもないと思われる時間に行った。

 この世界の時間の考え方は割とアバウトな感じがある。

 武闘大会のあったアライエの町では15分おきに小さな鐘が、1時間ごとに大きな鐘が鳴っていたが、この町では30分ごとに鐘が鳴っている。冒険者の多くはだいたい8時くらいから活動を開始しているらしい。俺たちと合流する前のマナも朝8時くらいにギルドに行き、依頼を確認して、いいものがあればそれを受けて依頼をこなしにいく。いい依頼がなければその日は依頼関係なしにモンスターを狩ったり、情報収集にあたったりしていたそうだ。一般的な冒険者だ。

 しかし、俺たちと合流してからはそれは完全に崩れた。移動しまくってるからな。


 クレリア商会につくと、クレリアさんが指示を出して荷車の準備をしていた。昨日と違って左目にモノクルをつけており、時折運ばれるものをそれ越しに見つめている。

 そして、指示が一段落つくと、こちらに気づいたようで小走りでやってきた。


「おはようございます。ちょうど私どもの準備も終わったところですよ」


「おはようございます。今日はお願いしますね」


「ええ。オークション会場の下見とオークションの仕組みのご説明ですよね。任せてください。いつごろ出発しましょうか?」


「クレリアさんの準備が終わったらでいいですよ。今日は私たちは予定もないし」


「そうでしたか。でしたらすぐにでも出発してよろしいですか? 先程準備も終わりましたので」


「はい」


 そうして俺たちはクレリアさんと一緒に馬車に乗り込んだ。


 馬車は何事もなく進んでいき、20分もするとオークション会場についた。

 馬車の中では、この町に来るときに話していた乾燥させた果実を一つ、試食としてもらった。名前はカピチュというらしいがどう見てもドライフルーツだ。しかし、すごい美味しかった。会場の下見を終えたら銀貨10枚分買うことを伝えた。これは保存食で二人も納得してるから全然無駄遣いじゃないからな!


 商業区のなかでも町の中心に近い位置で馬車から降りると、そこには周りの家と比べてもそれほど大きくは見えない一軒家があった。ここが会場?


「オークション会場は地下施設となっております。もちろんこの地上施設も売り場となっておりますが、メインは地下です。ここで買えるのは袋や箱といった入れ物が多いですね」


 なるほど。地下でオークションを行って、商品を持って帰るのに使える入れ物をここで売る。よく考えているなと思う。

 そんなことを考えながら、俺たちはクレリアさんに続いて地下への階段を降りていった。





 けっこう長い階段を降りた先には、地下ということを忘れさせるほどの巨大なドームと、それを囲むようにおいてある檻とガラスケースの数々があった。天井には照明の魔道具がついているのか、まるで外にいるように明るく、空気もどんよりとしたものではなかった。

 檻の中には1人から10人くらいで人が入っているが、1人だけのほうが多い。むしろ、10人入っているものは1つしかないくらいだ。

 一方のガラスケースには、1つにつき1品しか入っていない。こっそり鑑定したが、よさそうなものが多い。ついでにギンが狙っているものと思わしき魔剣も見つけた。うーん……そこまでほしいと思えないな。それよりは奥のほうに運ばれているのがちらっと見えた『オリハルコンの長剣+9』という品のほうがほしい。まあ今回は諦めるけど。


「このドームの中がオークション会場となります。ドームへの入り口は一般入口、特別入口、商人入口、販売者入口、関係者入口と5つに分かれており、座席も同じように5種類に分かれております。当日、メイさんたちは一般入口からお入りください。その時に身分証明書、メイさんたちの場合ならばギルドカードの提示を求められますので、必ずお持ちください。もし提示できないということになりますと、元B-からAランクまで様々な警備員が駆け付けてきますので。本日はどこでもよろしいのですが、当日一般入口となるところから入りましょうか」


「あの、周りに並べられてるのって全部オークションに出されるものですよね?」


「ええそうですよ。武器、防具、アクセサリー、奴隷そのすべてがオークションにかけられる単位で入れられております。たとえば……あそこにある箱をご覧ください」


 クレリアさんの向けた手の先にあったのは全身鎧一式に剣が2本、盾が大小1つずつ、そして小さめのナイフが50本入った箱だった。


「あれはとある貴族様の屋敷から押収されたものらしいですよ。あれすべてで1セットなのです」


「あんな風に一式でセットとして出されるのは珍しいことなんですか?」


「ええ、そうですね。普段であればあれは鎧一式で1セット、剣と盾で2セット、ナイフ全部で1セットといってところでしょうか。ナイフと盾はいたって普通のものなのでそれこそ最低価格になりそうですがね」


「それを避けるために全部で1セットにしたってことですか?」


「あくまで私の推測の域を出ませんがね。それ以外にも、今回出される品が多く、数を減らすためというのもあると思われます。貴族様の家が取り潰しになったり、没落したりしたときにこういったことがあるんですよ」


「そうなんですか……でもあれって鎧はけっこういいものですよね?」


「おや、これはお目が高いですね。あの鎧には作成段階で素材にエンチャントが施されている、いわゆるエンチャント武具というやつでして、軽量化と自己修復の能力を持った鎧になっています」


「自己修復って……壊れても元に戻るんですか?」


「さすがに壊れたら無理ですよ。傷がついた、とか、少し凹んだとかそれくらいのものしか直りません。自己修復(弱)ですから。壊れても元通りとなりますと、自己修復(大)くらいないと厳しいですね。(大)の効果を持つエンチャント武具は1年に1度あればいいほうといった感じです。たいてい金貨10枚前後で取引されますね」


「金貨10枚ってオークションとしては高いほうなんですか?」


「いえいえ、そんなことはありませんよ。たしかに、武具で考えればそれなりに高いと言えますが、奴隷も一緒に出されるのがここのオークションの特徴ともいえますからね。ここのオークションに限って言えば高くもなく安くもなくと言ったところですかね」


 金貨10枚で高くないとなるとやはり奴隷は桁が違いそうだな。たしか金貨は150枚は確実にある。アントホームで狩ったモンスターの素材の代金とかはすでにそれぞれが自由に使えるということにして納得しているから考えないとしても、明日はダンジョンに潜る予定だからもう少し稼げる。


「……今から俺たちが出品しようとしたらできますか?」


「なにかいい商品をお持ちで?」


「一応解呪した元呪われた武器が3本あります」


「そうですか……それでしたらオークションにかければ買い手がつくことは間違いないと思います。ただ、今回となると厳しいですね……。時間的にも次回であれば問題ないのですが」


「そうですか……」


 しょうがない。これは投げナイフとして使おう。ちなみに、3つの呪いを喰って手に入ったのは『魔属性攻撃Lv1』と『武器硬化Lv2』だ。ギザギザのナイフのほうは2本で2レベルになった。今回はマイナス効果のあるスキルとか、ステータス減少系はなかったのでラッキーだった。


「ちなみに、奴隷だとどれくらいの金額になるんですか?」


「えっと……私の記憶が正しければ……龍人族の女性で、絶世の美女と呼ばれた方が白金貨2枚で落札されたのが一番でした」


「白金貨……」


 たしか金貨1000枚で白金貨1枚だから……金貨2000枚? ダンジョン20か所攻略してようやくたまる金額とかやばいな。


「ドーム外の説明はこれくらいでよろしかったですか? お目当てがあるならばそれを見に行くこともできますが」


「え、見れるんですか? これってまだ準備中だから置いてあるんだと思ってました」


「あまり知られていませんが、そもそも、オークション開始3日前から、この町で店を構える商人に頼めば誰でも下見できるんですよ。別に口外厳禁とかそういうのは一切ないのですが、あまり大っぴらに宣伝しているわけでもないので乗合馬車などで縁のできた人などしか知りません」


「どうする二人とも、見てく?」


「私はいいかな」


「私もやめといた方がいいと思う。あんまり売られたこと知ってる人少ないし、あいつが来ないとも限らないし」


「私もそれがよろしいと思います。それでは中でオークションの説明をしましょう。一般入口はこちらです」


 クレリアさんはそう言って右手にある入り口に向かっていく。

 しかし、突然思い出したかのように立ち止まって、こちらを見ないまま言った。


「あ、忘れておりました。実は伝言を預かっています。そちらも中でお話ししますね。()()()()()()


 その一言で、俺たちの緊張感が一気に高まった。




どうもコクトーです


『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 冒険者 Lv69/99

 武闘家 Lv47/60

 薬剤師 Lv35/60

 鬼人  Lv18/20

 聖???の勇者Lv10/??

 狙撃主 Lv32/70

 獣人  Lv8/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60

 ローグ Lv1/70

 重戦士 Lv1/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50 』


ここ最近、感想で冒頭のほうの誤字報告とかがやたら多いなぁと感じていました。

どうにも7月16日から日間ランキングに乗っていたらしいです。ありがとうございます!!


これからもよろしくお願いします。

ではまた次回


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ