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武闘大会閉会です

『みなさま、これより表彰式を行います。名前を呼ばれた方は一歩前にお願いします』


 今広場にいるには係員を除くと4人だ。俺、クラインさん、ノノさん、天上院の4人。普段なら5人いるはずなんだけど、今回は俺が両方優勝したために4人しかいない。過去には従魔の部の優勝者が一般の部で準優勝で、準優勝者が一般の部で優勝したために表彰台に2人しかあがらなかったこともあるそうだ。

 表彰台と言っても、台が1つぽつんと置いてあるだけで、その上に立ってクラインさんがこちらを見ている。すごく簡単な作りだ。

 左から順に天上院、俺、ノノさんと並んでいる。さすがの天上院もこの場でなんかしでかすことはないだろう。


 今はクラインさんが喋り続けている。校長先生の話を思い出す。クラインさんの話は退屈しないけどね。


「……俺からは以上だ。では表彰に移る。まずは従魔の部からだ。ノノ前へ」


 ノノさんは言われた通り一歩前にでる。


「今大会はいつも以上にレベルが高かった。キングクラスのモンスターが普通に負けるほどにだ。そのなかでもノノ、お前さんの活躍は一際光っていた。最後惜しくも敗れてしまったが、俺はどっちが勝ってもおかしくなかった試合だったと思う。これからも従魔との絆を大切にしてくれ」


「もちろんです」


「そうか。では、ノノに金貨5枚を授けるものとする!」


 クラインさんが袋から包みを取り出してノノさんに手渡した。会場からは大きな拍手が巻き起こった。ノノさんも受け取って一礼すると会場全体を見渡して手を振る。

 しばらくすると自然と拍手は止んだ。


「次はシャドウ……といきたいところだがお前さんは最後だ。一般の部の表彰を先にやるぞ」


 なんか後回しにされた。まぁわざわざ同じ人を2回もやるのは面倒だし、観客の反応も気になる。いい判断なのかもね。


「天上院古里、前へ」


「はい!」


 天上院が大きな声で返事をして前にでる。体育会系か?


「お前さんはなんとも奇妙な勝ち上がり方だったな。一回戦、二回戦と対戦相手が棄権。まぁ相手のことなんかわかるわけもねぇからその辺は特に気にしなくていい」


 天上院は少し不機嫌そうな顔をしていた。自分の力で勝ち上がったわけじゃないと言われたように感じたのだろう。


「不満そうだな。お前さんは実力を見せたじゃないか。フェイグラードはかなりの実力者だ。それをしっかりと倒してるんだ。認めないやつはいねぇよ」


 クラインさんはノノさんと同じように金貨5枚を渡した。


「さて、最後はシャドウ、お前だ」


 クラインさんに促されて前に出た。


「表彰をする前に言っとくが、一般の部と従魔の部の完全制覇を成し遂げたのはお前で2人目だ。一人目はサー・レングストンっていう貴族だった。キングバッカスってモンスターを従えて本人は剣術の達人としてこの大会に挑んでいた」


「サー・レングストンですか?」


「あぁ。今ではもう存在しない家だがな。何が言いたいのかって話だが、お前さんには金貨以外に特別な品を贈らせてもらう。あれならあとから返しに来てもかまわん」


「返してもいいんですか?」


「ああ。あれは人によってはいらないものだからな。お前さんなら大丈夫だと思うが」


 その信頼はなんなんだろうか。


「お前さんには驚かされた。一回戦、二回戦、三回戦と全員が優勝候補だったんだが、その全員を真っ向から叩きのめしたんだから。決勝でも天上院の魔法を完全に上回ってたしな」


 今天上院絶対に不機嫌だぞ。斜め後ろにいるから見えないけどはっきりと伝わってくるもの。


「何が言いたいのかって言えば、お前さんは強いってことだ。お前さんは今大会に集まってきた数多くの選手たちの頂点にたった。今日からお前さんは挑戦する側(チャレンジャー)から挑戦を受ける側に変わった。そのことを頭に入れておいてほしい。……さてみんな! 今ここに新たなチャンピオンが誕生した! 一般の部優勝賞金、金貨25枚、従魔の部優勝賞金、金貨25枚、合わせて金貨50枚の授与をもって、彼を、シャドウを新たなチャンピオンであると任命する!」


 それなりのサイズの包みを受け取る。金貨50枚もあればこうなるわな。


「そして同時に特別品の授与も行う。シャドウ、受け取れ」


 クラインさんがその場でカバンから人の頭ほどの大きさの包みを取り出した。それは鎖で何重にも縛られており、まるでなにかの封印のようにも感じられた。


「これはある生物の卵だ。どんな生物なのかは俺にもわからん」


「なんでそんなものを?」


「こいつは昔、俺がまだ冒険者だったころに人から譲り受けたものだ。だが、俺ではこれは扱いきれなくてな。なら扱える可能性のあるやつに預けてしまえばいいと考えたわけだ。サーのやつには断られたからな。他の2人の制覇者は無理そうだったし、お前さんに渡すことにした」


「ベルセルはだめだったんですか?」


「これを扱えるやつがいるとすれば、従魔との絆を強く持っていること。それでいて本人も他をねじ伏せられるだけの力があることが条件だ。あいつは一般の部では王者と呼べるほどの実力があったが、従魔なんかいねえしさっぱりだからな」


「なるほど」


「とりあえず受け取って、しばらくはそれを頼んだ。どうしても無理ならすぐに返してくれても構わん」


「まあしばらくは持っておきます」


 邪魔になるようならアイテムボックスに入れておけばいいし、生物の卵であればヒメに何とかしてもらえる可能性もある。完全に無理なのであれば喰ってしまえばいい。卵が生物だと認識されて、生きているとなると話は別だが、生物ではないと認識されたなら喰うことができる。まあさすがにそれはしたくないけどな。


「よし。それでは、ただいまをもって、今回の武闘大会の閉会を宣言する!」


パチパチパチパチパチパチパチパチ……


 コロシアム全体に大きな拍手が鳴り響く。それは、俺たち3人が通路の奥に消えていってもしばらく鳴り止むことはなかった……。








 コロシアムから出た俺は、大量の観客に待ち構えられていた。この様子だと他の2人も同様だろう。

 「おめでとう!」とか、「すごかったよー!」とか、「ローブとって!」とか様々なことを言われまくってるが、俺は無言で手を振り返すしかない。ところどころで貴族からの勧誘やら、冒険者からパーティのお誘いやギルドへのお誘いも聞こえているが、その辺は無視することにした。つか貴族はクラインさんがとめてくれてるんじゃないのか? あぁ、クラインさんを(ルールを)通さずに(無視して)来てるような人たちなのか。クラインさんに報告したらどうなるかな? 面倒だからしないけど。


 その後、いたるところから湧いて出てくるように現れる観客たちに囲まれながらだったためにゆっくりではあったが、俺は宿に戻ることができた。一般の人だから殴ったりしたらまずいし、威圧とかも使えないからすごい気を使った。そのせいか試合よりよっぽど疲れた気がする……




「お帰りメイ! 優勝おめでとう!」


「おめでとメイ。あれ強かった?」


 俺の部屋のほうに戻ってくると、2人とも俺の部屋でくつろいでいた。


「ありがと二人とも。なんで俺の部屋の方にいるのかはこの際気にしないでおくよ」


「だってメイ帰ってきたとしても私たちの部屋には来ないでしょ? ならこっちにいるしかないじゃん」


「そうそう」


「……いや、行くつもりだったぞ? 今後の予定も話したかったし」


「次はキーンの街に行くんだよね?」


「ああ。奴隷オークションってやつがあるらしいからな。幸い金も手に入ったし、多少は不安も和らいだよ」


「エルの子孫の子かぁ……どんな子なんだろ」


「まだ買えると決まったわけじゃないぞ。ともかく、今後の予定なんだが、明日にはここを出る」


「早くない?」


「そうでもないんじゃないか? ここからキーンの街までの馬車って5日に一回って聞いてるし、明日がちょうどその日なんだ。その次のやつだとオークションには間に合わないし」


「……それだとあいつらも同じ馬車になるんじゃないの?」


「その辺は宿の人にさりげなく聞いておいた。なんでも、人の数が極端に多いらしくて1回で5,6台同時に出発するらしい。なら商人にうまいこと言って頼み込んで、あいつらと同じ馬車にならないようにすればいい」


「なんとかなるように祈るしかないね。なにか準備するものあったっけ?」


「一応食べ物なら大会中もいろいろと大量に買い込んだから問題はない。それ以外となると何かあるか?」


「私は大丈夫かな。マナは?」


「うーん、私も買うものはないかな」


「なら決まりだな。午前中に挨拶だけして、もしなにか思い出したら、明日の昼頃に出るらしいからそれまでに準備ってことで」


「そうだね。じゃあマナお願い」


「はーい。『万物をとどめる不動の結界』マテリアルシールド」


「へ?」


 突然マナが結界を部屋に張り出した。なにがしたいんだ?


「優勝のお祝いだよ。今日のために2人で準備しといたんだ」


「ほんとは私たちの部屋でやる予定だったんだけどね。こっちの部屋にも準備しといてよかったよ」


「おい、二人とも?」


「今日はメイも試合が続いて疲れてるはずだし、私たちが癒してあげる」


「再生で回復したから大丈夫だ」


「遠慮しないでいいよ。()()()()にまかせなさい♪」


「まて、にじり寄ってくるな。やめろって、ほんとマジで!」


 怪しい笑みを浮かべながら近づいてくる二人を振り切ろうと、部屋を出ようとしたが結界に阻まれ、やむなく結界をブレイクショットでぶち破って逃げ出した。今日もまたテントハウスだな。


 次の日、不機嫌な二人をなんとかなだめて俺たちはこの街で知り合った人たちに挨拶をしに向かった。




どうもコクトーです



『刈谷鳴』

職業

『ビギナーLvMAX(10)

 格闘家 LvMAX(50)

 狙撃手 LvMAX(50)

 盗賊  LvMAX(50)

 剣士  LvMAX(50)

 戦士  LvMAX(50)

 魔法使いLvMAX(50)

 冒険者 Lv69/99

 武闘家 Lv47/60

 薬剤師 Lv35/60

 鬼人  Lv18/20

 聖???の勇者Lv10/??

 狙撃主 Lv32/70

 獣人  Lv8/20

 狂人  Lv1/50

 魔術師 Lv1/60

 ローグ Lv1/70

 重戦士 Lv1/70

 剣闘士 Lv1/60

 神官  Lv1/50 』

少し投稿が遅れました

昨日は時間がなくて……


あと1、2話ほどでアライエの町での話は終了になる予定です。

ではまた次回

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