一般の部 決勝です7
広場に現れた天上院はこちらをキッとにらんだものの、何も言うことなくただただそこに立っていた。まあそれ俺にも言えることだが、お互いある程度の力はこれまでの戦いで見せている。俺の場合は手札が多すぎるため残っているし、天上院の場合はバラーガと戦っていないため1試合分試合が少ないから見せていない手も多くあるだろう。負ける気はさらさらないけどな。
俺はこっそりと天上院を『鑑定』した。
『天上院古里(異世界人)
職業:?み?ちの勇者
『力』:対??????(??) ???????? 全パラメータ大幅上昇(極大)』
なんか他の人を鑑定したときよりもいろいろなものが表示されてる。異世界人だからなのか? しかし『?み?ちの勇者』ってあいつの職業も半分くらい見えてねえじゃねえか。なんかの勇者であることはわかるのだが、どんな勇者なのかまったくわからない。つか俺の『聖???の勇者』より見えている文字が多いというのが少し気になるがなにかしら条件があってあいつはそれをクリアしたのだろう。俺の条件ってなんなんだろう?
一文字目となる『聖』の字の解放条件は天上院の聖属性の魔法を喰らうことだった。あいつは光属性とか言ってるけど。なら他の条件も何かを喰らうことかな? っと今はそれよりほかの装備とかの鑑定をしないと。
奴の装備を改めて鑑定してみると、聖剣ハル以外は特に効果の付いているものはなかった。ただ、アクセサリーとしてつけていた『聖刻のネックレス』というものは例外で、隠蔽の効果がかかっており、『上級鑑定』のほうを使ってみたら、『装備したものの闇耐性のレベルを9あげる。ただしもとが0の場合はこの効果は発動しないが、レベル上限を超えた場合は闇属性無効となる。』というふざけたような性能のものだった。つまり闇耐性が2レベル以上なら闇属性無効となるのだ。はじめのうちに試し撃ちして効くかどうか調べないといけないな。ちなみに『隠蔽』が効いた状態での効果は『装備したものに聖なる加護を与える』というものだった。はっきりとした効果を教えろよ……。
『皆様、大変長らくお待たせしました! それでは只今より、今大会最後の試合となります、決勝戦を行います! まずは、これから戦う両選手の紹介をさせていただきます!』
のんびりとスキルとかを確認していたら、時間になったらしくアナウンスが始まった。俺はそれを武器を用意しながら聞き流す。これまでの戦いの様子とか延々と語られてもなー。
『……これにて選手の紹介を終了します。そろそろお二方も待ちわびているでしょう。両者準備はよろしいですか?』
「大丈夫だ」
「……ちょっと待ってくれ」
『古里選手、どうかなさいましたか?』
「おいシャドウ、それはいったい何の冗談だい?」
「なんのことだ?」
「ふざけるな! あんたはそんなものでこの僕と戦おうって言うのか!?」
「そんなものとは失礼だな。これは俺の立派な武器だぞ」
「その背に背負っているものをつかえばいいだろう! そんな棍棒なんかで戦おうなんか僕を侮辱しているのか!」
俺が用意した武器はただの棍棒だった。かつてコロイドの街を襲ったオークたちからもらった何の変哲もない棍棒だ。それを両手に1本ずつ持っていて、背には念のために同じくオークたちから回収した錆びた剣と、魔剣ステュラをクロスさせて装備しているのが俺の今の状態だ。どこもふざけてなどいないのだが……。
「僕を倒すのには棍棒で十分だと、あんたはそう言いたいってことか? 僕にもプライドというものがある。もしふざけているのなら今すぐこここから立ち去れ!」
「別にふざけてなんかいない。これはちゃんとした武器だ。そもそも棍棒をもって相手に挑むのが無礼というのならオークやオーガはどうなる? やつらだって必死に生きて、必死に戦っている。しかしやつらの武器は棍棒だ。お前の言ったことを考えればやつらは他者を侮辱しているということになる」
「誰もそんなことは言っていない!」
「棍棒を使うってだけで侮辱だといったのはお前だ。自分の言葉すら覚えていないのか?」
「~~~~!! わかった! そっちがその気ならそれでいい。どうせ負けた時に武器を言い訳にできるから使っているのだろう? そんなやつに僕は負けはしない!」
すごいムカッてなった。徹底的に叩き潰してやる。どうせこの会話は、俺と、やつと、それからどうやってかはわからないが声を拾っているアナウンスの人くらいしか聞こえていない。
『準備が整ったようです。この試合の勝者が今回の優勝者です! それでは、試合、開始!!』
試合が始まった。
「うぉおおおお!!」
最初に動いたのは天上院だ。聖剣を握りしめてこちらに切りかかってくる。棍棒ごと叩き斬ろうとしているのか、かなり大振りだ。
対して俺は棍棒に『鬼の一撃・付与』を行って迎え撃った。右手の棍棒で相手の剣の腹を思い切り殴って地面にたたきつけ、左手の棍棒で天上院の顔面を狙う。瞬時に頭を引いてかわした天上院に、一歩踏み込んで、右手の棍棒を下からアッパーするように振り上げる。それは顎にしっかりと当たったが、天上院が当たる瞬間に跳んでいたためにダメージは大きくならなそうだった。現に、天上院は空中で1回転して無事に着地している。その眼は驚いて見開いているが。
「『我が敵を貫け』ダークランス」
着地してしゃがんだままの天上院にダークランスを放つ。ぼさっとしてる場合じゃねえぞ。
天上院は横っ飛びでダークランスをかわしたが、数本は足を掠っていた。うーん効いてないっぽいな。どうやら天上院の闇耐性のレベルは2以上だったようだ。
「『光の奔流よ、我が敵を討つため荒れ狂え』ホーリーストリーム!」
天上院もこちらに魔法を放ってくる。俺はそれをワープで移動してかわす。別に喰らってもよかったが変なことを言われるのも嫌だし。
「『貫け』アイスニードル」
俺の周囲に30本のアイスニードルを展開させて様々な方向から緩急をつけて襲わせる。天上院はその場にとどまってそれを1本1本聖剣で切り落としていく。いや移動しながらやれよ。
「とどまってるとかいい的だな。『閉じ込めよ』アイスロック」
体全体を包むのではなく、天上院の手足のみを包むように凍らせる。それの影響で聖剣をふるう手が止まった。それでもすぐに壊してきたが、その隙をアイスニードルが襲った。壊しきれなった一部のアイスニードルが天上院に直撃する。
アイスニードルは、ダークランスのほど細く、鋭いわけではない。そのため天上院に直撃しても貫くことはなかった。しかし、鎧のあちこちをへこませることはできた。穴をあけるつもりだったんだが、思ったより頑丈だな。
「はぁはぁ、『慈愛の光がその身を癒す』ヒール2」
天上院は回復魔法で傷をいやし始めた。さっきのダークランスと違って今度はダメージが結構あるらしい。氷属性の耐性はないということか。
「……よし。少し油断した。でも、ここからは僕のターンだ」
天上院はよくわからないことを言いながら聖剣を構える。
「『我が身は2つ、2つは1つ、交わりてこそ意味を成す』ダブル!」
フェイグラード相手にも使っていた魔法だ。あれはしっかりと見させてもらったからどういう魔法なのかは既にわかっている。フェイグラードに感謝だな。
「行くぞ!」
天上院が地面を蹴った。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
決勝戦が始まりました!
いったいどちらが勝つのか!
調子次第ですが、3日後より早く投稿するかもしれません
ではまた次回