一般の部 決勝です4
「ニシシ。降参するわけないじゃんか。お前さんの攻撃はもう返せるんだから」
ベルセルはそう言って笑った。
返せるというのはカウンターできるという意味だろうか? 遠距離から攻撃をしてもカウンターされるのか? とりあえず俺はさっきまで使ってなかった魔法で攻めることにした。
「『敵を撃つ風の砲弾』エアロ」
3つのエアロがベルセルに向かって飛んでいく。さてどんなカウンターを見せてくれるんだ?
「まだ見てない技だろうと関係ないぜ。俺のカウンターはもうお前さんを捉えている」
ベルセルが俺の撃ったエアロをはじき返した。エアロは3発ともそのまま俺のほうに向かってくる。とりあえずさっきアブサーラムの攻撃を止めたように左手の掌で受けようとした。どうせ魔法は当たった瞬間に喰らっておしまいだ。
「は!?」
エアロを喰うことができなかった。そのうえで、あきらかに俺が撃ったときの数倍の威力で俺の腕を捉えた。
俺は慌てて残りの2発をかわす。エアロは俺の後方の地面をえぐった。俺が使った時にはあんな威力はないはずだ。せいぜいが地面を多少削る程度でしかない。
魔法を喰らうことができないという場合は別に考えてなかったわけじゃない。自分の魔法を喰らうことができないというのはよく理解できる。そんなことができるのなら、魔法は覚えたらレベルマックスになるまでひたすら自分に撃てばいいだけなのだから。ダークランスももっと1発1発の数が増えて、いまよりもっと魔力の節約になっているはずだ。
「カウンターってのはただ返すだけじゃない。ただ返すだけならそれは反射って言い換えたほうがいい。相手の攻撃を倍の威力で返してはじめてカウンターになる」
俺はペラペラと説明しているベルセルに向かって、実験もかねて『黒槍の雨』と『黒雷』を使う。まずは上下からの攻撃。
「無駄だって。俺のカウンターに死角はない」
60本の黒い槍が90度まがって俺に向かってくる。失敗か……。俺は横にワープしてそれをかわした。1本1本の威力が倍になっているらしく、フィールドが凸凹になっていく。
すぐ次の実験に移った。俺の周囲にいくつもの魔法が展開していく。ファイア、エアロ、アクアボール、ファイアバレット、ダークランス、アクア、アースボール俺が使える魔法の中でも発動タイミングをいじれるやつをすべて発動させる。
「へー。複数属性か。しかも五属性とはな。また面倒な……」
ほんとはまだ光が使えるのだがまあ奥の手的に考えておこう。使う気は更々ないけど。
「『火よ、風よ、土よ、水よ、闇よ、汝らは我が手足なり。汝らは我が体なり。汝らは我が力なり。命ずる、その力を発揮せよ!』」
すべての魔法が同時にベルセルにとんでいく。攻撃が当たる場所の操作などは特にしない。ただ、ベルセルに当たる位置にまっすぐ飛んでいくだけだ。
「種類を増やせばいけるとでも思ったか? 甘いわ!」
ベルセルは同時にくる魔法を、自身に先に当たるものから順に俺に返してきた。数を増やしてもダメか……。
俺はダークランスでその魔法を相殺させる。威力が倍になってる分こちらが使う数も増やしている。威力が二倍なら数を二倍にすれば大丈夫だよね。
すべての魔法を撃ち落としきった俺はダッシュでベルセルに向かっていく。今度は近接戦闘だ。
「魔法はもうおしまいか?」
「おしまいってわけじゃねえよ」
俺はスキルをつかわずに拳を突き出す。あっさりとベルセルに払われて逆の手の爪で突こうとしてきた。それは俺も反対の手で腕の部分を殴って止める。ベルセルがあいた胴に蹴りを入れてこようとするが俺も蹴りでそれをはじく。その後もお互いが攻撃を仕掛け、それを止めるというのが続く。
そして1分ほど続いた時、ベルセルの爪が俺の頬をかすり、俺のローブのフードの一部を切り取った。
俺は慌ててワープで後ろに下がり、切れたローブを確認する。まだ顔がわかるほどではないがこのまま続けていたらいずれは完全にフードが取れてしまうだろう。ゴーグルはきちんとしているが大丈夫かな?
俺がローブを確認している間、ベルセルはその場から動こうとはしていなかった。あくまでもカウンターで戦うということだろう。
俺は再びベルセルに攻撃を仕掛けた。今度は両腕に鬼の一撃を付与させた。
「何度こようと同じだぞ。どれだけでも返してやるよ」
自信満々に言うベルセルに俺は無言の攻撃をもって返事をする。
先ほどとは明らかに違う威力でもベルセルは難なくはじいてきた。同時に向こうの反撃をはじいたが、その威力がだいぶ強くなっていた。やはり相手の攻撃力を利用したスキルなんだろうか……。
そう考えた俺は、スキルを解いて攻撃を仕掛ける。すると、ベルセルの反撃も威力が一気に下がった。これならいける!
俺はワープでベルセルの背後をとった。そのままベルセルの頭を狙う。力を抜いて。
「なっ!?」
ベルセルの反撃はかなり弱かった。しかも、その攻撃は俺に届くことはなく、見えない壁に阻まれた。俺がワープするのとほぼ同時に展開した結界だ。
思いもよらなかっただろう結界に阻まれたことでベルセルの体勢が崩れた。ここだ!
「『鬼の一撃・付与』、コンボ2、『ブレイクショット』!」
俺の拳ががら空きのベルセルの腹に直撃した。そのまま腕を振りぬき、双方が吹き飛ぶ。
お互いにかなりの勢いで飛ばされていき、フィールドのほぼ端で止まった。
「ゲホッ、完璧だと思ったんだけどな……」
再生で少しずつ回復してはいるがかなりきつい。体勢を崩し、不意を突いた一撃だったはずなのだが、どうやらベルセルはそれに対応して返してきたようだ。ただ、こちらの攻撃がまともに入ったというのは間違いなく、ベルセルのつけている防具はぼろぼろで、一部壊れて崩れ落ちていた。しかも立ち上がろうとしてふらついている。
ベルセルのカウンターのことを考えれば、俺にきてるダメージはベルセルの2倍。防具を壊すほどの威力の2倍だ。再生があってほんとによかった。
お互いにふらつきながらも距離を詰める。だんだんと楽になってきた。
「あ"ーすまんな……あれは使う気じゃなかったんだがな。思わず使っちまった」
「カウンターがあんたの得意技なんだろ? なら問題ないよ。それにあれを返されたらしょうがねえ」
「そういうわけじゃないんだが……。今のカウンターはただの『スキル』だ。あんなの認めたくもない」
「今の……ってことはさっきまでスキル使わずにやってたってことか?」
「『スキル』に頼ってたら上にはいけないと感じてたからな。俺は『スキル』を『技術』に昇華させた。さっきのはほんとは二度と使う気はなかったんだ」
「使ってなかったら俺の勝ちだったんだろうか?」
実際使われなかったらほぼノーダメージで追撃できたからな。今はもうほぼ完全に再生で回復したが、さっきまでの状態では追撃はできない。
「まあな。……俺にここまでダメージを与えたやつは久しぶりだ。俺もここからは全力でやろう」
「さっきまでは全力じゃなかったと?」
「いや、全力さ。防御型のって言葉が付くが」
ベルセルもとりあえず動ける程度には回復できたようで、腕を伸ばしたりしてから手を地面についた。
「あんたカウンター特化の防御型なんだろ?」
「本来は正反対なんだよ。ここからは防御抜きの超戦闘型でお相手するぜ」
ベルセルの雰囲気が、獰猛な狼そのものへと変わった。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
試合はまだまだ続きます
たぶん次回で2回戦は終了します
ではまた次回