一般の部 決勝です3
2回戦第一試合は天上院VSバラーガ。お互いに手の内を知っている相手になる。いかに意表を突くか。いかに相手を上回るかの戦いになる……予定だったのだが……
『な、なんと、こんなことがあっていいのでしょうか? 1回戦に続き、2回戦も対戦相手の棄権につき、天上院古里選手の勝利です!』
試合開始直後、いや、むしろ試合開始前というべきか? はじめの、『両者準備はいいか?』という確認の時に棄権したのだ。天上院とはいつでも戦えるし、自分より天上院に強者との戦いの経験を積んでほしいとか何とか言ってな。当たったらこうすると決めてたんだろうが、どうせなら少しでもいいから戦って手の内をさらしてくれればいいのに……。
観客席からも、つまらないといった雰囲気がひしひしと伝わってくる。
天上院はバラーガと話しながら通路に戻っていった。
続いて行われた2回戦第二試合はメキンVSフェイグラード。結果はフェイグラードが勝利した。フェイグラードはただただメキンを殴ったり蹴ったりし続けた。それにメキンが耐え切れなかったのだ。危なげのない勝負だった。それでも、試合がきちんと行われていることで会場は大いに盛り上がった。
2回戦第二試合が多少長引いてしまい、俺の試合は5分遅れで開始されることとなった。
現在の時刻は12時20分少し前くらい。俺とベルセルはともに広場にすでに出てきていた。ベルセルは体に動きを阻害しない程度に鎧を身に着け、マントを羽織っていた。腕には何もつけていないが、それはその手の先の鋭い爪を活かすためだろう。下手に装備をつけて重くなるとその分動かしづらくなるからな。ほんの少しの遅れでも、それが命取りになることも考えられる。
俺がベルセルを観察していると、向こうからこちらに歩いてきた。
「お前さんすごいパワーだったな。巨人種が吹き飛ぶところを初めて見たぜ」
「思ったよりとんだからびっくりしたよ。あんたのカウンターもすごかったな。最後相手が心折れてたじゃないか」
「俺はもともと持久戦が得意なんだ。俺は『自己回復』のスキルレベルが高いからな」
「そんなこと言っていいのか? 普通は自分のスキルとか能力とか隠すもんだと思うんだが……」
「普通はな。俺の場合は逆なんだよ。俺の戦い方は基本カウンター狙い。もちろん普通に戦ったりもできるがカウンターが最も得意だ。言うならカウンター特化の防御型ってところだな。お前が攻撃をしてきたら反撃でお前はダメージを受ける。俺も多少くらうかもしれんが、それもじきに回復する。お前だけダメージが蓄積していくんだ。回復スキル持ちってわかってたら諦めるのも多少早くなるだろ?」
「うーん、一理あるかもしれん。でもそれって大前提として相手は自己回復スキルを持ってないことが重要だろ? じゃなきゃ相手だけがダメージ受けてくっていうのは成り立たないし」
「そうでもないぞ。相手も持っててもこっちのが回復速度が速ければ問題ない」
「なるほどな。ちなみに俺は諦めないから」
「自己回復持ちか?」
「言うと思うか?」
「いや、お前さんは言わなさそうだ。これ以上の詮索はしないでおこう」
ベルセルが口許に笑みを浮かべ、ちらりと牙が見えた。
「そろそろ試合が始まりそうだ。楽しい試合にしようぜ」
そう言うと、ベルセルは話す前にいたところまで戻っていった。
『お待たせいたしました! これより2回戦第三試合、ベルセル・ファング選手VSシャドウ選手の試合を行います! お二人とも準備はよろしいですか?』
「「大丈夫だ」」
『それでは、試合開始!!!』
試合が始まった。
最初に動いたのは俺の方だった。手を牙にみたてて前方に構える。そのまま勢いよく手を合わせた。
「『ファングショット』」
腕に合わせるように半透明な牙がベルセルを襲った。対するベルセルは、バックステップでそれをかわした。
「従魔と同じ技を使えるのか。お前さんは獣人族か?」
ベルセルが余裕を持った表情で聞いてくるのを無視して周囲にダークランスの黒い球体を10こ展開する。
「『我が敵を貫け』ダークランス!」
わざわざ詠唱する必要はないが、適当に思いついた文を詠唱してダークランスを放つ。
昨日の夜の特訓で多用していたためか、ダークランスはLv7にまで上昇していて1発1発が30本の槍を放てるようになっていた。以前なら15連で300発撃っていたのに今では10連で300発撃つことができる。そんなに魔力が大きく減ってる感じはしないんだが節約できるところは節約したほうがいい。幸いレベルが上がっても1発撃つために必要な魔力はかわってないようなので5発分は節約できた。
ベルセルめがけて殺到する300本の黒い槍を、ベルセルは後ろに大きく跳びながらかわしたり防いでいた。完全には防ぎきれずに何発か当たっているが、多少血が出ただけで致命傷に至っておらず、さらに回復しているようなので意味がないともいえた。正確にはないこともないのだが、ほぼ意味をなしていない。
このまま遠距離から魔法で仕留めきれないかなーとか考えていたが、そういうわけにはいかず、ベルセルは息も切らさずに耐えきった。
「なんて量の攻撃魔法だよ。対大群用の魔法か? 1人しかいない敵に使うような技じゃないだろ」
俺は何も言わないまま次の攻撃へと移る。
相手はカウンター特化の防御型と言っていたので、本来ならばカウンターの届かない遠距離からチマチマ削るのだが、この大会には自分は今どれくらいの攻撃を耐えられるのかとか、こちらの攻撃が自分よりランクが上の者にどれくらい通じるのか調べたいというのもあったため、わざと近接戦闘を仕掛けた。
ベルセルが初めにいた位置より下がっていたことで俺とベルセルとの間はそれなりに距離がある。俺はその距離をダッシュで詰め寄る。
「『獣の一撃』」
「!?」
俺はベルセルの後ろから殴りつける。
とっさに前に飛び出たベルセルにかわされたのでマントを剥ぎ取る程度で終わってしまった。ベルセルはそのままジャンプしてこちらに向き直した。
「驚いた……。転移魔法を無詠唱で使うのか」
正確には魔法じゃなくてスキルなのだがな。
「いやー、1回戦で見せた巨人種の攻撃をものともしない防御力、そのうえで彼を殴り飛ばすほどの攻撃力、そして予選とさっきの攻撃とで見せた大量の魔力とそれを活かした1人に対して過剰とも思えるほどの大規模攻撃。まだ隠してる力もありそうだ」
ベルセルが急に俺のことを話し始めた。どうしたんだ?
「でも惜しいことに魔力の操作はまだムラがあるみたいだな」
「さっきから何言ってんだ?」
「いや、お前さんの動きと攻撃を見てた感想だ。遠距離からの見えづらい攻撃に面制圧の魔法攻撃。ダッシュ力も十分だし、転移で距離を一気に詰めたり自由に移動ができる。攻撃の速度も精度も高い。クライン様が言ってた油断ならないやつってのはお前さんのことだろうな」
「何が言いたいんだ? 降参でもするか?」
「ニシシ。降参するわけないじゃんか。お前さんの攻撃はもう返せるんだから」
ベルセルはそう言って笑った。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
2回戦の第一試合と第二試合でした
まあ途中ですが
メイの試合は続きます
ではまた次回