一般の部 決勝です2
盛大に盛り上がった一回戦第1試合の数分後、続けて第2試合が行われた。
第2試合はバラーガVSハイス。結果はバラーガの圧勝だった。ハイスもそれなりの使い手ではあるようだったが、バラーガには及ばなかった。
第3試合は勘助VSメキン。この二人は実力が拮抗しているようだったが、メキンがなんとか勝利をもぎ取った。コロシアム的にはこんな感じで拮抗した試合のほうが盛り上がるのかな?
第4試合はハオVSフェイグラード。ハオは独特の構えから繰り出される拳法でフェイグラードを攻めたが、そのすべてを力で抑え込まれていた。フェイグラードは一切魔法もスキルも使っていない。ただただ肉弾戦で抑え込んでいた。
第5試合はルーブVSベルセル・ファング。結果はルーブの棄権。ベルセルは1歩も動かず、襲い掛かるルーブをカウンターで返り討ちにし続けた。最後はルーブの心が折れた結果になった。
時間は現在10時35分くらい。俺の試合まであと5分くらいだ。すでに俺も対戦相手のアブサーラムも広場に来ていた。
改めて対戦相手となるアブサーラムを見る。身長は10mくらい。あまりに大きいのでコロシアムの通路を通ることができないため、初めて見た時に肩に乗ってた人が魔法陣を使って広場に転移させていたくらいだ。体が大きいということはそれだけ体重もあり、力もあるということで、一撃が相当重いことが考えられる。まあどれくらい耐えられるか調べるにはもってこいの相手ともいえる。
『皆様、お待たせしました! これより第6試合、アブサーラム選手VSシャドウ選手の試合を行います!』
40分になったらしく、アナウンスが入った。さて、まずは1発受けてみようかな。
『お二人とも準備はよろしいですか?』
「「大丈夫だ」」
『それでは、第6試合開始!!!!』
試合が始まった。
試合が始まったものの、お互いすぐには動こうとしなかった。
「どうかしたか? 先手は譲るよ。思いっきりこい」
「……初めに言っておくが、俺は巨人種の中でも筋力、パワーに関してはかなり上位に位置している。お前のような人族では一撃当てることができれば俺の勝ちだろう」
「相当な自信があるんだな。おもしろいから受けて立つよ。お前が攻撃するまで俺はここから動かない」
「話を聞いていたのか? 恐怖で頭でもおかしくなったか?」
「失礼な。いたって正常だよ。お前の攻撃を真正面から受け止めて、殴り飛ばしてやるよ」
「ふ……ふはははははは!! そんなことを言われたのは初めてだ! いいだろう。どうやら防御力に自信があるらしいな。全力でお前のその自信をへし折ってやろう!」
アブサーラムが腕を引いて俺に狙いを定めた。そして引いた腕全体が軽く光りはじめ、その光が少しずつ拳のほうへと集束していく。
「この技は使うのにタメがいるからこの大会中は使うことはないと思ったのだがな」
「別にタメがいるならよけながらためればいいんじゃないか?」
「そんな簡単にできることでもあるまい。正直力はあっても俺は不器用だからな」
そうやって話しながらはできても動きながらとなるとできないのか。よくわからん。
「そろそろだな」
アブサーラムの腕の光が完全に拳に集まった。あれでタメが終わったのか。俺も準備しないとな。
「いくぞ! 『チャージ・インパクト』!!」
アブサーラムの大きな拳が俺に迫る。俺はそれに対して右腕を突き出して力を込める。
「『不動明王』」
ドォオオオオオオオオオン!
拳と俺の掌が衝突する。
俺の腕を通して衝撃と風が俺の後ろへと抜けていく。風で顔を覆っているローブが捲れそうだ。
その一方で、アブサーラムの拳はその場で止まったままだった。
「なっ!?」
「意外と余裕だったな。今度はこっちだな」
俺は小規模ワープでアブサーラムの胸の位置に跳ぶ。
「吹き飛べよ。『獣の一撃』」
俺は両手に力を込め、同時にアブサーラムの無防備な腹を殴った。
『えぇえええええええええええ!!!??』
俺の攻撃で後方に吹き飛ぶアブサーラム。アナウンスの人の声がうるさい。
アブサーラムはそのまま広場の端まで吹っ飛んでいき、仰向きに倒れた。手足はだらんとしており、ピクリとも動かない。どう見ても気絶しているようにしか見えなかった。あれ? 想像以上にもろいな。
通路から係員が走ってきてアブサーラムの様子を見る。そして撮影の魔道具のある場所か、アナウンスの人がいる場所かはわからないが、コロシアムの一角に向けて両手を交差させて首を振っている。やっぱ気絶してるっぽい。
『えーっと、アブサーラム選手は気絶で戦闘不能と判断されました! よって、第6試合の勝者は、シャドウ選手!!』
「「「「わぁああああ!!!」」」」
コロシアム全体から歓声が上がる。
俺の勝ちだ。
それから、通路からアブサーラムをここに転移させた男がやってきて、同じように魔法陣を使って転移させたのを見てから俺も通路へと下がった。
「シャドウ選手、1回戦突破おめでとうございます」
通路に戻ると、さっきアブサーラムの気絶を確認してた係員がいた。
「シャドウ選手の次の対戦相手は第5試合勝者の、ベルセル・ファング選手です。12時20分からの開始となりますのでお間違えの無いようにお願いします」
「わかった」
「それでは失礼します」
係員は足早に去っていった。どうやらただ次の予定を伝えるためだけに来たらしい。
俺は観客席にいるマナたちのところへと向かった。
第7試合はナユイベラVSルー。結果はルーの勝利だった。ナユイベラは例の筋肉ムキムキのおっさんだったのだが、ルーの速さについていけずに負けていた。
『皆様、これより行われる試合が1回戦最後の試合となります。第8試合、微笑みの魔女アイ選手VS、無傷のワグーサ選手だ!!』
観客席から盛大に声が上がる。それを聞いてワグーサの顔色は青くなっていた。『無傷の』なんて2つ名までついてるしなんか申し訳なくなってきた。
「あなたも大変そうね。無傷さん」
「わわわわわわ忘れてた……。やばいやばいやばいやばい」
「聞こえてなさそうね」
ワグーサはがたがたと震えていた。それを見ているアイは微笑みを崩さないまま告げた。
「私にとってはどうでもいいことなのだけれどね。ベルセルに借りを返さなきゃいけないの。それに彼にも興味があるし。あれほどの魔法を使えてさらに近接戦闘もいけるなんて私のパーティにほしいくらいの逸材だもの。ふふっ」
観客席にいる俺からは二人の会話は聞こえないので表情とかしぐさをみるくらいしかできないのだが、アイの微笑みが一瞬濃くなって同時に俺の背中に冷や汗が流れた。なにを話してるんだろうか…。
『お二人とも準備はよろしいですか? それでは、1回戦最終戦、第8試合開始ぃぃいいえええええなんでぇええ!!!?』
ソニックワイバーンがキングスライムを倒した時のような声を上げた。その理由もフィールドを見れば納得できた。
『えっと、ワグーサ選手が一瞬で氷に貫かれてリタイアしましたため、アイ選手の勝利です!』
コロシアムの観客は皆ぽかんとしていた。そりゃあ『無傷』と2つ名のついたワグーサが、アイが試合開始と同時に使った氷魔法で頭、胸、腹の3か所を同時に一瞬で貫かれて負けになったんだから唖然とするだろうよ。
「アナウンスの人、1ついいかしら?」
『アイ選手? どうかしましたか?』
「1つ言っておきたいことがあるからスピーカーを回してくれない?」
『わかりました。すぐ用意します』
アイが割と大きな声でアナウンスの人とやりとりをしてすぐに通路から係員が走ってきた。
「ありがとう」
『……これでいいのね。本日集まった皆さんにお知らせしときます。予選であの魔法を使ったのは彼じゃないし、彼が無傷だったのも使った本人がわざとしたものよ。彼にあまり期待しすぎないであげて頂戴ね』
アイが全部言ってしまった。ワグーサでないとなると自然とあれを使ったのは俺だとわかってしまう。もしかしたらワグーサかも? と少しでも思わせることで奇襲に使おうと思ってたのに……。
ざわざわとしだした観客席をよそにアイは通路に消えていった。
こうして最後に魔法を使った奇襲という俺の手札が1つ消えて1回戦は終了した。
そしてそのまま、コロシアムは2回戦へと移っていく。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
残りの試合は1話で一気にやりました
2回戦もサクサクいくところとしっかりやるところでだいぶかわります
ではまた次回