一般の部 決勝前です
「おかえりメイ。なにもなかった?」
「勇者たちに絡まれた」
「大丈夫なの!?」
「わけのわからんことをめちゃくちゃ言われたがなんとかな」
「というかなんで領主のところなんか行くことになったの?」
俺は口止めされている、なかったことになった犯罪の件をうまくごまかしながらついさっきまでの出来事を話した。
「ふーん。結局ヴァルミネって人の代わりにそのキャラビーって子が売られることになったんだ。勇者も何も言わなかったんだよね?」
「ああ。結局人が変わっただけで何も変わってないのにな」
「それに気づいてるのかな?」
「さすがに気づいてはいるんじゃないか? バラーガのこと批難しようとしてたしな。手元と表情見てやめてたけど。苦渋の選択とでも思ってるんだろう。オークションで買い戻す気らしいからあながち間違いってわけでもなさそうだ。ただ何やってんだろうとか思ったけどな」
正直言って、決勝に出場したという実績があり、さらに戦闘でも十分に役に立つクラスの魔法を使いこなせるヴァルミネと、元々奴隷の少女でしかないキャラビーを比べたら金額は雲泥の差になるだろう。
「そのために優勝してお金を用意するってことね。そんな簡単に優勝できそうなほど強いの?」
「全然。あの場では力をどうも抑えてたみたいだったけど、あの程度で優勝できるのかと聞かれるとなぁ……。ベルセル・ファングって人のほうが強そうだし」
「あ、その人についてノノさんとネネさんに聞いてみたんだけど、ランクはB+だけど、実力はAランクって言われてるベテラン冒険者らしいよ」
「やっぱ強いのか。あの威圧は若干やばいって感じたからな。白虎ほどじゃなかったけど」
「観客席だと何も感じなかったけどやっぱ何かしてたんだね。勝てそう?」
「やってみないとわからん。地力でいえば白虎とかアンセスタークイーンアントが勝ってるだろうが、格闘術とかを習得してると考えるべきだからな。はっきり言って俺は力ずくでなんとかしてるだけだから」
スキルとして『剣術』とかの色々技術系は持ってはいるが、それがそのまま強さにつながってるかと聞かれると疑問が残る。体の動かし方とか、剣の振り方とかはわかるのだが、剣術の型とかは全く知らない。『剣閃』とか『一閃』とかスキルで再現してるだけで、スキルなしで使ってくる人もいるかもしれない。やっぱどこかで習っておきたいな……。
「勇者とメイを比べたらどうなの? 私はそいつにあったことないからね」
「相性次第かな。もし魔法を多用する奴なら正直負ける気がしない」
「なんで? 私みたいなタイプってことでしょ?」
「俺はこの瞳があるからな。例外はもちろんあるんだろうが、魔法は基本的に全て喰らって俺の力になるだけだ」
「うわー、私メイに勝ち目ないじゃんか……」
「例外があるかもしれないからどうともいえんな。魔法に特化した『力』だから、俺の瞳が反応しないことも考えられる」
「生活魔法は?」
「魔法自体は喰らったが効果はあったからな。あとはエンチャント系も効果自体はあった。それを考えると喰らってもダメージがあるみたいな感じかもしれないって思い始めてる」
「それなら勝ち目があるかもね」
「戦う気はないがな。話を戻すんだが、キャラビーって子がオークションにかけられる」
「それはさっき聞いたよ。その子がなにかあるの?」
「……その子を買う」
「へ?」
「奴隷を買うことはもう決まってただろ? 相談もしないでどうしたって思うかもしれないけど、その子に決めようと思う」
「どういうこと? キャラビーって子に同情したってこと?」
「いや、彼女はどうも勇者パーティで罠の察知とかを担当してたっぽいんだよ」
「なんでわかるの?」
「『上級鑑定』したら職業にトラップ使いってのがあったから」
「上級鑑定って900年前も使える人1人しかいなかったはずのものなんだけど……」
「使えるようになったんだからしょうがない。上級鑑定で、名前以外に職業が見えるようになったんだが、名前のほうに問題があった」
「まさか偽名だったの?」
「隠蔽スキルを看破したって表示されて、その後に見えた彼女の名前が、キャラビー・ファントムだった」
「嘘!?」
「前に言ってたヒツギの仲間の子孫ってこと?」
「『呪い』も確認できたしおそらくな。だから、彼女を買おうと思う」
「そうして! エルの子孫にこんな早く会えるなんて!」
「まだ買えるって確定したわけじゃない。一応ダンジョン攻略の報酬と、ヒメが従魔の部で優勝した賞金もあるから金は結構あるが、足りるかはわからん」
「3人分全部合わせても足りないの?」
「相手のバックには貴族の家がいくつついてると思ってんだよ。いくらあってもあるにこしたことはない」
現状いまだ手つかずでダンジョン攻略によって得た金貨が100枚あり、さらに従魔の部優勝で金貨25枚を受け取れる。一般の部の優勝賞金も25枚なので、両方優勝して合計50枚だ。この大会は定期的に行われているということもあり、ダンジョン攻略と比べて金額が少ない。といっても普通に考えれば金貨25枚なんてものは普通の人からしたらみたこともないような額だ。この町は、コロシアムによって成り立っているといっても過言ではなく、金額はケチらずにいくというのが領主の意向らしいので最初からこの金額を維持していると聞いた。それでも行うたびに町は黒字になるみたいだから侮れない…。
アントホームでいろいろと狩りまくってはいたが、そのほとんどは自分たちで使ったため追加分はあまりない。まあ実際にはないってことはないが飯代ととか宿代とかそういうのに回すのでカウントしないでおこう。まだ金貨1枚分くらいはそれぞれ持ってるはずなので当分大丈夫だろう。マナは個人で稼いだ分も残ってるから俺たち二人よりも残っているだろう。ついでに言えば俺よりヒツギのほうが絶対残ってる。俺けっこう買ったからな…。
「とりあえず勝つためにもちょっと今から訓練してくるから、明日の朝、もし部屋にいなかったら呼んでくれ。テントの中にいるから」
「テント? ああ、あそこの庭でやるんだね。でも訓練って言ってもどうするの? 私が相手になろうか?」
「いや、ヒツギみたいに棺桶で攻撃してくるやつなんか基本いないからな。人型に近い奴らもいるし倒してもらう。あいつらに勝てないようだと優勝とか無理そうだしな」
「ならここでやればいいんじゃない? さすがにテントから出てきたら私たちも気づくだろうし」
「それで起こすのはなんかな。たぶん朝までやってるなんてことにはならないから念のためだよ。じゃあ部屋に戻るわ」
俺は自分の部屋に戻った。
翌日、俺は無事朝を迎えられた。ヒメの従魔となったモンスターたちは、皆協力的(?)で最初は一斉に襲い掛かってきた。なんとかぼろぼろになりながらも撃退すると今度は1対1で戦い、全員と戦い切ったところで終了した。いやーいい訓練になった……のか?
「じゃあ行ってくるわ」
「あ、私たちも行くよ。今日もなんとか席をとらないとね」
「早くいけばその分いい席がとれるかもしれないからね」
「俺の試合第6試合からだから10時40分からだから10時過ぎに俺は中に行くから」
一般の部は、人数が多いということもあるらしく、従魔の部と違って1試合が短く設定されている。1試合の時間は15分で、間は5分しかない。多少の時間のずれは毎年必ずあるそうだが、15分以上戦いあっていた例は1度もないそうなので今の状態で落ち着いているそうだ。
「それまでは一緒でいいよね」
「ああ。じゃあ行くか」
俺たちはコロシアムに向かった。
当然のように串を買いに行ったら大量に用意していてくれた。おかげでつい100本も買ってしまった……。アイテムボックスに入れておけばいいか。
俺たちはあいてる席を見つけて1回戦が始まるのを待った。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
聖???の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60
神官 Lv1/50 』
一日遅れて申し訳ないです
テストには勝てませんでした
ここ最近、感想の数がとても増えています(当人比)!!
本当にありがとうございます!!
そして、その感想返しの件を活動報告にて書いてあります
時間があったら読んでください
また、感想でご指摘され、『…』と『!』と『?』の書き方を変え始めています
現在は第1章の途中までしかまだ終わっていませんが、今後暇を見て進めていきます
今まで間違ったまま使ってたみたいで……
100超えて今更ですがね
次回から一般の部決勝がスタートです!
ちゃんとやる試合とさらっとやる試合で文量がまるで違うと思いますがご了承ください
ではまた次回




