従魔の部 決勝です5
前回のタイトル変更しました
ノノさんの一瞬の試合を見た後、俺は早めに広場につながる通路に行った。そこでヒメを呼び出して一緒にまた串を食べていた。
「ヒメ、いよいよ大本命だ。調子はどうだ?」
「はうあう」
「だからきちんと飲み込んでからでいいからなー」
うん、やっぱりかわいい。さっきまでノノさんのソニックワイバーンの強さを見せつけられて落ち込みまくってたネネさんが向ける、「どうしたらいい?」と言いたげな視線がきつかったからすごい癒される。
「かう!」
「食べ終わったか。で、調子はいいんだよな?」
「かぁう!」
「それならいいんだ。できればあの首輪を壊してほしいが、それが無理そうなら徹底的に叩いてしまえ」
「かうかぁう、かう?」
首のところのとんとんとやってかぷっと噛みつくしぐさをするヒメ。言いたいことはわかってるな。
「そうだ。できればでいいからな。あくまで傷つかないことを優先してくれ」
あの首輪だけしかあいつが汚い策を用意してないとはどうしても思えない。たとえば、プラチナタイガーの爪や牙に細工をして毒を使ってくる可能性もある。そういうことを考えると傷つくのは危ない可能性が高いのだ。
今もぐもぐと4本目の串をほおばってるかわいいかわいいヒメにもしものことがあったらいけないのだ。
「そろそろ行くか?」
「かう!」
俺の言葉に反応してヒメが俺の体を駆け上がる。そしていつものように頭の上に陣取り、ぐでーっと力を抜く。俺はヒメが安定するのを感じると、広場に歩いていった。
『長らくお待たせしました! 第1試合が一瞬で終わってしまったのでなんだかすごい長かった感じがします。これより、準決勝第2試合、予選ではオーガエンペラーを、決勝トーナメント1回戦ではゴールデンオーガコングロードをそれぞれ召喚し、勝利を勝ち取ってきたシャドウ選手と、タミア選手のパラウルフを危なげなく打ち破ったプラチナタイガー使いのヴァルミネ・カク選手の戦いです!』
俺のところで○○使いと言わなかったのはヒメ自身が戦ってないからか? それとも登録してあるのがホワイトタイガーの変異種で、名前がヒメといった感じで種族名そのものを登録してないからか?
『それでは…試合開始!!!』
試合が始まった。
開始の合図とともに両者が一斉に動き出した。プラチナタイガーがヒメめがけて突進を仕掛ける。対してヒメは、右に跳んでかわした。そのままプラチナタイガーに視線を向けたまま距離をとる。
「御自慢の眷属モンスターは召喚しませんの?」
「する必要がないってさ。ヒメは強いからな」
「その強がりがいつまで持つか見ものですわね。まあ召喚しないなら召喚しないでいいですわ。ただ、1つ言っておきますわ」
「なんだ?」
「召喚はなにも、あなたやキングスライムだけの特権ではないんですのよ」
「ガァアアアアアアアアア!!!!」
プラチナタイガーが吠えた。それに伴い首輪が赤く光りだす。いや、逆だ。首輪が光って、それの影響で叫んだのだ。
「あなたはたしか1体ずつ2種類召喚していましたわね。私のみぃちゃんは」
フィールドのあちこちに首輪からゆっくりと飛び出した光が漂いだす。そして、それは次第にそれぞれが形を成していった。
「全17種、29体ですわ」
フィールド上が、モンスターで満たされた。
『ななな、なんと、プラチナタイガーが、大量のモンスターを召喚しました!!』
こいつらはおそらくというか確実に隷属させられたモンスターたちだ。その中には予選で隷属させられていたモンスターの姿もある。当然バルの姿も。なかには、数体重複しているモンスターもいるが、それはおそらくダンジョンなどで隷属させられたモンスターじゃないかなと思う。まあダンジョンの外かもしれないけど。
そのすべての個体がヒメをにらみつけていた。完全に敵対視している。
「あなたのお得意の召喚で倒して差し上げますわ。感謝しなさい」
「なにを感謝するって言うんだよ」
「あなたも召喚させてみてはどうですの? する暇があればですがね!」
すべてのモンスターたちが一斉にヒメめがけてとびかかってきた。
「へ?」
次の瞬間、プラチナタイガーを除いたすべての個体が噛みちぎられた。
「ヒメは強いって言ったろ?」
俺は挑発的にヴァルミネに告げる。
たしかに、生まれたばかりのころ、ヒメは弱かった。キャタピラー10体を倒すと魔力がつきてしまうくらいの力しかなかったのだ。
しかし、あれから俺はたくさんの敵を倒してきた。オークや、アントホームでの大量のアント、上位種アントたち。俺はかなり強くなった。
それはヒメも同じだ。
ヒメは、どういうことか、俺が倒した敵から得る経験値や、喰らうことで得る力の一部を自分に回すことができるらしい。その力を応用させて、俺のなかに吸収されたモンスターたちを使って自分の眷属を作り出していた。
「なあ、お前は隷属化と眷属化で一番違うところってなんだと思う?」
「なんですの急に!? 同じように従えているだけですわ!」
「俺独特の価値観だろうから実際にそうかは知らないが一番の違いは、『意思があること』だと思うんだ」
「それがいったいなんなんですの!?」
「隷属には意思がない。しかし眷属には意思がある。意思がある以上、眷属モンスターにはあることが可能なんだよ」
「あること?」
「主への反乱」
「眷属に反乱を起こされる時点でそいつはただの雑魚だっただけではありませんこと?」
「そういう見方もできる。だが、それがあり得るってだけで主には義務が発生する」
「つまり、何が言いたいんですの?」
「簡単なことさ。主が、眷属よりも弱いわけないだろ?」
「かぁぁあう!」
俺の話が終わるのを待っていたかのように、それまでプラチナタイガーの攻撃をかわすだけで攻撃をしてこなかったヒメが雄たけびを上げ、攻勢に出た。
攻撃してきたプラチナタイガーの攻撃をかわしたとき、不意にその姿が消え、反対の側面からプラチナタイガーの体に傷をつけた。
「みぃちゃん!」
体の表面についた傷からは、血が少しずつ垂れてきている。
おそらく今の攻撃は『不意打ち』スキルだろう。このスキルはもともと白虎を喰らったことで手に入れたスキルだ。ヒメが使えない理由はどこにもない。
プラチナタイガーは、自身のすぐ横にいるヒメに向かってしっぽを振り回した。しかし、それもヒメにあっさりとかわされる。
「みぃちゃん! なにをしてますの! そんなやつさっさと倒してしまいなさい!」
ヴァルミネの言葉でプラチナタイガーの動きがさらに速くなるも、その攻撃は悉くヒメには当たらない。それに加えて、ヒメがかわしながらも繰り出しているファングショットをくらい、プラチナタイガーはどんどんダメージを負っていく。ファングショットは、俺の場合は腕を牙に見立てて噛みつくしぐさをすることで発動するが、もともと牙のあるヒメならばただ噛む動作だけでいい。動きながらでも十分に発動は可能だ。
傷だらけになってもなおヒメを狙い続けるプラチナタイガーは、まるで操り人形のようだった。
ファングショットの影響で確実に脚を痛めており、普通であれば機動力は低下するはずなのだ。しかし、血の流れる量が増え、体毛の一部が血で赤く染まっていきながらも、プラチナタイガーの動きはまったく衰える様子を見せない。それどころか、首輪の光が強くなり、動きが速くなっていっている。
「ヒメ、決めろ!」
遅すぎたとは思いながらも、あれ以上はもうだめだと判断した俺はヒメに声をかける。
ヒメは、それに答えるかのように動きを変え、一気にプラチナタイガーの首元に迫った。そして大きく口を開けると、その首輪を噛み千切った。
ドサリ
ちぎれた首輪が地面に落ちるのとともに、荒く息をしているプラチナタイガーもまた地面に倒れた。
どうもコクトーです
『刈谷鳴』
職業
『ビギナーLvMAX(10)
格闘家 LvMAX(50)
狙撃手 LvMAX(50)
盗賊 LvMAX(50)
剣士 LvMAX(50)
戦士 LvMAX(50)
魔法使いLvMAX(50)
冒険者 Lv69/99
武闘家 Lv47/60
薬剤師 Lv35/60
鬼人 Lv18/20
????の勇者Lv10/??
狙撃主 Lv32/70
獣人 Lv8/20
狂人 Lv1/50
魔術師 Lv1/60
ローグ Lv1/70
重戦士 Lv1/70
剣闘士 Lv1/60 』
今回はいつも通りメイの視点です
前回の話のタイトルを変更したため、これが『従魔の部決勝です5』となってます。数え間違いではありませんので
ヒメの試合はまだまだ続くー
ではまた次回